『世界的な信用不安を背景に約1年3ヵ月ぶり安値圏へ急落』
〇今週の南ア円、週後半にかけ21年12月来の7.14まで急落
〇米銀の連鎖破綻に端を発したシステミックリスクの拡大や南ア株の冴えない動き等が背景
〇週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く安値圏で越週
〇主要テクニカルポイントを軒並み下抜け、強い売りシグナルも成立、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズも南アの政治経済の先行き不透明感、金融市場のリスクオフ再開が重石に
〇引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.00ー7.40
今週のレビュー(3/13−3/17)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.37円で寄り付いた後、(1)米金利低下に伴うドル売り圧力(米FRBが利上げペースを緩めるとの思惑)や、(2)南ア1月製造業生産(結果+1.1%、予想▲0.4%、前回+0.1%、※前月比)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、翌3/14にかけて、週間高値7.45円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)米銀の連鎖破綻に端を発したシステミックリスクの拡大(スイスの金融大手クレディ・スイスへ飛び火)や、(4)上記3を背景とした伝統的金融市場のリスクオフ再開、(5)南ア株の冴えない動き(南アフリカの主要株価指数は昨年12/23以来の安値圏へ急落)が重石となり、週後半にかけて、年初来安値7.14円(2021年12月20日以来、約1年3ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/18午前2時30分現在)では、7.18円前後で推移しております。
来週の見通し(3/20−3/24)
南アフリカランドの対円相場は、3/2に記録した戻り高値7.53円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約1年3ヵ月ぶり安値となる7.14円まで急落しました。この間、ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」「弱気のバンドウォーク」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(深刻な電力不足)や、(2)南アフリカを巡る政局不透明感(与党アフリカ民族会議の支持率低下→治安悪化への警戒感)、(3)南アフリカの格下げ懸念(S&Pグローバル・レーティング社は先週、南アフリカの見通しを「ポジティブ」から「安定的」へと下方修正)、(4)金融活動作業部会(FATF)による南アフリカのグレーリスト追加、(5)世界的に広がるシステミックリスクとそれに伴う伝統的金融市場のリスクオフ再開など、南アフリカランドにとっての悪材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
尚、来週は3/22に予定されている南ア2月消費者物価指数や、3/23の第1四半期BER消費者信頼感指数に加え、3/21ー3/22の日程で開催される米FOMCの行方に市場の関心が集まっています。特に後者の注目度が高く、仮にFOMC声明やドットチャートで景気よりインフレ抑制を重視する構えが示されれば、米長期金利上昇→株式市場急落→市場心理悪化→リスクオフ再開の経路で南アランドに強い下押し圧力が加わる恐れがあるため、来週もダウンサイドリスクに注意を要する一週間となりそうです(次は2021年11月26日に記録した安値6.93円を試すシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.00ー7.40
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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