ドル円、米FOMCを経て約2円の値幅で急落。米金利低下に伴うドル売りが重石(3/23朝)

22日(水)のドル円相場は上昇後に急反落。

ドル円、米FOMCを経て約2円の値幅で急落。米金利低下に伴うドル売りが重石(3/23朝)

ドル円、米FOMCを経て約2円の値幅で急落。米金利低下に伴うドル売りが重石

〇ドル円、米国序盤の高値133.01から一時131.01まで2円幅で急落
〇FOMC0.25%利上げ決めるも声明文から継続的利上げの文言消え、利上げ休止の検討もされる
〇ドットチャートは23年末の中央値5.1%で変わらず、24年末は4.3%に4.1%から引き上げ
〇イエレン米財務長官「預金保険の適用範囲、大幅な拡大は検討していない」と発言、株価急落
〇テクニカルには転換線と基準線のデッドクロスが実現、遅行線がローソク足を下方ブレイク地合い弱い
〇ファンダメンタルズも米国発金融信用不安燻り、米利上げ休止観測も強まる等ドル売り円買い材料多い
〇引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:130.25ー132.25

海外時間のレビュー

22日(水)のドル円相場は上昇後に急反落。(1)金融システム不安の一時的な後退(UBSグループによるクレディ・スイス買収合意や、主要中銀によるドル資金供給支援、イエレン米財務長官による「中小金融機関で預金の大量流出が発生した場合は連邦政府が再び介入する可能性がある」との発言を好感)や、(2)上記1を背景としたリスクオン再開(市場心理改善→株高)、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値133.01まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)注目された米FOMCにて25bpの利上げが決定されつつも、声明文から複数回の利上げを示唆する「継続的な利上げ(ongoing increases)」という文言が無くなったこと(利上げ休止のタイミングが近いことを示唆)や、(5)パウエルFRB議長による「利上げ休止も検討した」とのハト派的な発言、

(6)上記4、5を背景とした米長期金利の急低下(米2年債利回りは4.25%から3.93%へ急低下、米10年債利回りは3.64%から3.44%へ急低下)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値131.01まで急落しました。その後も、(7)パウエルFRB議長による「FRB当局者らは今年の利下げを見込んでいない」との発言や、(8)イエレン米財務長官による「預金保険の適用範囲について大幅な拡大は検討していない」との発言、(9)上記7、8を背景とした米主要株価指数の急反落が上値を抑え、本稿執筆時点(日本時間3/23午前5時30分時点)では、131.33(←訂正×133.33)前後での上値の重い展開が続いております。尚、注目されたドットチャートは、23年末時点の中央値を5.1%に据え置く一方、24年末時点の見通しを前回12月時点の4.1%から4.3%へ引き上げました。また、量的引き締め(QT)については従来方針を踏襲しました。

22日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。欧州時間朝方にかけて、安値1.0759まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「インフレとの戦いはまだ終わっていない」「予想通りインフレが昂進すれば更なる利上げが必要」とのタカ派的な発言や、(2)ラガルドECB総裁による「ECBは必要に応じてインフレリスクに対応する断固たるアプローチを取る用意がある」とのタカ派的な発言、(3)米FOMC声明文における「継続的な利上げ(ongoing increases)」の文言削除、(4)パウエルFRB議長による「利上げ休止も検討した」とのハト派的な発言、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0913まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)パウエルFRB議長による「FRB当局者らは今年の利下げを見込んでいない」との発言や、(7)上記6を背景とした株式市場の急反落(リスクオフ再開)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間3/23午前5時30分時点)では、1.0854前後まで押し戻される展開となっております。

本日の見通し

ドル円は今週のメインイベントである米FOMCを通過して133.01から131.01まで急落しました。日足ローソク足が一目均衡表雲上限突破に失敗したこと(上値の重さを再確認)や、一目均衡表転換線と基準線のデッドクロスが実現したこと、遅行線が26日前のローソク足を下方ブレイクしたこと、数日以内に強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転の成立が見込まれていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(今週中に3/20に記録した直近安値130.55を下抜けるシナリオを想定)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)世界的な金融システム不安が依然として燻っていること(UBSによる救済買収や主要中銀協調のドル資金供給、イエレン米財務長官による政府の救済介入を示唆する発言を受けて、信用不安が一時的に後退しているが本質的な解決には至っておらず、一巡後のリスクオフ再開に要警戒)や、(2)米FRBによる金融引き締め休止の思惑(FOMC声明文で「継続的な利上げ(ongoing increases)」の文言削除)、(3)日米金利差縮小観測(円キャリートレード解消の思惑)、(4)リスク回避局面における安全通貨としての「円の地位」再評価(リスク回避局面で買われる通貨は一般的に「円」「米ドル」「スイスフラン」とされているが、足元の信用不安の震源地が「米国」と「スイス」であるため、消去法的に「円」が選好されやすい)など、ドル円相場の続落を連想させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(リスク回避の円買い+米金利低下に伴うドル売り+円キャリートレード解消に伴う円買いの組み合わせ)。尚、本日は米10ー12月期経常収支や、米2月シカゴ連銀全米活動指数、米新規失業保険申請件数、米2月新築住宅販売件数、米カンザスシティ連銀3月製造業活動指数に注目が集まります。予想比冴えない米国ファンダメンタルズが示されれば、米経済のリセッション入りを織り込む形でドル円が更に下げ足を速める恐れもあるため警戒が必要でしょう。

本日の予想レンジ:130.25ー132.25

ドル円、米FOMCを経て約2円の値幅で急落。米金利低下に伴うドル売りが重石

ドル円日足

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