トルコリラ円見通し ドル高リラ安止まらず、ドル円も反落で安値試し続く(23/6/6)

トルコリラ円の6月5日は概ね6.68円から6.50円の取引レンジ、6日早朝の終値は6.56円で先週末終値6.68円からは0.12円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安止まらず、ドル円も反落で安値試し続く(23/6/6)

ドル高リラ安止まらず、ドル円も反落で安値試し続く

〇トルコ円、6/5夜ドル高リラ安にドル円の急落も重なり、6/6朝には一時6.43まで安値を切り下げる
〇対ドル、エルドアン氏勝利報道を受けた5/29から暴落的なリラ安商状続き、6/6早朝終値は21.26リラ
〇中銀総裁にファースト・リパブリック・バンク元CEOハフィゼ・ガイ・エルカン氏を起用との報道も
〇5月CPI、全体は低下するも予想は上回りコア指数は伸びが加速、依然として高インフレ状態
〇6.58から6.60にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいが6.60超えからは6.65手前を試す上昇を想定
〇6.42割れからは6.38、6.35を順次試す下落を想定、6.35以下は反発注意

【概況】

トルコリラ円の6月5日は概ね6.68円から6.50円の取引レンジ、6日早朝の終値は6.56円で先週末終値6.68円からは0.12円の円高リラ安だった。
エルドアン大統領再選によるリラの先行き悲観からトルコリラは対ドルでの史上最安値を連日更新し、6月5日も大幅下落したが、ドル円も先週末の米雇用統計をきっかけとした反騰が一巡し、ISMサービス業景況指数の悪化から急落したため、トルコリラ円はドル高リラ安と円高の両面から押し下げられた。
ドル円は6月2日の米5月雇用統計での非農業部門就業者大幅増加によるドル高反応で139円前後だったところから3日未明に140円に到達し、5日の夕刻には140.45円まで高値を伸ばしていたが、米5月ISMサービス業景況指数が予想外に悪化したことでドル売りが再燃したために5日深夜に139.24円へ下落、その後も軟調な推移にとどまっており、6月2日夜からの反騰一巡により下落再開に入っている印象だ。

トルコリラ円は5月27日朝高値7.06円を起点に下落に転じ、5月31日には一時的な急落で6.53円の安値を付け、その後も戻り高値を切り下げて6月1日朝、2日朝、5日朝と安値で6.56円を繰り返しつけてきたが、5日夜にドル高リラ安にドル円の急落も重なったことで6日早朝には6.50円へ一段安となった。6日朝には一時6.43円まで安値を切り下げている。

【対ドルでのリラ安続き、1ドル21リラ台へ】

ドル/トルコリラの6月5日は概ね21.29リラから20.78リラの取引レンジ、6日早朝の終値は21.26リラで先週末終値20.96リラからは0.30リラのドル高リラ安だった。
エルドアン大統領の再選によるリラの先安不安が勢い付いて連日の史上最安値更新となっているが、6月5日も21.29リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新、終値ベースでも6月2日からの続落で最安値を更新した。ベンダーによっては6日早朝に21.54リラの安値提示も見られる。
5月の月間は4月末の19.45リラから1.38リラのドル高リラ安だったが、5月31日終値20.80リラに対して6月5日終値までの3営業日で既に0.46リラのドル高リラ安であり、5月28日の大統領選挙決選投票でのエルドアン氏勝利報道を受けた5月29日からは暴落的なリラ安商状となっており、下落角度は2021年12月にかけて大暴落した時に近い印象となっている。

6月3日には就任式で新内閣が発表され、下馬評に挙がっていた財務相及び副首相経験者で在任中の経済政策で市場の高評価を得ていたシムシェク氏が財務相に起用されたため、エルドアン政権による金融・経済政策の正常化への期待も持たれていたが、6月5日はそうした期待ではリラ安の歯止めにはならないとして政策転換催促的なリラ売りがかえって勢いを増した印象だ。
エルドアン大統領はトルコ中銀総裁に米ファースト・リパブリック・バンクの元CEOでゴールドマンサックスのマネージングディレクターの経験があるハフィゼ・ガイ・エルカン氏を起用する方針との報道もある。これらが金融政策転換の兆しなのかどうかはともかく、選挙中に再選後の利下げを主張していたエルドアン大統領の基本姿勢が変わることも難しいのではないかと思われる。

【トルコ5月CPI、全体は低下だがコア指数は伸びが加速】

6月5日にトルコ統計局が発表した5月消費者物価上昇率は、全体の前月比で0.04%となり4月の2.39%から鈍化したものの市場予想の0.2%低下には至らず、前年同月比は39.59%で4月の43.68%から鈍化したものの市場予想の39.2%を上回った。
変動の激しい食品やエネルギーを除いたコア指数の上昇率は前月比4.2%となり4月の3.2%から伸びが加速し、前年同月比は46.6%となり4月の45.5%から加速した。エネルギー価格の低下により全体の伸びは鈍化したとはいえ依然としてハイパーインフレに近いような高インフレ状態であり、コア指数の伸びが加速したことによりインフレの高止まりないし再上昇への懸念が残る内容だった。
内訳ではホテル・カフェ・レストランが前年比68.98%、健康関連が66.93%、食料品・飲料が52.52%、教育関連が50.86%と50%を超えている。
5月の生産者物価指数上昇率は前月比で0.65%となり4月の0.81%から若干低下、前年同月比は40.76%で4月の52.11%から鈍化したが高水準のままといえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月29日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして5月31日の日中から6月2日午後にかけての間への下落を想定してきたが、6月5日午前時点では6月2日午前安値を直近のサイクルボトムとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
6月6日午前序盤へ一段安しているため6月3日未明高値を直近のサイクルトップとして底割れから弱気サイクル入りしたと見て7日午前から9日午前にかけての間への下落を想定する。強気転換には6.70円に迫る反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では6月6日朝への一段安により遅行スパンが悪化して先行スパンからの転落状況が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンからの転落が解消されないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。先行スパンを上抜くところからはいったん戻しに入る可能性もあるとみるが、早々に先行スパンからの転落となる場合はその後の下げが厳しくなると考える。

60分足の相対力指数は6月6日早朝に20ポイント割れへ低下し、その後の戻りは40ポイント近辺にとどまっている。50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、10ポイント台を再び試す可能性があるとみる。強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.42円を下値支持線、6.60円を上値抵抗線とする。
(2)6.58円から6.60円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。6.60円超えからは6.65円手前を試す上昇を想定するが、その後に6.55円を割り込むところから下げ再開とみる。
(3)6.42円割れからは6.38円、6.35円を順次試す下落を想定する。6.35円以下は反発注意とするが、6.55円以下での推移が続く場合は7日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6月7日
 23:30 5月 財務省現金残 (4月 -1590.6億リラ)
6月8日
 20:30 週次 外貨準備高 6/2時点 グロス (5/26時点 565.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 6/2時点 ネット (5/26時点 -40.05億ドル)
6月09日
 16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 5.5%)
 16:00 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 -0.1%)


注:ポイント要約は編集部

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