来週の為替相場見通し:『米CPIや米欧日の金融政策決定会合など重要イベント目白押し』(6/10朝)

今週は重要イベントを控えたポジション調整が活発化する中、138.75ー140.50を中心としたレンジ相場に終始しました。

来週の為替相場見通し:『米CPIや米欧日の金融政策決定会合など重要イベント目白押し』(6/10朝)

『米CPIや米欧日の金融政策決定会合など重要イベント目白押し』

〇今週のドル円、週明け早々140.47まで上昇後、もみ合いながら週末にかけ一時138.76まで下落
〇週央カナダ中銀の利上げ再開に一時140円台を回復するも上値重く、139円台前半で越週
〇ユーロドル欧州指標不冴え等で週央1.0667まで下落後、週末にかけドル売り強まり1.07台後半に上げる
〇ドル円139.75-140.50のレンジ続くが、下方向に複数のサポート並び買いシグナルも継続、地合い強い
〇ファンダメンタルズも、日米金利差拡大とキャリートレード再開期待強く、ドル円をサポート
〇来週の米CPI、FOMC、日銀会合の結果次第で一段のドル買い円売り強まる可能性も
〇来週の予想レンジ(USDJPY):137.50ー142.00、(EURUSD):1.0575−1.0875

今週のレビュー(6/5−6/9)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初139.99で寄り付いた後、(1)日経平均株価の堅調推移(バブル崩壊以降の最高値更新)や、(2)上記1を背景としたリスク選好の円売り圧力、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、週明け早々に、週間高値140.47まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米5月非製造業PMI(結果54.9、予想55.1)の市場予想を下回る結果や、(5)米5月ISM非製造業景況指数(結果50.3、予想52.4)の冴えない結果、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力、(7)米主要株価指数の軟調推移が重石となり、週央にかけて、一時139.02まで下落しました。

その後は、(8)クラリダ元FRB副議長(現ピムコ社グローバル経済アドバイザー)による「FRBはおそらくこのサイクルで再び利上げするだろう」「FRBが2024年まで利下げを開始する可能性は低い」とのタカ派的な発言や、(9)カナダ中銀による25bpのサプライズ利上げ(前日のオーストラリア中銀に続いてカナダ中銀もサプライズ利上げを実施→円キャリートレード再開の思惑→ドル円・クロス円上昇)を受けて、一時140.26まで持ち直す場面も見られましたが、週初に記録した高値140.47に届かず失速すると、

(10)日経平均株価の急反落や、(11)上記10を背景としたリスク回避の円買い圧力、(12)米新規失業保険申請件数(結果26.1万件、予想23.5万件)の冴えない結果、(13)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、週末にかけて、週間安値138.76まで下落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/10午前1時40分現在)では、139.30前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0712で寄り付いた後、(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力や、(2)ドイツ5月非製造業PMI(結果57.2、予想57.8)の市場予想を下回る結果、(3)ユーロ圏5月非製造業PMI(結果55.1、予想55.9)の市場予想を下回る結果、(4)ユーロ圏6月投資家信頼感指数(結果▲17.0、予想▲15.1)の冴えない結果、(5)ユーロ圏4月PPI(結果+1.0%、予想+1.7%、※前年比)の市場予想を下回る結果、(6)ドイツ4月製造業受注(結果▲9.9%、予想▲8.4%、※前年比)の市場予想を下回る結果、(7)ECBによる「消費者のインフレ期待は著しく低下」「3年先のインフレ期待が2.9%から2.5%に低下」とのハト派的な見解公表が重石となり、週央にかけて、週間安値1.0667まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(8)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「基調的なインフレ圧力はあまりに高すぎる」「まだ数回の利上げが必要」とのタカ派的な発言や、(9)オランダ中銀クノット総裁による「基調的なインフレ圧力は高まっている」「さらなる利上げが必要だろう」「インフレはしばらくの間、かなり高い水準を維持する可能性」とのタカ派的な発言、(10)ラガルドECB総裁による「インフレ率は依然として高水準であり、ECBは追加利上げを継続する」とのタカ派的な発言、(11)シュナーベルECB専務理事による「基調的なインフレは依然として高い」「あとどのくらい利上げが必要かはデータが決める」とのタカ派的な発言、

(12)カナダ中銀によるサプライズ利上げ(世界的な金融引き締め再開の思惑)、(13)米新規失業保険申請件数の冴えない結果、(14)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値1.0788まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/10午前1時40分現在)では、1.0750前後で推移しております。

来週の見通し(6/12−6/16)

<ドル円相場>
ドル円は3/24に記録した安値129.65をボトムに反発に転じると、5/30に一時140.95(昨年11/23以来の高値圏)まで急伸しましたが、今週は重要イベントを控えたポジション調整が活発化する中、138.75ー140.50を中心としたレンジ相場に終始しました。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強い(一巡後の反発リスクに要警戒)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(米経済指標の力強い結果+インフレ指標の伸び率高進)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁はここ数週間、政策修正を急がないスタンスを明確化)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開期待、(4)日本とその他各国との金利差拡大(今週はオーストラリア中銀に続いて、カナダ中銀もサプライズ利上げを実施→円独歩安に繋がり易い外部環境)、(5)米債務上限問題払拭に伴うリスクオン再開期待など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

来週予定されている米5月消費者物価指数が市場予想(4.1%)を上回る場合や、米FOMCがタカ派的な結果となる場合(政策金利が据え置かれつつも、ドットチャートで2023年末の予想中央値が前回3月時点の5.1%から引き上げられる場合→市場参加者がタカ派的な据え置きと解釈し、米金利上昇→ドル買いの流れが強まる公算大)、日銀金融政策決定会合で金融政策が維持される場合(一部でイールドカーブコントロールの許容変動幅が±0.50%から±0.75%へ拡大されるとの思惑が燻っているものの、植田日銀総裁が常日頃、粘り強く金融緩和を続けると説いていることを踏まえると、このタイミングでサプライズ修正に踏み切る可能性は小さい)には、日米金利差拡大に着目したドル買い・円売りが一段と強まる展開が意識されるため、ドル円が5/30に記録した140.95を一気に上抜けるシナリオも想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(介入警戒感が上値を抑制する可能性はあるものの、昨年10月に記録した高値151.95と比較するとまだまだ距離が残されているため、口先介入効果は限定的なものに留まると予想)。

来週の予想レンジ(USDJPY):137.50ー142.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は4月中旬から5月初旬にかけての1.1100トライ(4/14高値1.1077、4/26高値1.1096、5/4高値1.1092)に失敗すると、5/31に一時1.0634(3/20以来の安値圏)まで下げ幅を広げましたが、今週は幾分持ち直し、週後半にかけて1.07台後半へと反発しました。但し、上方に複数のレジスタンスポイント(一目均衡表転換線や90日移動平均線)が並んでいることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(上値余地は乏しい)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)欧州経済の先行き不透明感(ユーロ圏のリセッション入り)や、(2)ユーロ圏のインフレ沈静化期待(ECBは今週、3年先のインフレ期待が2.9%から2.5%に低下したと発表)、(3)上記1、2を背景としたECBによる金融引き締め打ち止め観測(ECBによる利上げサイクルが終盤に差し掛かってきているとの思惑)、(4)米FRBによる根強い追加利上げ期待(米経済指標の力強い結果+インフレ指標の伸び率高進)、(5)上記3、4を背景とした欧米金利差拡大観測など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。

来週予定されている米FOMCでタカ派的な見解が示される場合(ドットチャートで2023年末の予想中央値が前回3月時点の5.1%から引き上げられる場合)や、ECB理事会でハト派的な見解が示される場合(25bpの利上げ実施と、次回7月理事会での25bpの追加利上げが示唆される一方、スタッフ経済見通しで中期的な物価見通しが下方修正され、政策金利の打ち止めが示唆される場合)には、欧米金融政策の方向性の違いに着目したユーロ売り・ドル買いがもう一段強まる恐れもあるため、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落を来週のメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はECB理事会以外にも、6/13に予定されているドイツ6月ZEW景況感調査や、6/14のユーロ圏4月鉱工業生産などに注目が集まります。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0575−1.0875

『米CPIや米欧日の金融政策決定会合など重要イベント目白押し』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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