トルコリラ円見通し 米CPI発表後の円高に合わせて急落、対ドルでのリラ安も継続(23/4/13)

トルコリラ円の4月12日は概ね6.94円から6.87円の取引レンジ、13日早朝の終値は6.89円で前日終値の6.93円からは0.04円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 米CPI発表後の円高に合わせて急落、対ドルでのリラ安も継続(23/4/13)

米CPI発表後の円高に合わせて急落、対ドルでのリラ安も継続

〇トルコリラ円はドル円の騰落を追いかける展開、米CPI発表後の円高局面で6.87へ急落
〇4/5夜安値6.79起点の上昇が4/10夜と12日昼の両高値をダブルトップに下落期に入った印象
〇今夜は米3月PPI、明日は3月米小売売上高発表、ドル円下げるならトルコリラ円も下落感強まる
〇対ドルでは終値ベースの史上最安値更新続く、12日は19.30で最安値更新
〇12日夕刻発表のトルコ2月小売売上高は前月比6.5%減で1月の5.7%増から大幅に悪化
〇6.90から6.92にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる
〇6.87割れからは6.85、6.83を順次試す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の4月12日は概ね6.94円から6.87円の取引レンジ、13日早朝の終値は6.89円で前日終値の6.93円からは0.04円の円高リラ安だった。
4月12日夜に発表された3月の米CPI上昇率が全体の前月比及び前年比で鈍化したことで米FRBによる利上げ継続期間の短縮と年後半に利下げが議論される可能性が高まったとしてドル円は発表直前高値133.90円から132.73円へ急落し、その後も133円台前半までの戻りにとどまり13日午前には再び133円を割り込むなど上昇一巡感が出ている。

トルコリラ円はドル円の騰落を追いかける展開で、ドル円が12日昼に134.04円を付けたところで6.94円へ上昇したが4月10日高値6.95円には一歩届かず、米CPI発表後の円高局面で6.87円へ急落した。ドル円の下げ渋りにより一時は6.91円まで持ち直したものの13日早朝からは再び6.90円を割り込んでいる。
トルコリラ円は4月5日夜安値6.79円を起点とした上昇が4月10日夜と12日昼の両高値をダブルトップとして下落期に入った印象だ。
今夜は米3月PPI、明日夜は3月米小売売上高等の発表があるが、ドル円がさらに下げるようだとトルコリラ円も上昇一巡による下落感が強まりかねないと注意したい。

【対ドルでは終値ベースの史上最安値更新続く】

ドル/トルコリラの4月12日は概ね19.32リラから19.27リラの取引レンジ、13日早朝の終値は19.30リラで前日終値の19.28リラから0.02リラのドル高リラ安となった。
4月12日は米3月CPIの発表がありコア指数が前年比2月の5.5%から予想通りに5.6%へ上昇して高止まりの様相を示したものの全体の前年比が2月の6.0%から5.0%へ低下して市場予想の5.2%を下回ったため、次回FOMCでの0.25%利上げが決定された後は利上げ停止に入り、年後半には利下げの議論も始まるのではないかと市場は受け止め、為替市場ではドル安となりユーロやポンドが上昇、ドル円が急落した。
米CPIのトルコリラへの影響が限定的で、中長期的なリラ安基調の継続と共に、4月12日夕刻に発表された2月のトルコ小売売上高が地震の影響もあって悪化したことがリラ売り要因となった。

手元のデータでは4月7日に付けた19.45リラが取引時間中の史上最安値でありその後は新たな安値更新へ進んでいないものの、終値ベースでは4月10日終値19.27リラから11日終値19.28リラへ最安値を更新していたが、12日は19.30リラへとさらに最安値を更新している。
3月10日の米銀破綻をきっかけとした信用不安の発生と軌を一にしてリラ安の勢いが一段と加速している印象もある。

【トルコ小売売上高が大幅に悪化】

4月12日夕刻に発表されたトルコの2月小売売上高は前月比が6.5%減となり1月の5.7%増から大幅に悪化、2022年6月の0.1%減以来のマイナスでマイナス幅としてはパンデミックが発生した2020年3月の8.4%減、同年4月の20.3%減以来の大幅減となった。
前年同月比は21.5%増で1月の34.0%から鈍化したが、リラ安と高インフレにより名目的にかさ上げされた状況で1月から12.5%も鈍化したことは顕著な悪化といえる。

トルコ統計局によれば2月の悪化は2月6日に発生したトルコ南部大地震の影響とされる。前日に発表された2月の鉱工業生産も前月比6.0%減で1月の2.0%増から大幅に悪化し、前年同月比も8.2%減となり1月の4.6%増から大幅に悪化したが、トルコ大地震の影響が統計にも顕著に表れてきたという印象だ。
エルドアン政権にとっては復興政策を巧く乗り切れば大統領選挙において現職として再選へ有利に運ぶこともできるかもしれないが、震災級の被害が発生して仮設住宅やテント暮らしが続いていることや復旧がなかなか進まない状況とリラ安による物価高騰が解消されていない現状では復興政策への信頼よりも現政権批判が勝る状況となりかねない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月10日深夜高値からの反落でいったん弱気サイクル入りしたものの、12日未明への反騰により12日午前時点では11日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしたところとした。また4月10日深夜とのダブルトップ形成に終わる可能性もあると注意して11日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
4月12日昼への上昇で10日深夜高値に迫ったものの12日夜の急落で11日夜安値を割り込んだため、ダブルトップ形成から弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は14日夜から18日夜にかけての間とし、6.92円を超えるところからは強気転換注意とするが、現時点からの強気サイクル入りには12日昼高値を上抜く必要があると考える。

60分足の一目均衡表では4月12日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12日夜の急落時に30ポイントへ低下してから下げ渋っているものの40ポイント台が抵抗となっているためまだ一段安余地が残る。相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰注意とし、50ポイント台を維持する上昇へ進むところからは反騰継続と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.87円を下値支持線、6.92円を上値抵抗線とする。
(2)6.90円から6.92円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。6.92円超えからは6.94円前後への上昇を想定するが、6.94円以上は反落警戒とする。
(3)6.87円割れからは6.85円、6.83円を順次試す下落を想定する。また6.90円以下での推移なら13日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月13日
 20:30 週次 外貨準備高 4月7日時点 グロス(3月31日時点 702.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4月7日時点 ネット(3月31日時点 184.7億ドル)
4月17日
 17:00 3月 財政収支 (2月 -1705.6億リラ)
4月19日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 80.1)

注:ポイント要約は編集部

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