トルコ大統領選挙は決選投票の公算、リラは様子見の動き
〇トルコ大統領選挙は接戦、5/28決選投票の可能性も
〇与党AKPは単独過半数を割り込む(開票率96.08%時点)
〇トルコリラ円、5/12終値は6.93、5/10午後からの下落幅解消、5/15午前序盤のレンジは6.90ー6.95
〇目先はドル/トルコリラの急変に注意しつつドル円を追いかける展開を続けやすい状況
〇当面のドル売り材料を消化しドル高がぶり返し、対ドルは取引時間中の最安値を更新
〇6.90以上で推移中は上昇余地あり、6.95超えからは6.97前後への上昇を想定
〇6.88割れからは戻り一巡による下落期入りとみて6.85前後への下落を想定
【トルコ大統領選挙】
トルコ公共放送TRTWORLDによると、5月14日に実施されて開票が進んでいるトルコ大統領選挙では、開票率97.08%時点で現職のエルドアン大統領が2630万票の49.37%。野党6党統一候補のクルチダルオール氏が2390万票の44.94%でともに50%に届いておらず、5月28日の決選投票へ進む可能性が高そうだ。総選挙(一院制)では開票率96.08%時点で与党AKPが267議席、野党CHPが167議席、YSPが62議席、MHPが51議席、IYIPが44議席、その他9議席でAKP以外が334議席となり、AKPは単独過半数を割り込んでいる。
【トルコリラ円概況】
トルコリラ円の5月12日終値は6.93円、前日終値の6.88円からは0.05円の円安リラ高だった。取引レンジは概ね6.95円から6.85円。週間では5月5日終値6.91円から0.02円の円安リラ高だった。
ドル円は5月4日の米FOMC(0.25%利上げ、「追加の金融引き締めが適切」との文言削除)を通過して5月5日未明安値133.46円へ下落したところから5月10日午後高値135.48円まで買い戻されていたが、10日夜の米CPIと11日夜の米PPIが鈍化傾向を示したことによるドル売りで11日夜には133.74円まで下落した。しかし当面のドル売り材料を消化したとして持ち直しに入り、12日夜のミシガン大消費者調査における5年先期待インフレ率が上昇したことをきっかけに135円を超えて急伸となり、13日早朝には135.75円まで高値を切り上げた。
トルコリラ円はドル円を追いかける展開で5月5日未明安値6.85円から10日午後高値6.96円まで戻し、10日夜から11日夜にかけての円高局面で11日夜安値6.83円へ下落したが、12日はドル円の反騰を見て13日未明には6.95円へ上昇、5月10日午後からの下落幅をほぼ解消した。
5月15日午前序盤は6.90円から6.95円の取引レンジで推移、大統領選挙の開票を見ながら決選投票へ進む公算が高まり、目先はドル/トルコリラの急変に注意しつつもドル円を追いかける展開を続けやすい状況と思われる。
【大統領選挙直前、対ドルでは取引時間中の最安値を更新】
ドル/トルコリラの5月12日終値は19.56リラ、前日終値19.54リラから0.02リラのドル高リラ安だった。取引レンジは概ね19.67リラから19.42リラ。週間では5月5日終値19.53リラから0.03リラのドル高リラ安だった。
手元のデータでは取引時間中の史上最安値は5月10日に19.58リラ、11日に19.64リラと更新してきたが12日もさらに19.67リラへ最安値を更新した。終値ベースでは5月11日終値19.54リラを超えて19.56リラへと最安値を更新した。
5月4日未明の米FOMCやその後の欧州中銀、英中銀等の金融政策決定会合や5月10日と11日の米インフレ指標を通過して当面のドル売り材料を消化したとしてドル高がぶり返しており、ユーロドルは4月26日高値から下落、ポンドドルも5月10日から下落、ドル円も5月11日夜から反騰入りしており、トルコリラは大統領選挙を控えたリラ売りに加えて全般的なドル高が圧迫要因となった。
5月15日午前序盤は開票を見ながら19.60リラ近辺で推移している。
【トルコリラ円は高値切り下がりで安値フラットの三角持ち合い】
ドル円は5月2日からの反落では4月28日の日銀金融政策決定会合をきっかけに急騰する直前の安値を割り込まずに持ち直したことで3月24日以降の底上げ基調を維持している。3月8日高値と5月2日高値がダブルトップ型となって1月16日を起点とした上昇の上値が抑えられたが、今後の展開次第ではダブルトップを超えてゆく可能性も残した。
一方でトルコリラ円はドル高リラ安の影響で5月2日への戻りは鈍く、ドル円のようなダブルトップ形成には至らずに高値ラインが大きく切り下がったが、1月16日と3月24日に6.74円の同値をつけてダブルボトム型の下値支持線を形成しているために「上値抵抗線が切り下がり下値支持線がフラット」の三角持ち合いの様相となっている。このため、5月2日高値を上抜けば三角持ち合いの上値抵抗線突破により3月8日高値試しへ向かい、ダブルボトムラインを割り込むと三角持ち合い下放れに入って史上最安値を試して行く可能性が高まるところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月10日に弱気転換目安とした6.90円を割り込んで大幅続落したために11日午前時点では5月10日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして12日夜から16日夜にかけての間への下落を想定した。
5月11日夜安値から戻したために12日午前時点で6.90円台回復からは11日夜安値をボトムとした強気サイクル入りとしたが、12日夜の急伸で6.90円を超えたため、11日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして15日午後から17日午後にかけての間への上昇を想定する。
ただし、6.90円割れを弱気転換注意とし、6.88円割れからは弱気サイクル入りとして16日夜から18日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では5月12日夜の反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は5月11日午前から夜への下落に対して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて反騰入りし、13日未明に70ポイントへ到達した。その後も50ポイント以上を維持しているので60ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台前半への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.88円を下値支持線、6.95円を上値抵抗線とする。
(2)6.90円以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、6.95円超えからは6.97円前後への上昇を想定する。6.97円以上は反落警戒とするが、6.90円を上回っての推移なら16日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)6.88円割れからは戻り一巡による下落期入りとみて6.85円前後への下落を想定する。6.85円以下は反騰注意とするが、6.88円を割り込んだ後も6.90円以下での推移が続く場合は16日も安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
5月15日
17:00 4月 財政収支 (3月 -472.2億リラ)
5月18日
20:30 週次 外貨準備高 5/12時点 グロス (5/5時点 684.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 5/12時点 ネット (5/5時点 67.8億ドル)
5月19日
トルコ大統領選挙と国会議員選挙の最終結果発表
5月25日 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 8.5%)
5月28日 大統領選挙第二回投票
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