トルコリラ円見通し　4月26日夜安値からの持ち直しを続けるも6.90円前後に抵抗感(23/4/28)

〇トルコリラ円、4/27夜の米GDP速報発表後には、ドル円の上昇を見ながら6.86から6.90へ反騰
〇4/28午前序盤にかけてやや失速していたものの、6.88から再び持ち直しつつある
〇対ドル、4/27は概ね19.46から19.39の取引レンジ、終値ベースでは19.43をつけ最安値を更新
〇昨日トルコ中銀は予想通りに政策金利を8.5％に据え置く、市場の反応は限定的
〇6.87を上回るうちは上昇余地ありとし、6.91超えからは6.92、6.93を順次試す上昇を想定する
〇6.85割れからは、6.83、6.81を順次試す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の4月27日は概ね6.90円から6.86円の取引レンジ、28日早朝の終値は6.89円で前日終値の6.87円からは0.02円の円安リラ高だった。
ドル円は4月19日高値で135.11円をつけて3月24日安値129.63円以降の高値を更新したあとは調整安に入り、米ファーストリパブリック銀の預金流出報道や米債務上限問題が暗礁に乗り上げていることによるリスク回避感から4月26日夜安値133.01円まで安値を切り下げたが、その後は下げ一服から持ち直しており、27日夜の米1-3月期ＧＤＰでの四半期個人消費支出指数が予想を上回ったことによる米長期債利回り上昇を見て134.19円へ上昇し、28日早朝へジリ安推移となったものの28日午前は134円到達まで一時戻している。

トルコリラ円はドル円の騰落を追いかけながらの展開で、26日夜に6.85円へ下落して4月19日高値6.96円以降の安値を更新した後は下げ渋りに入り、27日夜の米ＧＤＰ速報発表後にはドル円の上昇を見ながら6.86円から6.90円へ反騰し、28日午前序盤にかけてやや失速していたものの6.88円から再び持ち直しつつある。
4月27日20時にトルコ中銀は予想通りに政策金利を据え置いたが、市場の反応は限定的だった。
本日は昼頃に日銀金融政策決定会合の結果発表、午後に植田総裁の会見がある。当面は前体制からの金融緩和政策を維持するとしてきたが、今後の軌道修正を意識させるものになるのかどうか注目される。
また今夜は米1-3月期雇用コスト指数、米3月ＰＣＥデフレーター、シカゴ購買部景況指数、ミシガン大消費者信頼感指数確報の発表と重要指標の発表が相次ぐため、来週のＦＯＭＣ（5/2-5/3開催、5/4未明に声明発表と議長会見）へ向けて利上げ姿勢の強弱を思惑しながら反応してゆくことになる。

【対ドルでは取引時間中の最安値近辺、終値ベースでは最安値を更新】

ドル/トルコリラの4月27日は概ね19.46リラから19.39リラの取引レンジ、28日早朝の終値は19.43リラで前日終値の19.39リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
4月27日夕刻発表のトルコ4月経済信頼感指数は102.2となり3月の98.8から改善、市場予想の若干悪化するとの見通しに反したが市場の反応は鈍かった。

トルコ中銀が政策金利を8.5％で据え置いたことは市場予想通りだったが発表後はややドル高リラ安反応が見られ、その後に発表された米1-3月期ＧＤＰ速報値で四半期ＰＣＥデフレーターが予想を上回ったことで米長期債利回りが上昇して全般ドル高となったために19.46リラへとドル高リラ安が進行した。
手元のデータでは4月17日と19日の安値で19.46リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新してからも最安値近辺での推移が続いており27日も最安値更新を試している。ベンダーによっては19.70リラ台の最安値提示も見られた。日足の終値ベースでは25日終値19.42リラで最安値を更新したが27日は19.43リラへさらに最安値を更新しているが、ベンダーによっては終値を19.44リラとしている。

【トルコ中銀は予想通りに政策金利を据え置く】

トルコ中銀は4月27日の金融政策委員会（ＭＰＣ）において政策金利の週間レポレートを現行の8.5％で据え置いた。
トルコ中銀は昨年8月から11月まで4会合連続で利下げを行い政策金利を14％から9％まで引き下げた後、当面の利下げを終了するとして12月、1月の2会合連続で政策金利を据え置いた。しかし2月6日にトルコ南部大地震が発生したことを受けて8.50％へと3会合ぶりに利下げを行った。
トルコ中銀は主要国の利上げサイクルが終了局面に来ていることとインフレ動向を注意深く見ているとし、大地震後の経済回復を促進するためには2月に引き下げた政策金利を維持することが適切としたが、地震による経済への影響が長期化する可能性は低いとし、今後は回復が進むとの見通しを示した。また観光収入の拡大が経常収支の改善に寄与するとしたものの国内の消費やエネルギー価格の高騰及び輸出の低迷により経常収支には依然として悪化のリスクがあるとした。

60分足の一目均衡表では4月27日夜の反騰で遅行スパンが好転し、28日午前には先行スパンを上抜いてきているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月26日夜への下落では指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて上昇したが、60ポイント台到達では失速しており上値の重さも見られる。50ポイントを割り込んでも回復するうちは60ポイント台後半への上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
（１）当初、6.85円を下値支持線、6.91円を上値抵抗線とする。
（２）6.87円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、6.91円超えからは6.92円、6.93円を順次試す上昇を想定する。6.93円以上は反落警戒とするが、6.89円以上を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
（３）6.87円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、6.85円割れからは6.83円、6.81円を順次試す下落を想定する。6.82円以下は反騰注意とするが、6.87円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月28日
　16:00　3月　貿易収支　（2月　120.8億ドル）
　16:00　1-3月　観光収入　（10−12月　113.7億ドル）
　17:00　3月　海外観光客数　前年同月比　（2月　21.35％）
5月2日
　16:00　4月　イスタンブール製造業ＰＭＩ　（3月　50.9）
5月3日
　16:00　4月　消費者物価指数　前月比　（3月　2.29％）
　16:00　4月　消費者物価指数　前年同月比　（3月　50.51％）
　16:00　4月　生産者物価指数　前月比　（3月　0.44％）
　16:00　4月　生産者物価指数　前年同月比　（3月　62.45％）



注：ポイント要約は編集部