ドル安リスク再燃、金融不安が波乱要因に
〇ドル/円は133.40レベルで寄り付いたのち、日中安値の132円半ばまで1円近い下落
〇133円半ばまで短時間で回復したものの勢いは続かず再びドル売り、132.60前後まで下落
〇本日はECB政策金利発表とラガルド総裁の記者会見に注視
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは132.00-133.80
〇ドル高・円安方向は一目均衡表の先行帯の雲の下限が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は本日東京安値132円半ば、下回ると昨日安値132.22がターゲットに
<< 東京市場の動き >>
16日の東京市場は往来相場。133円を挟んだ上下50ポイント程度のなかで、なかなか激しい乱高下をたどっている。
ドル/円は133.40円レベルで寄り付いたのち、日中安値の132円半ばまで1円近い下落。しかし、一転してドルが買われると「行って来い」に。133円半ばまで短時間で回復したものの、勢いは続かず再びドル売りへと傾斜している。132.60円前後まで下落したのち、16時現在では若干持ち直した132.85-90円で推移、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「CSの経営危機」と「米露の対立」について。
前者は、スイスの金融大手クレディ・スイス(CS)に経営危機観測が浮上し、15日の欧米マーケットは大荒れ。同行の株価が一時上場来安値を更新したほか、為替市場においてはユーロ/円が15日一日で5円を超える急落をたどっていた。そうしたなか、スイス当局は、クレディ・スイスに必要に応じ緊急の流動性支援を提供するとした対策を表明。また米財務省からも「クレディ・スイスをめぐる状況を監視し、世界各国の当局者と連絡を取り合っている」とした声明が示されたこともあり、第一波は取り敢えず収まった。とは言え、このあとの欧米タイム、第二波の危機にさらされる可能性も否定できず要注意だ。
対して後者は、以前の「偵察気球問題」で米中間に軋轢が生じたように、14日に黒海上空でロシアの戦闘機と米軍の無人偵察機が衝突・墜落した問題で、米露による激しい舌戦が繰り広げられている。米国務省からは「おそらくロシア人パイロットの技能不足の結果だったのだろう」と揶揄する発言が聞かれるなか、ロシアはラブロフ外相が「米国はロシアが黒海上空の飛行に制限を設けた事実を無視している」などと非難。さらに、墜落した米無人偵察機の回収を目指す旨を明らかにしていた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は今月8日に高値を示現する反面、13日には逆に安値を記録。やや広い132.29-137.91円というレンジを形成したと思っていたのだが、昨日欧米市場でまさかの下限割れを試す動きが観測されていた。ドルの下値リスクが再燃している感を否めない。テクニカルには、昨日NYクローズベースでは何とか維持した一目均衡表の先行帯の雲の上限(133円半ば)を、現在ザラ場ベースでは下回って推移している。このあとの欧米タイムで再び上回れるのか否かにも注目だ。
日米金融政策への関心が依然として高く、米国についてはSVB問題関連ニュースなどとともに発表される米経済指標には引き続き要注意。ただ本日は、米国ではなく欧州・ECBが政策金利を発表する予定で、そちらがより注視されている。前段で取り上げたように、SVB問題に端を発した金融不安が欧州へと飛び火していることが、果たして政策にどう影響するのだろうか。ロイターでは「なお0.5%利上げの方向」などと報じていたが、以前より利上げの可能性が低下していることは間違いない。
テクニカルに見た場合、ここ数日のドル/円はなかなかの悪辣相場。8日137.91円を高値に13日に132.29円まで下落したのち、15日には135.10円まで戻すが132.22円まで再下落と上げ幅をすべて吐き出す展開をたどっている。チャートを素直に見ればドル安方向へのリスクが高いと言わざるを得ないものの、前述したような「ダマシ」ともいえる動きも多いだけに予断を許さない。
本日は米経済指標として、3月のフィラデルフィア連銀景況指数や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される予定となっている。ただ、それより注視されているのは欧州ファクターのECB政策金利発表とラガルド総裁の記者会見だ。場合によってはユーロ相場が連日の乱高下をたどる可能性も。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは132.00-133.80円。ドル高・円安方向は足もと割り込んで推移している一目均衡表の先行帯の雲の下限が最初の抵抗。ザラ場ベースの動きはもちろん、NYクローズで上回れるか否かにも注目しておきたい。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値132円半ばの攻防にまずは注目。下回ると昨日安値132.22円がターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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