ドル円130円台後半に続落、FOMC後の米長期金利低下とリスク回避の円買いで
23日午前の東京市場でドル円は軟調推移。未明のFOMC通過後のドル円急落を受けて、朝方、131.39レベルで取引の始まったドル円は、序盤につけた131.49を高値にほぼ一方向で値を下げ、昼前に130.60の安値をつけた後、東京時間正午現在は130.66レベルで取引されています。
日経平均株価は、昨晩FOMC通過後に米主要株価指数が大幅安となった流れを受けて売りが先行、下げ幅は序盤に200円を超えました。しかし、昨晩の米株安は、イエレン議長の議会での発言からの米銀の信用不安再燃によるところも大きく、本邦での影響は大きくないとの見方からの買い戻しも出て下げ幅を縮小、結局66円安で午前の取引を終了しています。
昨晩海外市場で注目された未明のFOMCの結果は、0.25%の利上げ実施。これは大方の市場予想通りでしたが、経済見通しの23年末、24年末のコアインフレの見通しが引き上げられ、これに対し23年末政策金利予想の中央値は5.1%と変わらず、24年末は4.3%に0.2%上昇しており、FOMC通過後も年内利下げを予想しているCME FEDWATCHの先物市場ベースの予想とは大きく乖離しています。
一方で声明文では「継続的な政策金利引き上げが適切であろう」との前回文言が「もう幾ばくかの金融引き締めが適切かもしれない」との文言にトーンダウン。パウエル議長は会見で、今回、政策金利引き上げ見送りを検討したことを明らかにするなど、ハト派トーンと受け取れる部分もありました。
これを受けて米長期金利は10年債利回りで直前の高値3.64%から3.44%まで急低下。ドル円は132円台半ばから131円付近まで急落しています。米主要株価指数は、結果公表直後は上昇しましたが、パウエル議長がインフレ抑制に対する強い姿勢を崩さなかったことや、同時間帯に行われていた上院の公聴会でイエレン財務長官が、前日とは打って変わって、「銀行のシステムを安定化させるために、銀行に“blanket deposit insurance”(毛布のように一面にくるむ保険)を提供するつもりはない」と突き放した発言をしたことなどから急落、NYダウは530ドル安で引けています。
米銀2行が破綻し、信用不安が他地域に飛び火しかねない特殊な状況下でのFOMCはハト派ともタカ派ともとれる内容で、なんとも判断に苦しむ結果となりました。ある意味玉虫色の内容で、当面をうまく切り抜けたということができるのかもしれません。一方で市場とFRBメンバーの政策金利予想の大幅な乖離は今後の相場急変の種として残り、また、ECBに続いてFRBも金融機関の信用不安が払しょくできない中で、米銀破綻の原因ともなった利上げを更に強行したことで、市場の緊張が一段と高まることも否定できません。
実際に昨晩もカリフォルニア州の地銀パックウエスト・バンコープが年初来の20%の預金流出により、他の資金調達をあきらめ、投資会社アトラスパートナズから現金調達を実施するとの発表があるなど、未だ金融機関の信用不安は終息していない状況です。
ドル円に関しては、昨夕から既に2円強の急落を見ていますが、これらの状況に鑑みると、米金利先高感の後退、リスク回避の円買い双方の要因で引き続きドル安円高リスクが高いものと思われます。
テクニカルにも昨晩からの下落で一目均衡表の「雲」を下抜けて来ており、節目の130円や、割れた場合には1/16の年初来安値127.23前後までの下値余地が広がりそうです。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2023.03.23
ドル円 ドル続落も否定できず、欧州金融政策に注目(23/3/23)
23日の東京市場はドルが弱含み。一時130.45円レベルまで下落し、20日に記録した直近安値を更新していた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2023.03.23
ドル円見通し 3月20日安値からの戻り一巡、FOMC後に急落(23/3/23)
ドル円は23日未明の米FOMCによる0.25%利上げ決定と、あと1回で利上げ終了との見通しを受けて131円台序盤へ急落、早朝に131.00円丁度を付けた。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。