ドル円、約2ヵ月ぶり高値圏から急反落。米金利低下と米株急落が重石。本日はFOMCに注目(5/3朝)

2日(火)のドル円相場は上昇後に急反落。

ドル円、約2ヵ月ぶり高値圏から急反落。米金利低下と米株急落が重石。本日はFOMCに注目(5/3朝)

ドル円、急反落。米金利低下と米株急落が重石。本日はFOMCに注目

〇ドル円、アジア時間の約2か月ぶり高値137.77から136.32まで急落
〇米指標の不冴え、米地銀株の大幅続落、米株価指数の急落、米長期金利の急低下等が背景
〇ユーロドル方向感に欠ける動き、ユーロ圏の銀行の与信基準厳格化で一時1.0942まで急落
〇ドル円、3/8高値137.92トライに失敗、200日移動平均線も割り込む
〇明日未明のFOMC結果公表、パウエル議長会見要注目
〇本日の予想レンジ:135.50ー137.75

海外時間のレビュー

2日(火)のドル円相場は上昇後に急反落。(1)本邦輸入企業の実需のドル買いや、(2)日経平均株価の底堅い動き(リスク選好の円売り継続)、(3)日米金利差拡大に着目した円キャリートレード再開の思惑、(4)豪中銀(RBA)による25bpのサプライズ利上げ(RBAは事前予想の据え置きに反して25bpの利上げを決定→豪ドル円急上昇→ドル円連れ高)が支援材料となり、アジア時間午後にかけて、高値137.77(3/8以来、約2ヵ月ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、3/8高値137.92をバックに伸び悩むと、

(5)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り(利食い売り)や、(6)米3月製造業受注(結果+0.9%、予想+1.2%)の市場予想を下回る結果、(7)米3月JOLT雇用動態調査(結果959.0万件、予想977.5万件)の冴えない結果、(8)米国で高まる金融システム不安(米地銀株が大幅続落)、(9)米主要株価指数の急落(リスク回避の円買い圧力)、(10)米長期金利の急低下、(11)米債務上限を巡る問題再燃が重石となり、米国時間午後にかけて、安値136.32まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/3午前5時30分現在)では、136.54前後で推移しております。

2日(火)のユーロドル相場は振れを伴いながらも方向感に欠ける展開。(1)豪中銀による25bpのサプライズ利上げ(豪ドル急伸→ユーロ連れ高)や、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力、(3)独金利上昇に伴うユーロ買い圧力が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、一時1.1007まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)欧州中央銀行(ECB)による「ユーロ圏の銀行の与信基準が1ー3月期に予想以上に厳格化した」との見解公表や、(5)上記4を背景としたECBによる金融引き締め休止観測、

(6)短期筋のストップSELLが重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0942まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(7)米経済指標の冴えない結果や、(8)米国で高まる金融システム不安、(9)米長期金利の急低下が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1008まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/3午前5時30分現在)では、1.1002前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏4月消費者物価指数速報値は前年比+7.0%と市場予想の+6.9%を上回りましたが、市場の反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は3/24に記録した安値129.65をボトムに反発に転じると、昨日は一時137.77(約2カ月ぶり高値圏)まで急伸する場面も見られましたが、米国勢参入後は再び136.32まで急落する動きとなりました。ローソク足が3/8高値137.92トライに失敗し、更に市場参加者に意識されている200日移動平均線をも割り込んだことから、短期筋を中心にポジション解消の動き(米FOMC前のポジション調整の動き)が広がったと考えられます。こうした中、本日は日本時間5/4早朝3時00分に発表される米FOMCおよび、同3時30分より開始されるパウエルFRB議長記者会見に注目が集まります。25bpの利上げ実施は既に90%程度織り込まれているため、市場参加者の関心は、(1)利上げサイクルの打ち止めが示唆されるか否か、(2)年内利下げの可能性が示唆されるか否か、(3)インフレ警戒姿勢が和らげられるか否かの3つに絞られています。

上記1については、some additional policy firming may be appropriate(いくらかの追加引き締めが適切かもしれない)の文言が削除され、「追加利上げの有無についてデータ次第」といったニュアンスに変更される可能性が高いと考えています。但し、一部で期待されているような「利上げ打ち止め」をストレートに示唆する表現が盛り込まれる可能性は乏しいことから、市場ではこれを「ややタカ派的」と解釈する可能性がありそうです(ドル買い要因)。上記2については、声明文ではなく、パウエルFRB議長の記者会見での一挙手一投足から読み取っていく必要性がありそうです。ただ、市場が織り込んでいる年内利下げのタイミングは9月以降と時間的余地が残っているため(市場の織り込みを急いで修正する必要性に乏しいため)、今会合においては、時間稼ぎの意味も込めて、「利下げについての検討は時期尚早」といったコメントが繰り返されるものと推察されます。

市場はこれについてもタカ派的と解釈しそうです(ドル買い要因)。上記3については、前週末金曜日に発表された米3月PCEコアデフレータが市場予想を上回っているため、パウエルFRB議長がこのタイミングでインフレ警戒スタンスを和らげる可能性は乏しいと考えられます。こちらも、市場はタカ派的と解釈しそうです(ドル買い要因)。以上を踏まえ、当方では米FOMC後にドル買い圧力が再開する展開(ドル円相場の急反発)を本日のメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米FOMC以外にも、米4月ADP雇用統計や、米4月ISM非製造業景況指数などの重要イベントが予定されております。

本日の予想レンジ:135.50ー137.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、急反落。米金利低下と米株急落が重石。本日はFOMCに注目

ドル円日足

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