ドル円見通し 米GDP速報後の上昇は限定的、日銀金融政策決定会合待ち
〇ドル円、4/27夜の米GDP速報発表後に133.24へ下落してから134.19へ反発
〇その後134円台を維持できず、4/28午前序盤にかけてはややジリ安の推移
〇本日、日銀金融政策決定会合の結果発表と植田新総裁の記者会見、今後の軌道修正姿勢示すか注目
〇2023年1-3月期米GDPは鈍化したがプラス成長、インフレの高止まり感強める
〇米長期債利回り総じて上昇、NYダウは大幅上昇で前日までの下落をほぼ解消
〇133.50以上での推移中は上昇余地ありとし、134.19超えから4/24高値134.72を試す上昇を想定する
〇133.01割れからは、132円台中盤への下落を想定する、132.50以下は買われやすいと注意
【概況】
ドル円は4月19日高値135.11円からの下落基調が続いてきたが、26日夜安値で133.01円をつけた後は下げ渋り、27日夜の米1-3月期GDP速報の発表後に133.24円へ下落してから134.19円へ反発したが、134円台を維持できずに28日午前序盤にかけてはややジリ安の推移となっている。
米ファーストリパブリック銀の預金流出報道による信用不安の再燃と米債務上限問題によるリスク回避感からの下落は一服感があり、米GDP速報での四半期PCEデフレーターが予想を上回ったことによる米長期債利回りの上昇がドル円の上昇要因となったものの、28日昼頃の日銀金融政策決定会合と午後の植田新総裁による記者会見、夜の米3月PCEデフレーターの発表と続くため、市場もまず日銀の姿勢を見て、夜の統計を見定めて来週のFOMC内容を思惑してゆくことになる。
【日銀金融政策決定会合、今後の軌道修正姿勢を見せるか注目】
日銀は前日から開催している金融政策決定会合の結果を昼頃に発表し、午後には植田総裁の会見が行われる。植田総裁の就任直後ということもあり、これまでの国会答弁などによる金融緩和政策の維持姿勢を踏まえて今回の会合でも政策の現状維持が予想されているが、課題となっている長短金利操作=YCCの修正やマイナス金利からの脱却について検証を早期に終わらせて軌道修正を急ぐ姿勢を示すのか、課題を認識しつつ暫くは現状維持を続ける姿勢を強調するのか注目される。
日銀による景気予測としての「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」については1月の前回会合から上方修正されるのではないかと見られており、1月時点の前年度比1.6%から引き上げられる場合にどの程度になるのか、2025年度の見通しにおいて日銀目標の2.0%に届くのかどうかも注目される。
【米GDPは低調な伸びだがインフレの高止まり感を強める】
米商務省による2023年1-3月期GDP速報値は年率換算前期比1.1%増となり、10-12月期の2.6%から鈍化して市場予想の2.0%増を下回ったものの3四半期連続のプラス成長となった。
個人消費は前期比3.7%増で市場予想の4.1%には届かなかったものの前期の1.0%増から大幅に伸びたが、設備投資は0.7%増で前期の4.0%増から減速し、住宅投資は4.2%減で3四半期連続で10%を超える減少だったところからは悪化ペースが緩んだ。また輸出は4.8%増と持ち直した。
1-3月期のコアPCEデフレーターが前期比年率で4.9%上昇となり、前期の4.4%から伸びが加速して市場予想の4.7%を上回ったことはインフレの高止まり感を強めた。
1-3月期GDP統計を受けて、来週のFOMC(5/2〜5/3、4日未明に声明発表)における0.25%利上げと共に6月会合での追加利上げの可能性や、6月会合を現状維持で様子見としたとしてもその後のインフレ高止まり状況によっては夏秋の追加利上げの可能性もあるのではないかとの見方も取り沙汰されている。
前回の3月FOMCでは、3月10日に米銀破綻が発生した直後だったために0.25%利上げに留められてあと1回の利上げを検討しているとされたが、落ち着いていた信用不安についてはファーストリパブリック銀の預金流出問題が再燃しており、銀行による与信基準の厳格化が金融引き締め効果をもたらすことも含めてFOMCの判断を難しくさせている。
【米長期債利回りは続騰、NYダウは反騰】
4月27日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.07%上昇の3.52%となり、26日の0.05%上昇からの続騰となった。米GDP統計でのコアPCE四半期デフレーターの上昇による利上げ継続感と米債務上限問題を意識した債券売りが利回り上昇に反映された。
30年債利回りは前日比0.04%上昇の3.75%となり26日の0.05%上昇からの続騰、利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.13%上昇の4.08%となり26日に3.87%まで低下したところから反騰した。
一方でNYダウは前日比524.29ドル高と大幅上昇となり、25日の344.57ドル安と26日の228.96ドル安による大幅下落をほぼ解消した。GDP速報の内容よりもメタの増収などをきっかけにハイテクIT関連株が上昇したことに押し上げられたようで、ナスダック総合指数も287.89ポイント高で26日の55.19ポイント高からの連騰となった。信用不安問題や債務上限問題などを気にしつつも先高感を優先させている印象だが、前日まで大幅続落していたファーストリパブリック銀も8.8%高と戻している。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は4月26日夜に133.01円へ下落した後は新たな安値更新を回避して27日夜には一時134円台へ戻したため、26日夜安値で目先の底をつけて持ち直しを試しているところと思われる。26日夜安値割れを回避するうちは5月1日夜にかけて上昇余地ありとみるが、26日夜安値を割り込む場合は5月3日夜にかけての下落を想定する。4月24日高値134.72円を超えれば4月19日以降の右肩下がりの調整から抜け出して上昇感が強まると思われるが、超えないうちは下落基調の継続を警戒する。
60分足の一目均衡表では4月27日夜の反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は4月26日夜にかけての安値更新に際して指数のボトムがやや切り上がる強気逆行を見せてから60ポイント超えへ戻したが、28日午前序盤には50ポイント割れを試すところまで失速しているため上昇に勢いが見られない。次に60ポイントを超えるところからは上昇再開とみて70ポイント台を目指すとみるが、40ポイント割れからは下落感が強まるとみて30ポイント割れへ向かう流れと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月26日夜安値133.01円を下値支持線、27日夜高値134.19円を上値抵抗線とする。
(2)133.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、134.19円超えからは4月24日高値134.72円を試す上昇を想定する。日銀金融政策や米経済指標により上昇が勢い付く場合は135円に迫る可能性もあるとみる。また133.50円以上での推移か直前高値から1円を超える反落が発生しなければ週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)133.01円割れからは132円台中盤への下落を想定する。132.50円以下は買われやすいと注意とするが、円高が勢い付く場合は132円台序盤を試す可能性もあると注意する。また133.01円を割り込んだ後も133.25円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
4/28(金)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数(PPI) 前期比 (10-12月 0.7%)
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数(PPI) 前年同期比 (10-12月 5.8%)
14:00 (日) 3月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (2月 -0.3%、予想 -4.3%)
15:00 (独) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 -2.4%、予想 -0.9%)
15:00 (独) 3月 輸入物価指数 前年同月比 (2月 2.8%、予想 -3.6%)
15:30 (日) 植田日銀総裁、記者会見
16:55 (独) 4月 失業者数 前月比 (3月 1.60万人、予想 1.00万人)
16:55 (独) 4月 失業率 (3月 5.6%、予想 5.6%)
17:00 (独) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (10-12月 -0.4%、予想 0.2%)
17:00 (独) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (10-12月 0.3%、予想 0.8%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (10-12月 0.0%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (10-12月 1.8%、予想 1.4%)
21:00 (独) 4月 消費者物価指数(CPI)速報値 前月比 (3月 0.8%、予想 0.6%)
21:00 (独) 4月 消費者物価指数(CPI)速報値 前年同月比 (3月 7.4%、予想 7.3%)
21:30 (米) 1-3月期 雇用コスト指数 前期比 (10-12月 1.0%、予想 1.1%)
21:30 (米) 3月 個人所得 前月比 (2月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 個人消費支出(PCE) 前月比 (2月 0.2%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 3月 PCEデフレーター 前年同月比 (2月 5.0%、予想 4.1%)
21:30 (米) 3月 PCEコアデフレーター 前月比 (2月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (2月 4.6%、予想 4.5%)
22:45 (米) 4月 シカゴ購買部協会景況指数 (3月 43.8、予想 43.5)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 63.5、予想 63.5)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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