『予想外のエルドアン氏善戦で失望売りが加速。対ドル相場は史上最安値を更新』
〇今週のトルコ円、週初6.85まで下落、エルドアンの次期大統領選での予想外の健闘にトルコ売り強まる
〇売り一巡後は円安進行等に持ち直し7.00近辺を回復、一方対ドルは週末にかけ史上最安値更新
〇トルコ大統領選5/28に決選投票、エルドアンの優勢不変との見方に市場の失望感広がる
〇決選投票に向け、トルコ市場がもう一段不安定化する恐れ高く、ボラティリティの高まりに要注意
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.65ー7.15
今週のレビュー(5/15−5/19)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初6.91円で寄り付いた後、(1)注目された大統領選挙でエルドアン大統領が予想外の強さを見せたことに対する失望感(エルドアン大統領は世論調査時点では終始劣勢だったが、有力候補のクルチダルオール氏を上回る得票率を獲得→エルドアン氏続投の可能性が高まったことでトルコリラの失望売りが活発化)や、(2)上記1を背景としたトルコ国内から国外への資金流出圧力(トルコ株やトルコ債に下押し圧力)、(3)トルコのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の急拡大が重石となり、翌5/16にかけて、週間安値6.85円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)対主要通貨での円売り圧力(ドル円・クロス円急伸→トルコリラ円連れ高)や、(5)世界的なリスクオン再開(市場心理改善)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.04円まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間5/20午前1時40分現在)では、6.95円前後まで値を崩す動きとなっております。尚、対ドル相場は週を通して下落基調が継続し、週末にかけて史上最安値を更新しました。
来週の見通し(5/22−5/26)
注目された大統領選挙(5/14開催)で現職のエルドアン大統領は49.52%の得票率を獲得し、野党連合から出馬した対立候補のクルチダルオール氏の得票率44.88%や、オアン氏の5.17%を上回りました。いずれの候補者も過半数に届かなかったことから、大統領選挙の行方は5/28に開催される決選投票(エルドアンvsクルチダルオール)に持ち越されております。鍵を握るのはオアン氏の5.17%がエルドアン氏とクルチダルオール氏のどちらに流れるのか?となっていますが、エルドアン氏優勢の状況は変わらないと考えられます(オアン氏の5.17%の多くがクルチダルオール氏に流れたとしてもエルドアン優勢の状況は変わらず。仮にクルチダルオール氏が決選投票で勝利したとしても、与党連合が過半数超の議席を獲得する可能性が高いことから政策運営は困難な状況が続く見通し)。
結果として、市場で予測されていたようなクルチダルオール氏による正統派の金融政策・経済政策への回帰期待は一気に遠のき、エルドアン氏が進める非伝統的な政策運営が今後も長期に亘って続けられるとの失望感が広がっています(強引な資本規制とそれに伴う副作用の顕在化や、独自理論に基づく金融政策とそれに伴う実質金利急低下、断続的な為替介入とそれに伴う外貨準備減少など、トルコリラの潜在的な売り材料は今後も残り続ける公算大)。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、5/28に予定されている決選投票に向けては、トルコ市場がもう一段不安定化する恐れが高く、来週も失望売りを引き金としたボラティリティの高まりに細心の注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.65ー7.15
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
オーストラリアドル(AUD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
豪ドルWeekly 100円を挟んだもみ合い、CPIで早期の利下げ観測が強まる可能性も(24/11/22)
今週の豪ドルは、豪準備銀行(RBA)が公表した理事会要旨でタカ派姿勢が確認されたものの、買いは続かず、100円水準を挟んだ小動きの相場展開が続いた。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:川合 美智子
2024.11.22
ユーロ円 下値リスクが点灯中。162円台を回復出来ずに越週した場合は一段の下落へ(24/11/22)
ユーロ/円は163円台前半から161円台後半まで断続的に売られ、結局安値圏で引けています。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2023.05.22
トルコリラ円見通し ドル円の7日ぶり反落で失速、二回目大統領選投票へ向けてリラ安進行(23/5/22)
トルコリラ円の5月19日は概ね7.02円から6.94円の取引レンジ、20日早朝の終値は6.89円で前日終値の7.00円から0.11円の円高リラ安だった。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2023.05.19
トルコリラ円見通し ドル円の年初来高値更新でトルコリラ円もドル高リラ安を気にしながら連騰(23/5/19)
トルコリラ円の5月18日終値は7.00円、前日終値の6.96円から0.04円の円安リラ高だった。取引レンジは概ね7.01円から6.95円。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。