『約2年3カ月ぶり安値圏から持ち直すも上値余地は限定的か』
〇今週の南ア円、週後半にかけて7.18まで上昇後7.08前後まで値を崩す動き
〇南アとの米国との関係悪化懸念後退、世界的なリスクオン再開による円安の動きがサポート
〇一方で南ア政局不安・経済先行懸念で、対ドル相場は週を通して史上最安値圏での取引
〇南ア円、上方に複数のテクニカルポイント控え地合い極めて弱い
〇来週は、5/25に予定の南ア中銀金融政策決定会合に注目集まる
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):6.90ー7.20
今週のレビュー(5/15−5/19)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.08円で寄り付いた後、早々に週間安値7.06円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)急ピッチな下落に対する反動買いや、(2)南アフリカと米国との関係悪化懸念の後退(駐南ア米国大使のブリゲティ氏は先週「南アフリカが昨年12月にロシアに秘密裏に武器や弾薬を提供した」と発言→南ア政府当局者は週末に「ロシアに対するいかなる武器供給も承認していない」と反論→ブリゲティ米国大使が先週の発言について一線を越えたことを認めた上で謝罪→関係悪化懸念後退)、(3)米地銀を巡る金融システム不安の後退、(4)米債務上限問題の進展期待、(5)世界的な株高とそれに伴うリスクオン再開(リスク選好の円売り圧力→ドル円・クロス円上昇→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.18円まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間5/20午前1時25分現在)では、7.08円前後まで値を崩す動きとなっております。尚、対ドル相場は週を通して史上最安値圏での神経質な値動きが続きました。
来週の見通し(5/22−5/26)
南アランドの対円相場は、先週末金曜日(5/12)に記録した約2年3カ月ぶり安値6.90円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、一時7.18円まで上昇しました。しかし、上方に複数のレジスタンスポイントが並んでいることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」「トリプルトップ」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムは過去最大規模の計画停電を実施→今週発表された南ア3月小売売上高は冴えない結果)や、(2)南アフリカで広がるスタグフレーション懸念、(3)南アフリカと米国との関係悪化懸念(ブリゲティ米国大使の謝罪を受けて関係悪化懸念はひとまず後退するも一巡後に再びぶり返す危険性あり)、
(4)南アフリカ国内の政局不透明感(与党アフリカ民族会議の支持率低下→今週発表された南ア1ー3月期失業率は一段と悪化→治安悪化に繋がる恐れ)、(5)南アフリカ国債の格下げリスクなど、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。こうした中、来週は、5/25に予定されている南アフリカ中銀の金融政策決定会合に注目が集まります。市場コンセンサスは25bpの利上げとなっているものの、一部では50bpの利上げを見込む動きも出てきていることから、直後の反応は、25bpの利上げなら南アランド売り、50bpの利上げならサプライズ的な南アランド買いに繋がることが予想されます。但し、上記で示した通り、南アフリカ経済は悪材料山積状態にあるため、そうした状況下での追加利上げは、南ア経済への更なる下押しに繋がることから、仮に50bpの利上げが行われたとしても、上昇一服後に下落に転じるシナリオが想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):6.90ー7.20
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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