『悪材料目白押しで冴えない動き。対ドル相場は史上最安値更新』
〇今週のトルコ円、週央にかけて安値6.91まで下落、週末も戻り鈍い
〇米地銀の連続破綻に端を発したシステミックリスクの拡大懸念に円買い強まる
〇トルコの国内指標も冴えず、対ドル相場は史上最安値更新
〇「トルコリラ円=ドル円」のシンクロ相場続くがトルコリラの対ドル安定策も早晩瓦解する可能性
〇中長期的なトルコリラ円下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.75ー7.15
今週のレビュー(3/13−3/17)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初7.12円で寄り付いた後、早々に週間高値7.19円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)トルコ1月経常赤字(結果98.49億ドル赤字、前回59.1億ドル赤字)の過去最高水準更新や、(2)米地銀の連続破綻に端を発したシステミックリスクの拡大懸念(今週はクレディ・スイス社の信用不安に飛び火)、(3)上記2を背景とした質への逃避ムード(安全資産の米債+円買いの組み合わせ→ドル円急落→トルコリラ円連れ安)、(4)トルコ2月住宅販売(結果▲18.0%、前回+10.6%、※前年比)の冴えない結果、(5)トルコ2月財政収支(結果1705.6億ドル赤字、前回322.4億ドル赤字)の過去最高水準更新が重石となり、週央にかけて、週間安値6.91円(2/10以来の安値圏)まで急落しました(対ドル相場は史上最安値更新)。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/18午前2時40分現在)では、6.95円前後で推移しております。
来週の見通し(3/20−3/24)
政府・中銀による対ドル相場の安定化策(資本規制や為替介入を通じてトルコリラの対ドル相場を小幅レンジ内に抑制する政策)が継続する中、「トルコリラ円=ドル円」のシンクロ相場が続いております。当方は世界的に広がるシステミックリスクを背景にドル円相場が短期的に続落するシナリオを想定している為、来週のトルコリラ円相場は「ドル円下落→トルコリラ円連れ安」の相場展開を予測いたします。但し、対ドル相場が安定性を維持しつつも、毎週のように史上最安値を更新し続けている点には留意が必要でしょう。資本政策や為替介入を通じた強引なボラティリティ抑制策は副作用を伴うことから、長期化が難しく、早晩瓦解するシナリオが警戒されます。事実、トルコ中銀の外貨準備残高は足元で急速に減少傾向を強めています。また、トルコ1月財政収支、トルコ1月経常収支、トルコ1月貿易収支のトリプル赤字も目立ち始めました(財政収支・経常収支・貿易収支が軒並み過去最大の赤字額を記録)。
加えて、トルコ大地震に伴うトルコ経済の先行き不透明感(トルコのソイル内相は大地震による同国死者数が48448人に増えたことを発表→長期に亘ってトルコ経済に影を落とす可能性大)も警戒されます。トルコを巡る悪材料が目白押しとなる中、潜在的なトルコリラ売り圧力は極めて大きいと見られ、当方では引き続き、中長期的なトルコリラ円下落をメインシナリオとして予想いたします(短期的にはドル円連動で下落、中長期的にはトルコリラ円が主体性をもって急落するシナリオを想定)。尚、トルコ政府・中銀が対ドルのボラティリティ抑制策を取り下げるタイミングとしては5/14に予定されている大統領選後を想定しております(エルドアン氏が勝利しても敗北しても対ドル相場の安定化策は終了する公算大。エルドアン氏勝利となれば失望感から海外勢主導のトルコリラ売りが強まる可能性あり。エルドアン氏敗北の場合も、経済政策および金融政策の180度転換が意識される為、パニック的なトルコリラ売りに繋がる可能性あり)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.75ー7.15
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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