ドル円見通し 弱い米経済指標続き131円を割り込む(23/4/6)

ドル円は、5日深夜安値130.63円へ一段安した。

ドル円見通し 弱い米経済指標続き131円を割り込む(23/4/6)

弱い米経済指標続き131円を割り込む

〇ドル円、5日深夜安値130.63へ一段安、一旦戻すも再び131円を割り込み下落基調続く
〇今夜は新規失業保険申請件数の発表、ブラード・セントルイス連銀総裁の講演に注目
〇7日はグッドフライデー、夜に米3月労働省雇用統計の発表で大きく変動しやすく注意
〇ADP民間雇用者数、ISMサービス業景況指数は共に予想を下回る
〇5日の米長期債利回りは総じて低下、10年債利回りは3.31%で6営業日連続の低下
〇131.40超えからは132円手前を試す、132円手前では戻り売りにつかまりやすいとみる
〇131円以下での推移中は下向きとし、130.63割れからは130円前後試しを想定

【概況】

ドル円は4月4日の2月米求人件数が予想外に大幅減少したことと2月米製造業受注が前月比で2か月連続のマイナスとなったことによるドル安で4日夜高値133.16円から5日未明安値131.51円へ急落したが、5日の日中もジリ安の推移が続き、5日夜の米ADP民間雇用が予想を下回る増加数にとどまり3月のISMサービス業景況指数も前月から悪化したこと、貿易収支も3か月連続の赤字拡大となるなど米経済指標が総じて弱い中で5日深夜安値130.63円へ一段安した。6日早朝にいったん131.40円まで戻したものの8時過ぎには再び131円を割り込んでおり4月3日高値133.74円を起点とした下落基調が続いている。
今夜は新規失業保険申請件数(前週19.8万件、予想は 20.0万件)の発表、ブラード・セントルイス連銀総裁の講演がある。4月7日はグッドフライデー(聖金曜日)の祝日となり株式と商品が休場、為替市場は通常、債券は現地正午までの短縮取引となるが、夜には米3月労働省雇用統計の発表があるため大きく変動しやすいと注意したい。

【ADP民間雇用者数、ISMサービス業景況指数は共に予想を下回る】

米民間雇用サービス会社ADPによる3月の非農業部門民間就業者数は前月比14万5000人増となり、2月の26万1000人増(速報の24万2000人増から上方修正)及び市場予想の20万人増を下回った。建設業や流通、レジャー・接客等が増加したものの製造と情報、金融、ビジネスサービス等は減少した。今週末の米労働省雇用統計では非農業部門就業者数について24万人増と予想されて2月の31.1万人増から伸びが鈍るとみられているが、ADP統計も増加が鈍る傾向を示している。
米サプライ管理協会(ISM)による3月の米サービス業景況指数は51.2となり、2月の55.1から大幅に低下して市場予想の54.5を下回った。内訳では新規受注が10.4ポイント低下の52.2、雇用が2.7ポイント低下の51.3となった。
S&Pグローバルによる3月の米サービス業PMI確報値は52.6となり、速報の53.8から下方修正された。
米商務省による2月貿易収支ではモノとサービスを合わせた貿易赤字が前月比2.7%増の705億ドルとなり、3カ月連続の赤字拡大となった。輸出は2.7%減、輸入も1.5%減だった。

4月4日夜の2月雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門求人数が前月比63万2000件減の993万1000件となり、市場予想の1040万件を大幅に下回ったが、4月3日の米3月ISM製造業景況指数が2月の47.7から46.3へ悪化したこと等、このところの米経済指標は軟調な内容が続いており、米FRBによる次回FOMCでの利上げが見送られる可能性も指摘されている。
米クリーブランド連銀のメスター総裁は4月5日に利上げの必要性を主張しつつも、次回FOMCでの0.25%利上げについては「まだ多くのデータの発表が控えており経済がどうなっているのか見ていきたい」と述べて判断を保留している。

【米長期債利回りは週末からの低下続く、ナスダックも3日続落】

4月5日の米長期債利回りは総じて低下した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.03%低下の3.31%となったが3月29日の3.61%を付けたところから6営業日連続の低下。30年債利回りは0.03%低下の3.57%で10年債と同じく6営業日連続の低下。利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.05%低下の3.79%となったが、一時は3.65%まで下げ、3月31日から4営業日連続の低下となった。
CMEの金利先物市場では次回FOMCでの利上げ見送り予想確率が58.8%へ上昇しており、利上げ見送りや利下げ時期が早まるとの見方が強まってきている。
一方でNYダウは前日比80.34ドル高と小幅上昇したものの前日の高値を超えずに上げ渋りの様相となり、ナスダック総合指数は129.47ポイント安と下落して4月3日から3営業日続落となった。先週までは米経済指標の悪化に対しては利上げ期間の短縮が連想されて株高要因となっていたが、今週は米経済指標の悪化が景気減速への不安感をもたらすものとして株安要因に変わってきている。米長期債利回りの低下と株安はともにドル円にとっては下落要因となる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は3月24日安値129.63円からの上昇が一巡して4月3日午後高値133.74円から下落に転じている。4月4日午前安値132.16円から欧州時間の高値へ1円を超える反発を入れてから一段安したため、4月4日午前安値を起点として次の安値形成期は4月7日から11日にかけての間と想定する。多少戻しても戻り高値が切り下がって一段安を繰り返しているため、強気転換には132円を超えて戻り高値切り上げ型へと変わる必要がありそうだ。徐々に3月24日安値129.63円へ迫ってゆく可能性もあると注意する。

60分足の一目均衡表では4月3日深夜への急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、4月4日夜の反発では両スパン共に好転できずに一段安となり、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。遅行スパン好転からは戻りを試すとみるが、その際は先行スパンが上値抵抗帯になりやすく、その後に遅行スパンが悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は4月5日午前と深夜に30ポイントを試してから戻したもののいずれも40ポイント台で戻り売りにつかまっている。50ポイントを超えないうちは一段安警戒が続く。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月5日深夜安値130.63円を下値支持線、6日早朝高値131.40円を上値抵抗線とする。
(2)131.40円超えからは132円手前を試すとみるが、132円手前では戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)131円以下での推移中は下向きとし、130.63円割れからは130円前後試しを想定する。130.00円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が速まる場合は3月24日安値129.63円試しへ向かう可能性もあるとみる。

【当面の主な予定】

4/6(木)
ロシア外相、トルコ訪問(4/7まで)
休場 ノルウェー、メキシコ、タイ、フィリピン
10:30 (豪) 2月 貿易収支 (1月 116.88億豪ドル、予想 111.00億豪ドル)
10:45 (中) 3月 財新サービス業PMI (2月 55.0、予想 55.0)
15:00 (独) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 3.5%、予想 -0.1%)
15:00 (独) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 -1.6%、予想 -2.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 19.8万件、予想 20.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.9万人、予想 169.9万人)
23:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演

4/7(金)
休場 米国(グッドフライデー、為替は通常、債券は短縮、株式と商品は休場)
休場 カナダ、ドイツ、スイス、フランス、英国、イタリア、ノルウェー、メキシコ、南ア、インド
休場 ニュージーランド、オーストラリア、香港、シンガポール、インドネシア、ブラジル等
休場 マレーシア(ゴム休場、株式と金融債券は通常取引)
08:30 (日) 2月 全世帯消費支出 前年同月比 (1月 -0.3%、予想 4.8%)
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI・速報値 (1月 96.6)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI・速報値 (1月 96.4)
21:30 (米) 3月 非農業部門就業者数 前月比 (2月 31.1万人、予想 24.0万人)
21:30 (米) 3月 失業率 (2月 3.6%、予想 3.6%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前月比 (2月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前年同月比 (2月 4.6%、予想 4.3%)

注:ポイント要約は編集部

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