『約1ヵ月半ぶり高値圏へ急伸するも上値余地は限定的か。反落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、週明け7.15まで下落後、中国、南アの指標好調に週末にかけ7.45まで急伸
〇日足で主要テクニカルポイントを軒並み上抜け、強い買いシグナルも成立、地合い強い
〇但し、上方に7.50ー7.55ゾーンの抵抗帯控え、ここからの続伸容易で無い
〇ファンダメンタルズも南アフリカ経済の先行き不透明感、対米関係悪化懸念等下落材料多い
〇引き続き、南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.55
今週のレビュー(6/5−6/9)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.17円で寄り付いた後、早々に週間安値7.15円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)経済的な結びつきの強い中国の5月サービス業PMI(結果57.1、予想55.3、前回56.4)の力強い結果や、(2)南ア1ー3月期GDP(結果+0.2%、予想+0.1%、※前年比)の市場予想を上回る結果(景気後退を回避できたことに対する安堵感)、(3)南アフリカ株の堅調推移、(4)南ア1ー3月期経常収支(結果660億ZAR赤字、予想1820億ZAR赤字)の大幅改善、(5)南ア4月製造業生産(結果+3.4%、予想+2.0%、※前年比)の市場予想を上回る結果、(6)直近高値突破に伴う仕掛け的な南アランド買いが支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.45円(5/2以来、約1カ月半ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/10午前1時20分現在)では、7.44円前後で推移しております。
来週の見通し(6/12−6/16)
南アランドの対円相場は、5/12に記録した約2年3カ月ぶり安値6.90円をボトムに反発に転じると、週末にかけて、約1ヵ月半ぶり高値となる7.45円まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド、21日移動平均線、90日移動平均線)を軒並み上抜けしたことや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」が成立したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。但し、上方には過去3度止められた7.50ー7.55ゾーンの抵抗帯(3/2高値7.53円、3/31高値7.52円、5/2高値7.50円)が控えているため、ここからの続伸は容易では無いと考えられます(7.50円に近づくに連れて戻り売り圧力が強まる公算大)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(計画停電長期化に伴う南ア経済への下押し圧力→今週発表された南ア5月PMIは予想49.0に対して結果47.9と2021年7月以来の低水準を記録。また、南ア4ー6月期BER企業信頼感指数も前回の+36から+27へ低下)や、(2)南アフリカで広がるスタグフレーション懸念、(3)南アフリカと米国の関係悪化懸念(南アフリカとロシアの急接近を受けて、対米関係が今後一段と悪化する可能性あり)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は6/14に予定されている南ア4月小売売上高や、経済的な結びつきの強い中国の主要経済指標群(中国5月鉱工業生産、中国5月固定資産投資、中国5月小売売上高)、市場参加者に注目されている米5月消費者物価指数、米FOMC、ECB理事会、日銀金融政策決定会合に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.55
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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