トルコリラ週報『注目の大統領選はエルドアンvsクルチダルオールの一騎打ち。大荒れ相場必至か』(5/13朝)

市場参加者の関心は5/14に開催されるトルコ大統領選挙に集まっています。

トルコリラ週報『注目の大統領選はエルドアンvsクルチダルオールの一騎打ち。大荒れ相場必至か』(5/13朝)

『注目の大統領選はエルドアンvsクルチダルオールの一騎打ち。大荒れ相場必至か』

〇トルコリラ円、週央にかけ高値6.98まで上昇後トルコ大統領選を控えた調整等で週後半に6.79まで下落
〇トルコリラ対ドルでは週後半にかけ史上最安値を更新
〇市場参加者の関心は5/14開催のトルコ大統領選に集中、接戦とみられ結果判明は週明けに
〇エルドアン現大統領の当否にかかわらず、トルコリラの初期反応は「急落」か
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.10ー7.10

今週のレビュー(5/8−5/12)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初6.91円で寄り付いた後、(1)対主要通貨での円売り圧力(前週末金曜日に発表された米4月雇用統計が力強い結果→ドル円・クロス円上昇→トルコリラ円連れ高)や、(2)トルコ3月鉱工業生産(結果+5.5%、予想+2.7%、※前月比)の良好な結果が支援材料となり、週央にかけて、週間高値6.98円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)米インフレ指標(米CPI・米PPI)鈍化に伴うドル円相場の急反落(トルコリラ円連れ安)や、(4)トルコ大統領選挙(5/14開催)を控えたポジション調整、(5)世界的なリスクオフ再開(米地銀を巡る金融システム不安再燃→世界的な株安進行→新興国通貨下落)が重石となり、週後半にかけて、週間安値6.79円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/13午前0時10分現在)では、6.89円前後で推移しております。尚、トルコリラの対ドル相場は週後半にかけて史上最安値を更新しました。

来週の見通し(5/15−5/19)

市場参加者の関心は5/14に開催されるトルコ大統領選挙に集まっています。暫定結果は日本時間5/15午前5時59分に公表されるため、週明けのトルコリラ円相場はアジア時間早朝より大荒れ模様が警戒されます(※最終結果は5/19に判明。過半数を獲得する候補者がいなければ5/28に決選投票)。今回の大統領選挙は現職で20年に亘りトップの座に君臨し続けてきたエルドアン大統領と、野党連合から出馬した対立候補のクルチダルオール氏の事実上の一騎打ちとなっています。直近で発表された世論調査結果を見ると、いずれもクルチダルオール氏の支持率がエルドアン大統領を上回る状態となっています。

但し、その差は僅差であるため、最後の最後まで予断の許さない状況が続きそうです。仮にクルチダチオール氏が勝利する場合には、エルドアン大統領が進めてきた様々な政策(インフレ進行下での政策金利引き下げや強引な資本規制など)が見直される可能性が高く、直後は政策の180度転換への警戒感からトルコリラが急落するシナリオが想定されます(クルチダルオール氏勝利は長期的な視点ではトルコリラの正常化に寄与する可能性があるものの、エルドアン大統領が混乱させた経済・金融政策・財政を立て直すには相応の時間を要する見通し)。一方、現職のエルドアン大統領が勝利する場合は、失望感(辻褄の合わない金融政策や貿易赤字拡大、財政収支悪化、債務残高増加、外貨準備減少が今後も続くとの思惑)から特に海外投資家によるトルコリラ売りが一段と強まるシナリオが想定されます。結果としていずれの候補者が勝利する場合も、経済・市場の不安定化は免れられず、トルコリラの初期反応は「急落」となりそうです。

事実、通貨オプション市場ではトルコリラのインプライドボラティリティが高騰するなど、相場急変への警戒感が高まっています。以上のことから、当方では引き続き、トルコリラ円相場の「急落」を来週のメインシナリオとして予想いたします(※予想レンジを大きく取っています)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):6.10ー7.10

注:ポイント要約は編集部

『注目の大統領選はエルドアンvsクルチダルオールの一騎打ち。大荒れ相場必至か』

トルコリラ円日足

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