ドル円見通し 3月20日安値からの戻り一巡、FOMC後に急落(23/3/23)

ドル円は23日未明の米FOMCによる0.25%利上げ決定と、あと1回で利上げ終了との見通しを受けて131円台序盤へ急落、早朝に131.00円丁度を付けた。

ドル円見通し 3月20日安値からの戻り一巡、FOMC後に急落(23/3/23)

3月20日安値からの戻り一巡、FOMC後に急落

〇ドル円、23日未明FOMCで0.25%利上げ決定と、あと1回で利上げ終了の見通し受け131円台序盤へ急落
〇3/8の年初来高値を起点とした下落、3/22夜高値からの反落で三段目の下げに入ってきた印象
〇パウエル議長、利下げについては「ベースシナリオではない」として利下げ期待をけん制
〇22日の米長期債利回りは総じて大幅低下、10年債はFOMC後に低下し前日比0.16%低下の3.45%に
〇131円台後半から132円手前までの水準は戻り売りにつかまりやすいとみる
〇131円割れからは130.55試し、130.55割れからは130.00、129.50を順次試してゆく下落を想定

【概況】

ドル円は3月20日安値130.55円からの戻りを継続して22日夜高値で132.99円を付けたが、23日未明の米FOMCによる0.25%利上げ決定と、あと1回で利上げ終了との見通しを受けて131円台序盤へ急落、早朝に131.00円丁度を付けた。
3月20日安値割れには至っていないが、3月20日夕安値から22日夜高値まで2.44円の戻りを入れたところからの反落で戻り幅の大半を解消しており、3月13日夜安値132.27円から15日夜高値135.09円まで2.82円の戻りを入れて一段安へ向かった時に近い動きと思われる。
3月8日に付けた年初来高値137.91円を起点とした下落は3月13日夜安値までを一段目、3月20日夕安値までを二段目とすれば、3月22日夜高値からの反落により三段目の下げに入ってきた印象だ。

【FOMC、あと1回の利上げ見通し】

米FRB(連邦準備制度理事会)は3月21-22日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%引き上げた。利上げは9会合連続、政策金利は年4.75〜5.00%となり2007年以来で最高水準となった。
前回会合で利上げペースを0.25%へ減速した後、インフレの高止まり等により0.50%利上げの可能性が浮上していたが、3月10日の米銀破綻から信用不安が拡大したことにより利上げが見送られる可能性も取り沙汰されていた。しかしイエレン米財務長官が「バイデン政権の最重要課題はインフレ抑制」と強調し、ECBも金融危機には陥らないとしてインフレ抑制のための0.50%利上げを決定したことにより、今回のFOMCでは0.25%利上げが事前予想の中心となっていた。

パウエル議長は会見で、「銀行破綻が起きたばかりで不透明感が強い」とし、「前回会合以降の経済指標は想定よりも強かったが、(銀行破綻による信用不安という)相殺する要因を踏まえて0.25%利上げが適切」としたが、「今回の会合では政策金利の据え置きも検討された」とも述べた。信用不安については「全ての預金者と銀行システムは安全」として不安の払しょくに努めたが、「信用不安拡大が経済に及ぼす影響に言及するのは時期尚早」と警戒感を示しつつ、「ソフトランディングへの道は存在すると考える」とし、利下げについては「ベースシナリオではない」として利下げ期待をけん制した。

【米長期債利回りは低下、ダウは大幅下落】

3月22日の米長期債利回りは総じて大幅低下した。長期金利指標の10年債利回りは一時3.64%まで上昇していたもののFOMC声明発表後に低下して前日比0.16%低下の3.45%となった。イエレン米財務長官が銀行破綻問題に関し「保険対象外の預金を保護することは考えていない」と上院公聴会で発言したことでリスク回避感が強まりNYダウが下落したために株売り・債券買いで利回り低下を招いた側面もあった。
30年債利回りは0.06%低下の3.67%、利上げに敏感な2年債利回りは0.22%低下の3.96%となった。
一方でNYダウは前日比530.49ドル安と大幅下落し、ナスダック総合指数も190.15ポイント安と下落した。FOMC声明発表直後に上昇したもののパウエル議長が会見で利下げ期待をけん制したことやイエレン米財務長官発言を嫌気して急落に転じた。株式市場の動向をみる限り、信用不安拡大への懸念はやや落ち着いたとはいえ払拭できていないようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は3月20日夕安値130.55円から22日夜高値132.99円まで戻してから急落しており、戻り一巡で新たな下落期に入っている印象だ。安値形成期は27日夕にかけて想定し、132円を下回るうちは一段安警戒とする。

60分足の一目均衡表では3月23日未明へ急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンが上値抵抗帯となりやすい状況とし、強気転換には先行スパンを上抜き返す反騰が必要と思われる。

60分足の相対力指数は3月21日夜から22日夜への高値切り上げに際して指数のピークが頭打ちとなる弱気逆行が見られた状況から30ポイント割れへと急落した。その後も30ポイント台にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換には50ポイント台を回復する反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月20日夕安値130.55円を下値支持線、132.00円を上値抵抗線とする。
(2)131円台後半から132円手前までの水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)131円割れからは130.55円試しとし、130.55円割れからは130.00円、129.50円を順次試してゆく下落を想定する。132円以下での推移か、直前安値から1.50円を超える反騰が見られないうちは24日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/23(木)
EU首脳会議(3/24まで)、米韓合同軍事演習最終日
17:30 (ス) スイス中銀 政策金利 (現行 1.00%、予想 1.50%)
18:00 (ノ) ノルウェー中銀 政策金利 (現行 2.75%、予想 3.00%)
20:00 (ト) トルコ中銀 政策金利 (現行 8.50%、予想 8.50%)
21:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 4.00%、予想 4.25%)
21:30 (米) 10-12月期 経常収支 (7-9月 -2171億ドル、予想 -2132億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 19.2万件、予想 19.7万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.4万人、予想 168.4万人)
23:00 (米) 2月 新築住宅販売件数・年率換算 (1月 67.0万件、予想 65.0万件)
23:00 (米) 2月 新築住宅販売件数 前月比 (1月 7.2%、予想 -3.0%)
24:00 (欧) 3月 消費者信頼感・速報値 (2月 -19.0、予想 -18.3)
24:00 (英) マン英中銀委員、講演
25:00 (欧) レーンECB理事、講演

3/24(金)
EU首脳会議最終日
08:30 (日) 2月 全国消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (1月 4.3%、予想 3.3%)
08:30 (日) 2月 全国CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (1月 4.2%、予想 3.1%)
08:30 (日) 2月 全国CPI・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (1月 3.2%、予想 3.4%)
09:01 (英) 3月 GFK消費者信頼感 (2月 -38、予想 -35)
16:00 (英) 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.5%、予想 0.2%)
16:00 (英) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 -5.1%、予想 -4.7%)
16:00 (英) 2月 小売売上高・除自動車 前月比 (1月 0.4%、予想 0.2%)
16:00 (英) 2月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (1月 -5.3%、予想 -4.8%)
17:30 (独) 3月 製造業PMI・速報値 (2月 46.3、予想 47.0)
17:30 (独) 3月 サービス業PMI・速報値 (2月 50.9、予想 51.0)

18:00 (欧) 3月 製造業PMI・速報値 (2月 48.5、予想 49.0)
18:00 (欧) 3月 サービス業PMI・速報値 (2月 52.7、予想 52.5)
18:15 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演
18:30 (英) 3月 製造業PMI・速報値 (2月 49.3、予想 49.7)
18:30 (英) 3月 サービス業PMI・速報値 (2月 53.5、予想 53.0)
21:30 (米) 2月 耐久財受注 前月比 (1月 -4.5%、予想 1.5%)
21:30 (米) 2月 耐久財受注・除輸送用機器 前月比 (1月 0.7%、予想 0.3%)
22:45 (米) 3月 製造業PMI・速報値 (2月 47.3、予想 47.0)
22:45 (米) 3月 サービス業PMI・速報値 (2月 50.6、予想 50.2)
25:00 (英) マン英中銀委員、パネル討論会参加

注:ポイント要約は編集部

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