ドル円見通し 米3月CPI上昇率は概ね予想を下回りドル安反応(23/4/13)

ドル円は4月12日夜の米3月CPI上昇率がコア指数を除いて市場予想を下回ったことによるドル安反応で発表前の高値133.90円から132.73円へ急落した。

ドル円見通し 米3月CPI上昇率は概ね予想を下回りドル安反応(23/4/13)

米3月CPI上昇率は概ね予想を下回りドル安反応

〇ドル円、12日夜の米3月CPIが市場予想下回りドル安反応、発表前高値133.90から132.73へ急落
〇6月以降の利上げ停止や年後半には利下げ議論の可能性高まり、ドル安継続感強める
〇4/10と4/12の両高値ををダブルトップに4/5からの上昇が一巡し下落期に入った印象
〇今夜は米3月PPI、明日は米3月小売売上高発表など内容次第ではドル安が勢いを増す可能性も
〇13日未明公表の3/21-22開催FOMC議事要旨は米銀破綻発生直後だったために概ねハト派的に
〇12日夜安値132.73割れからは132円前後への下落を想定、132円以下は反騰注意
〇133.50超えからは12日昼高値134.04試し、134円手前では戻り売りにつかまりやすい

【概況】

ドル円は4月12日夜の米3月CPI上昇率がコア指数を除いて市場予想を下回ったことによるドル安反応で発表前の高値133.90円から132.73円へ急落した。いったん下げ止まり133円台序盤へ戻していたが、13日午前序盤には133円を再び割り込んでいる。
米CPI発表直後はユーロやポンドが急伸、ドル円が急落したが、初期的なドル売りが一巡した後はドル円が下げ渋り、ユーロやポンドもいったん反落した。コア指数が高止まりの様相のため5月のFOMCにおける利上げ見送りにはならないとの見方がドル安へのブレーキとなったが、6月以降の利上げ停止や年後半には利下げが議論される可能性が高まったとしてユーロなどは13日未明へ高値を更新してドル安継続感を強めた。

ドル円は4月10日深夜高値133.86円に対して12日昼高値134.04円でわずかに超えたものの両高値の中間にあった11日夜安値132.93円を割り込んだため、両高値をダブルトップ型として4月5日夜安値130.63円からの上昇が一巡して下落期に入った印象だ。
今夜は米3月PPIと週間新規失業保険申請件数、明日夜は米3月小売売上高やミシガン大の消費者信頼感指数及び予想インフレ率の発表があり、内容次第ではドル安が勢いを増す可能性もあるところと考える。

【米CPIは低下、コア指数は高止まり気配で次回利上げ見送りには至らず】

米労働省による3月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前月比0.1%となり2月の0.4%から鈍化して市場予想の0.2%を下回り、前年比は5.0%で2月の6.0%から低下して市場予想の5.2%も下回り2021年5月以来の低水準となった。一方でコアCPIの上昇率は前月比0.4%で2月の0.5%から鈍化したものの予想と一致、前年比は5.6%で予想と一致したが2月の5.5%からはわずかな上昇だが6か月振りに前月から上昇した。
CPI全体の伸び率は昨年6月をピークに9か月連続の鈍化となっているが、サービス価格上昇等によりコア指数が高止まりの様相となっている。

4月12日の米金利先物市場では次回FOMCでの0.25%利上げの確率が発表前の73%から68%へ低下したが依然として50%を超えており、次回会合での利上げ見送りはなさそうだと市場は受け止めたようだが、年末にかけて利下げへ向かう可能性は高いままとなっている。
米リッチモンド連銀のバーキン総裁は3月CPIについては「ほぼ予想通りの結果」とし、「前年比5%強でコア指数が推移しており、コアインフレを望ましい水準に戻すにはまだやるべきことがある」と追加利上げ支持姿勢を示した。

一方でサンフランシスコ連銀のデイリー総裁は「追加の金融引き締めがなくとも米景気が鈍化し続けると考えられる十分な根拠がある」、「米銀破綻をきっかけとした信用不安により与信基準が今後数四半期で一段の厳格化が見込まれる」として利上げに慎重な姿勢を示しつつも「まだやるべきことがある」と利上げの可能性に言及している。
4月13日未明に公表された3月21-22日開催のFOMC議事要旨は米銀破綻発生直後だったために概ねハト派的で、米銀破綻による広範な金融ストレスが引き起こされないと明確になるまで利上げを一時停止することも検討されたがインフレ対応を優先するとして0.25%利上げに踏み切ったようだ。また米銀破綻がなければ0.50%利上げが妥当だという意見もあったようだ。

【米長期債利回りはまちまち】

4月12日の米長期債利回りはまちまち。
長期金利指標の10年債利回りは一時3.36%まで低下してから持ち直したが前日比0.03%低下の3.40%で終了、30年債利回りは3.60%から3.69%のレンジで乱調となり0.01%上昇の3.63%で終了、利上げに敏感な2年債利回りは3.92%まで低下してから戻したものの0.07%低下の3.96%で終了した。いずれも3月からの急落は落ち着いているが低水準での持ち合いの様相であり、今後の米経済指標や要人発言等で方向性を探る展開と思われる。
一方でNYダウは前日比38.29ドル安と下落に終わった。米CPI発表後にダウ先物が急伸し、ダウも取引開始から上昇したもののCPIの内容だけでは先行きの楽観へは進み切れないとして乱調な展開となりマイナス圏へ下げて終了した。ナスダック総合指数も102.54ポイント安と下落した。まだ金融市場全般が気迷いの様相だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は4月10日深夜高値133.86円を4月12日昼高値134.04円でわずかに上抜いたものの12日夜の急落で132.73円を付けて11日夜安値132.93円を割り込んだため、10日深夜と12日昼の両高値をダブルトップ型として下落した印象だ。4月12日夜に急落した後は下げ渋っているため、12日夜安値割れから続落へ進まなければ4月5日深夜安値130.63円以降の上昇基調を維持しうると思われるが、安値更新からは上昇基調の支持線割れに入るため4月3日から5日深夜にかけての間へ下落した時のような展開へ進む可能性も警戒される。
当面、133.50円以下での推移中は14日夜から17日夜にかけての間への下落を想定し、133.50円超えからは強気転換注意とし、12日昼高値超えからは新たな上昇期入りとして17日から19日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では4月12日夜の反落で遅行スパンが悪化したが先行スパンからの転落はひとまず回避している。先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月12日夜の下落で30ポイント台へ下げたが、その後は40ポイントを挟んで揉み合いとなっている。50ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント台への低下へ進む可能性があるとみるが、50ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみて60ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月12日夜安値132.73円を下値支持線、133.50円を上値抵抗線とする。
(2)133.50円以下での推移か一時的に超えても失速するうちは一段安余地ありとし、12日夜安値割れからは132円前後への下落を想定する。132円以下は反騰注意とするが、133円以下での推移なら14日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)133.50円超えからは12日昼高値134.04円試しとするが、134円手前では戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/13(木)
休場 タイ
未 定 (中) 3月 貿易収支・米ドル (2月 168.2億ドル、予想 392.0億ドル)
未 定 (中) 3月 貿易収支・人民元 (2月 1122.0億元)
10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 6.46万人、予想 2.00万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 3.5%、予想 3.6%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数(CPI)改定値 前月比 (速報 0.8%、予想 0.8%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数(CPI)改定値 前年同月比 (速報 7.4%、予想 7.4%)
15:00 (英) 2月 月次GDP 前月比 (1月 0.3%、予想 0.1%)
15:00 (英) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 -0.3%、予想 0.2%)

15:00 (英) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 -4.3%、予想 -3.7%)
15:00 (英) 2月 貿易収支・物品 (1月 -178.55億ポンド、予想 -170.00億ポンド)
15:00 (英) 2月 貿易収支 (1月 -58.61億ポンド、予想 -49.00億ポンド)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 0.7%、予想 1.0%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 0.9%、予想 1.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.8万件、予想 23.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 182.3万人、予想 181.4万人)
21:30 (米) 3月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (2月 -0.1%、予想 0.0%)

21:30 (米) 3月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (2月 4.6%、予想 3.0%)
21:30 (米) 3月 PPIコア指数 前月比 (2月 0.0%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 PPIコア指数 前年同月比 (2月 4.4%、予想 3.4%)
22:00 (英) ピル英中銀理事、講演
26:00 (米) 財務省30年債入札
27:00 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演

4/14(金)
休場 タイ、インド、ギリシャ
15:00 (独) 3月 卸売物価指数(WPI) 前月比 (2月 0.1%)
21:30 (米) 3月 小売売上高 前月比 (2月 -0.4%、予想 -0.4%)
21:30 (米) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 -0.1%、予想 -0.4%)
21:30 (米) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 -0.1%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 3月 輸出物価指数 前月比 (2月 0.2%、予想 -0.3%)
22:15 (米) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 0.0%、予想 0.3%)
22:15 (米) 3月 設備稼働率 (2月 78.0%、予想 79.0%)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (3月 62.0、予想 62.8)
23:00 (米) 2月 企業在庫 前月比 (1月 -0.1%、予想 0.3%)
25:00 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
27:15 (独)  ナーゲル独連銀総裁、講演

注:ポイント要約は編集部

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