ユーロは対ドル、対円とももみあい
〇先週のユーロドル、週間レンジ143pipsと、ドル円に比べると動意薄
〇週末は強いNFPでドル買いの動きから週間レンジの半値近辺1.0705レベルまで押して安値引けで越週
〇米欧金利差の観点からはユーロ買いが出やすい地合い
〇今週はラガルド総裁、デギンドス副総裁の発言に注意だがサプライズなければ一時的下支え程度の材料か
〇ユーロ円、しばらく横方向のもみあいを続け、どちらかに抜ける動きにつながる次の材料待ち
〇今週は1.0640レベルをサポートに、1.0810レベルをレジスタンスとするレンジを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、週前半はドル円とともにユーロ円でも売りが出ていたことによるユーロ売りとなり水曜NY市場では1.0635レベルの安値をつけました。その後タカ派なECBのスタンスからユーロドルは買い戻しが入り、金曜の雇用統計前には週初の高値を上回る1.0778レベルまで買いが強まったものの、強いNFPによるドル買いで反落し、週間レンジの半値近辺で一週間を終わる動きとなりました。
米国の債務上限問題のカタがつき、最大の材料は6月14日のFOMCと15日のECB理事会に向けての動きです。ECB理事会での0.25%利上げは確実視される一方で、FOMCでの利上げは週替わりで二転する展開です。詳細はドル円の週報に書きましたが、コンセンサスは6月現状維持、7月0.25%利上げという見方になってきました。
そうなると、米欧金利差は6月は縮小、仮に7月は双方利上げとなれば縮小分を維持と、金利差の観点からはユーロ買いが出やすい地合いとなりそうですが、ポジション的には依然としてユーロ買いポジションが大きく、2日に発表された5月30日時点のシカゴ通貨先物のポジションでは2週連続で減少しているものの、依然として165,725枚のユーロ買いと高水準を維持しています。このポジションが新規にユーロ買いに動きにくい状態となっているひとつの要因です。
今週は既にFOMC関係者がブラックアウト期間に入っているいっぽうでECB関係者の発言は連日のようにあり、特にラガルドECB総裁、デギンドス副総裁の発言には注意しておきたいところです。ただ、ハト派な発言が出てくるとも思えませんので、サプライズがあるとすれば大幅な利上げに対する言及となりますが、それも無いでしょうから、発言にサプライズが無い場合は一時的に下支えする程度の材料となりそうです。
次にテクニカルですが、先週のユーロドルは週間レンジが143pipsと最近の平均的な値幅ではあるものの、ドル円に比べると動意薄といった流れが続いています。現在の水準がどのような位置なのかを日足チャートで確認してみます。
先々週に3月安値と4月高値との61.8%押しを下抜けましたが、78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.0639でほぼ安値の一致を見ました。また上値に関しては、この3月安値と4月高値の半値1.0805は5月高値と安値の38.2%戻し1.0808とも一致していることから1.08前後はいったん戻り売りが出やすい水準と言えます。
つまり今週もユーロドルは方向感が出にくく、1.0640レベルをサポートに1.0810レベルをレジスタンスとするレンジを見ておくこととします。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートをご覧ください。
本邦当局による三者会談でドル円の上値が抑えられたように、ユーロ円でもまた上値が抑えられています。そしてユーロ円では5月初めの高値をトライしきれなかったことでダブルトップ状の反転パターンを形成する可能性もありそうなチャートです。
しかしそのネックラインにあたる水準は3月安値と5月高値の38.2%押しとも重なり、サポートとなりやすい水準でもあります。しばらくは横方向のもみあいを続け、どちらかに抜ける動きにつながる次の材料待ちというところでしょうか。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
6月5日(月)
15:00 ドイツ4月貿易収支
16:50 フランス5月サービス業PMI
16:55 ドイツ5月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏5月サービス業PMI
17:30 英国5月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏4月PPI
22:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
23:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
6月6日(火)
08:01 英国5月小売売上高
15:00 ドイツ4月製造業新規受注
17:30 英国5月建設業PMI
18:00 ユーロ圏4月小売売上高
6月7日(水)
15:00 ドイツ4月鉱工業生産
15:45 フランス4月貿易収支
16:50 デギンドスECB副総裁講演 ☆
18:10 パネッタECB理事講演 ☆
6月8日(木)
08:01 英国5月住宅価格
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP確報値
6月9日(金)
17:00 デギンドスECB副総裁講演
19:45 スペイン中銀総裁講演
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
5月29日(月)
週明けのユーロドルは米国英国ともに休場となったためほとんど動かず、終日のレンジもわずか38pipsに留まりました。
5月30日(火)
ユーロドルはドル円が高値をつけるまではドルとして同様の動きとなっていたものの、ドル円の反落とともにユーロ円での売りも広がったことでユーロドルも上値が重たい動きとなりました。
5月31日(水)
ユーロドルは東京前場から上値の重たい展開が続き、ユーロ円の上値の重さも手伝って東京昼過ぎには1.07割れ。欧州市場では欧州株が弱く前日の安値を下回ると売りが広がる展開に。NY市場朝方に一時的に買い戻しも見られましたが戻り売りが強く1.0635レベルまで売られ、引けにかけてはドル売りの動きから1.06台後半へと戻して引けました。
6月1日(木)
ユーロドルは東京市場では動かず、海外市場に移ってからの米金利低下によるユーロ買い・ドル売りとなりました。また欧州市場ではラガルドECB総裁が利上げ継続のスタンスを示したこともユーロ下支えの材料となり、NY市場では1.0769レベルまで買われ、高値引けとなりました。
6月2日(金)
ユーロドルもドル円同様にNY市場までは高値圏でのもみあいを続けていました。そして強いNFPによるドル買いの動きから1.0705レベルまで押して安値引けとなりました。
ディスクレーマー
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