ドル高リラ安止まらず、6.40円割れへ続落
〇トルコ円、ドル高リラ安に圧迫されて6.40円台序盤へ続落、6/7午前序盤に6.32まで安値を切り下げる
〇対ドル、6/6も大幅続落、6/7午前序盤には21.98へ続落して最安値更新
〇2021年12月の通貨危機レベルの暴落商状に、年末1ドル28リラや30リラの予想が現実味を帯びる
〇6.35から6.40にかけては戻り売りにつかまりやすい、6.40超えからは6.50手前を試す上昇を想定
〇6.30割れからは6.25、6.20を順次試す下落を想定、6.25以下は反発注意
【概況】
トルコリラ円の6月6日は概ね6.57円から6.42円の取引レンジ、7日早朝の終値は6.47円で前日終値の6.56円からは0.09円の円高リラ安となった。
エルドアン大統領再選によるリラの先行き悲観からトルコリラは対ドルでの史上最安値を連日更新しており、6日も大幅続落したが、ドル円が139円台で方向感の定まらない展開にとどまっているためにトルコリラ円はドル高リラ安に圧迫されて6.40円台序盤へ続落した。
6月7日早朝には6.40円を割り込み午前序盤に6.32円まで安値を切り下げている。
ドル円は6月6日夕刻に139.09円まで下げたところから深夜に139.98円まで戻したものの140円に届かず、7日午前序盤には139.50円を割り込んで軟調推移となっている。6月2日の米雇用統計が強かったことによるドル高で急伸し、6月5日の米ISMサービス業景況指数の悪化によるドル安で反落したが、来週の米CPIとFOMCを控えて方向感に乏しくトルコリラ円への押し上げ力に欠ける展開にとどまっている。
トルコリラ円は5月31日安値で6.53円へ下げた後を戻り高値を切り下げつつも新たな安値更新を回避していたが、6月5日夜から安値更新に入り7日午前にかけては下げ足がさらに早まっている。
【ダブル底ラインを割り込んで2021年12月高値以降の安値を連日更新、史上最安値へ徐々に迫る】
1月16日と3月24日に6.74円の安値を同値で付けてダブル底型の下値支持線を形成し、ドル円が3月8日高値を超えて一段高へ進んだ流れへ追従できずに3月8日から5月2日にかけて高値切り下げ型の上値抵抗線を作って三角持ち合いの様相となり、4月以降は6.70円台後半から7円強のレンジでほぼ横ばい推移となっていたが、対ドルでのリラ安が勢い付いて暴落商状に陥ったことで、昨年7月から続いてきた日々の騰落でドル円を追いかける展開が崩れて安値更新を続けている。
2021年12月23日にリラ建て預金の為替差損補填政策を発表したことによる一時的急騰で付けた高値11.15円以降の最安値を更新しており、2021年12月20日のトルコリラ円としての史上最安値6.17円へ徐々に迫っている印象だ。
【対ドルでのリラ安続き、1ドル22リラ台も目前】
ドル/トルコリラの6月6日は概ね21.60リラから21.12リラの取引レンジ、7日早朝の終値は21.57リラで前日終値の21.26リラからは0.31リラのドル高リラ安だった。
エルドアン大統領の再選によるリラの先安不安が勢い付いて連日の史上最安値更新となり、2021年12月にかけての暴落商状時に近い動きとなっており、6月6日も取引時間中及び終値ベースでの史上最安値更新となった。7日午前序盤には21.98リラへ大幅続落して最安値を更新しており、1ドル22リラ台も目前となっている。
【リラは2021年12月の通貨危機レベル】
6月3日のエルドアン大統領就任式では新財務相としてかつて財務相と副首相を歴任して経済政策に関して市場の高評価を得ていたシムシェク氏が起用され、エルドアン政権による金融・経済政策の正常化への期待が持たれたものの、6月5日からの市場はそうした期待によるリラ安抑制の動きは全く見られなかった。
エルドアン大統領はトルコ中銀総裁に米ファースト・リパブリック・バンクの元CEOでゴールドマンサックスに在籍したハフィゼ・ガイ・エルカン氏を起用する方針との報道もあったが、これも効果は見られなかった。
4月14日に金融大手JPモルガンが大統領選挙後のメインシナリオとして1ドル=24〜25リラへ下落して年末には26リラへ続落するとし、最悪のシナリオでは年末に1ドル30リラを付ける可能性もあるとした。またゴールドマンサックスは6月4日に2023年末の見通しについて従来の1ドル22リラから1ドル28リラへ下方修正し、3か月後に23リラ、6か月後に25リラ、12か月後に28リラへ下落する可能性があるとした。これらの予想が現実味を帯びており、よほど劇的なエルドアン政権及びトルコ中銀に対する信頼に足りる情勢変化が無ければ、政策修正を催促するリラ売り攻勢には歯止めがかからなくなると懸念される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月2日午前安値を直近のサイクルボトムとして底割れからは新たな弱気サイクル入りとしていたが、6月6日午前序盤へ一段安したために6日午前時点では6月3日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7日午前から9日午前にかけての間への下落を想定した。
6月7日午前序盤へ続落しているため引き続きボトム形成中とするが、強気転換には6.50円を超える反騰が必要と思われる。
60分足の一目均衡表では6月6日朝への一段安により遅行スパンが悪化して先行スパンからの転落状況がつづいている。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンからの転落が解消されないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。反騰入りには先行スパンを上抜く必要があるが、先行スパン下限では売られやすいとみる。
60分足の相対力指数は6月7日午前序盤に20ポイントまで低下しているが、40ポイント前後へ戻すところを繰り返し売られたため10ポイント台への下落余地ありとみる。強気転換には45ポイントを超える反騰が必要と思われるが、45ポイントから50ポイント前後へ反騰するところは戻り売りにつかまりやすいとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.30円を下値支持線、6.40円を上値抵抗線とする。
(2)6.35円から6.40円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。6.40円超えからは6.50円手前を試す上昇を想定するが、その後に6.40円を割り込むところから下げ再開とみる。
(3)6.30円割れからは6.25円、6.20円を順次試す下落を想定する。6.25円以下は反発注意とするが、6.40円以下での推移が続く場合や直前安値から0.07円規模の反騰が見られないうちは8日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
6月7日
23:30 5月 財務省現金残 (4月 -1590.6億リラ)
6月8日
20:30 週次 外貨準備高 6/2時点 グロス (5/26時点 565.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 6/2時点 ネット (5/26時点 -40.05億ドル)
6月09日
16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 5.5%)
16:00 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 -0.1%)
注:ポイント要約は編集部
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