ドル円 金利情勢以外、SVB破綻の影響などにも注意(週報3月第2週)

先週のドル/円相場は、結果的にドル弱含み。

ドル円 金利情勢以外、SVB破綻の影響などにも注意(週報3月第2週)

金利情勢以外、SVB破綻の影響などにも注意

〇先週のドル円、パウエル議長のタカ派コメントなどで137.91までドル高進行し年初来高値更新
〇週末にかけ一転しドル売り優勢、一時134円前半まで3円を超える急落に
〇日銀正副総裁候補の国会同意人事が9-10日に衆院と参院の本会議でともに可決される
〇米シリコンバレー銀の経営破綻が報じられ、ドル売りに追い打ちかける
〇今週は2月消費者物価指数や同小売売上高などの米経済指標が発表される予定
〇今週のドル/円予想レンジは、132.50-136.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、結果的にドル弱含み。ザラ場ベースでは一時138円近くまで値を上げ年初来高値を更新する局面も観測されたが、週末にかけては逆にドル売りが優勢だった。

前週末5日、中国で第14期全国人民代表大会(全人代)が開幕。そのなかで国防費増額に関して正当化するコメントなども聞かれていた。一方、イランを訪問していたIAEA事務局長は、イランと核施設監視強化で合意したことを明らかにしている。
そうした状況下、ドル/円は135.90-95円で寄り付いたのち、当初はドル買い先行。パウエルFRB議長が議会証言でタカ派コメントを発したことなどが材料視されると、年初来高値を更新する137.91円までドル高が進行した。しかし、週末にかけて一転してドル売りが優勢に。発表された米雇用統計のうち失業率が悪化したことや、米シリコンバレー銀(SVB)の経営破綻が報じられたことが嫌気されたという。一時134円前半まで3円を超える急落をたどり、週末NYは135.00-05円で越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の金融政策」と「米金融政策」について。
前者は、植田氏をはじめとする3人の日銀正副総裁候補の国会同意人事が、9-10日に衆院と参院の本会議でともに可決された。今後内閣の任命を経て、正式に植田総裁ら3氏の日銀正副総裁が誕生することになる。そうしたなか週末10日、黒田氏が総裁を務める最後の日銀金融決定会合の結果発表が発表されたが、事前に一部で期待されていた「サプライズ」をともなう政策変更は見送られた。金融緩和策の修正がなかったことを受け、期待外れとの向きも少なくない。終了後には一時円を売り直す動きが優勢となっていた。

対して後者は、注視されていた半期に一度の議会証言で、パウエルFRB議長が「利上げの到達水準は想定より高くなる可能性が高い」、「必要であれば利上げペース加速も」、「インフレは低下しているが非常に高い」−−などと強気発言を連発。為替市場では、138円手前までのドル高進行支援要因となったことに間違いない。また、市場の関心を集めた週末の米雇用統計は非農業部門雇用者数が予想よりも改善したものの、失業率はまさかの悪化。後者を嫌気した動きから、ドル買いには結び付かず。さらには「米シリコンバレー銀の経営破綻」が報じられ、ドル売りに追い打ちをかけた。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、週の前半と後半で様相が一変する展開だった。前半は根強い米インフレ観測と、それを受けた利上げ長期化期待がドル買いを後押しするも、後半に掛けては米利上げ観測に若干の陰りがうかがえたことなどで一転してドルが急落している。テクニカルに見た場合、年初来安値127.22円を起点に10円以上ものドル高が進行していたため、足もとの調整はある種当然かもしれない。また、辛うじて「調整」の範囲内にはとどまっており、ドル高という基調そのものは変化がないもようだ。

今週も引き続き日米金融政策が市場の注目を集めそうだが、日本に関しては4月はじめに就任する見込みの植田日銀総裁も現行の黒田氏政策を取り敢えず踏襲。つまり拙速な利上げは見込めそうにない。それに対して、米国はパウエル氏などが強気コメントを発するなか、発表される経済指標に一喜一憂する展開がいましばらく続きそうだ。一方、それとは別に注意すべきは先週末に突如伝えられた「米シリコンバレー銀の経営破綻」。同行特有のまずい経営が問題だったなどとされ、他行へ波及する公算は低いとされている。
仮に悪影響が広がるようだと、ドルはさらに続落する可能性もある。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円は上値を抑制してきた移動平均の200日をザラ場ベースで上抜けるも維持できず。むしろ、週末にかけては強く下支えしてきた90日線を割り込む局面も観測されている(週末のNYクローズでは維持)。今週、移動平均では134-135円台に位置する21日線と90日線をめぐる攻防にまずは注目。それらに下値を支えられれば、再び200日線を目指す展開が見込まれる反面、しっかり下回ってしまうと130円割れ方向に向けた値動きをたどりそう。攻防の分岐点で、ある種の正念場とも言えそうだ。

今週は、2月の消費者物価指数や同小売売上高といった米経済指標が発表される予定となっている。先週末に発表された失業率は悪化したものの、ここ最近発表される米指標は全体を通せばそれほど悪くはない。今週も米指標に対する注目度が高いうえ、好数字を期待する向きは少なくないようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、132.50-136.50円。ドル高・円安については、先週末に下回り今後緩やかな下降をたどる21日線の攻防にまずは注目。ちなみに、週末にかけて135円台後半まで達するが「しっかり」と上抜けられるだろうか。
対してドル安・円高方向は、週明けは134円半ばから後半に位置し、週末には134.10-20円までレベルを切り下げる90日線が最初のサポートに。割り込めば、133円半ばの一目均衡表の先行帯の雲の上限がターゲットに。

金利情勢以外、SVB破綻の影響などにも注意

ドル円日足

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