ドル円、一日天下の200日線超え、米FOMCに要注意
〇ドル円、136.30-40のサポートを割り込み135.80まで軟化
〇米国発金融不安、昨日再び蒸し返され一部米地銀株が急落
〇今週は注目材料目白押し、その結果如何ではドルが再上昇へと転じる可能性も
〇本日のFOMC、0.25%利上げはほぼ織り込み済、利上げ停止への言及の有無が焦点か
〇本日欧米時間のドル円予想レンジは135.00-137.00
<< 東京市場の動き >>
3日の東京市場はドルが弱含み。再び136円を割り込む局面も観測されていた。
ドル/円は136円半ばで寄り付いたのち、しばらくはドルが底堅い。136.30-40円がサポートになったが、割り込むとそのままズルズルと136円割れ。その後はドルの上値も重く136円挟みの展開をたどるなか、日中安値135.80円レベルまで再び軟化した。16時現在ではそのままドルの安値圏で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融不安」と「ロシア情勢」について。
前者は、先週末に話が急展開。「米銀最大手JPモルガン・チェースが預金と資産を買収する」ことが明らかとなった米中堅銀ファースト・リパブリック問題に端を発した米金融不安が、昨日再び蒸し返されていたようだ。実際、2日のNY市場でパックウエスト・バンコープが一時40%を超える下落をたどるなど、幾つかの米地銀株が大幅安をたどっている。サマーズ元米財務官から「銀行トラウマの大半は片付いた」といった発言が聞かれたものの、市場の安心感を喚起するまでには至らなかったようだ。
対して後者は、ロシアのウクライナ本格侵攻と、ウクライナの反転攻勢がいよいよ現実味を帯びてきたとして話題に。英国防省が反攻に向け、「ロシアはウクライナとの国境に近い自国領内に全長数百キロにわたる大規模な塹壕を構築した」とした戦況分析を発表。またロシア国防相も、国内企業に向け「ミサイルなど兵器の製造を急ぐよう指示」したことを明らかにしている。それに対し、ウクライナの陸軍司令官は「バフムト防衛を継続する」として徹底抗戦に出る考えを改めて示していた。なお別途、ウクライナと国境を接するロシアのブリャンスク州で前日に続いて2日にも貨物列車脱線事故が発生、様々な思惑を呼んでいたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
過去1週間ほどで4.5円ものドル高・円安が進行したドル/円は、昨日から本日にかけて大きな下押しに見舞われている。前日にはNYクローズでもしっかりと上回った移動平均の200日線を下回るなど、ドル強気派にとっては若干嫌なムードもなくはない。ただ、今週は本日NYの米FOMCをはじめ注目材料が目白押し。その結果如何ではまだまだ予断を許さない。ドルが再上昇へと転じる可能性もある。
今週は材料の多い一週間だが、その皮切りとして本日NY時間のFOMCで米政策金利が発表される予定だ。ちなみに、「0.25%の利上げ」はほぼ織り込まれており、市場の関心もそこではなく「次回以降に追加利上げを実施する余地があるのか否か」を見極めたいとする向きが多い。前述したように、再び米金融不安が鎌首をもたげてきたうえ、ブルームバーグによると「ウォーレン氏ら複数議員が書簡で利上げ停止を訴え」したという。「利上げ停止」に関する言及があっても不思議はない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日137.78円まで上昇し、年初来高値137.91円を一時視界内に捉えるも終わってみれば日足は陰線。前日超えた200日線も再び割り込んでいる。本日は米FOMCもあるため油断は禁物だが、飽くまでチャートの観点からするとドルを積極的には買いにくい環境と言えよう。ちなみに、4月26日安値133.02円を起点とした短期上昇に対するフィボナッチは38.2%戻しが135.95円、半値戻しが135.40円、61.8%押しは134.85円となる。さらなるドルの下押しも。
本日は米経済指標として、重要な4月のADP雇用統計や同ISM非製造業総合指数などが発表される予定となっている。もちろん、それらも要注意。しかし、もっとも注視されているのは米FOMCの結果発表とパウエル議長の会見だ。いずれにしても荒っぽい価格変動は避けられそうにない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは135.00-137.00円。ドル高・円安方向は本日東京高値を含めた136.60-70円の攻防に注目。超えれば200日線を目指す。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値である135.85-90円が最初のサポート。割り込むようなら前述した半値戻しの135.40円などがターゲットに。(了)
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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