ドル高リラ安を気にしつつ、円安を支えに7.20円割れを買われて確り
〇トルコリラ円、ドル円騰落に合わせた動き、ドル高リラ安を気にしつつ円安支えに7.20割れ買われ確り
〇対ドル、最安値近辺で推移し18.80-18.93の取引レンジ、3/1早朝終値は前日終値と同じ18.88
〇トルコ10-12月GDP前年比3.5%へ減速、2022通年GDP5.6%増、2021年の11.4%から伸びが半減
〇世界銀行、大地震の被害総額342億ドル(凡そ4.7兆円)と試算、2021年トルコGDP4%相当の規模
〇7.19以上で推移中は一段高余地あり、7.26超えからは7.30を目指す上昇を想定
〇7.19割れからは7.15前後への下落を想定、7.15前後へ下げてから7.19を超える場合は上昇再開と考える
【概況】
トルコリラ円の2月28日は概ね7.25円から7.19円の取引レンジ、3月1日早朝の終値は7.21円で前日終値と変わらずだった。
ドル高リラ安の進行を気にしつつもトルコリラ円はドル円の変動率が勝っていることでドル円の騰落に合わせた動きを続けている。
ドル円は2月28日夜には欧米長期債利回りの上昇を背景に136.93円をつけて1月16日安値127.21円以降の最高値を更新、3月1日未明にいったん136円を割り込んで135.73円まで反落したところも買われて136円台序盤を回復している。
トルコリラ円はドル円に合わせて2月24日高値で7.26円をつけて1月16日安値6.74円以降の最高値とし、27日夜にドル円が136円を割り込んだところで7.20円まで下げてから再上昇したが、2月28日夜にドル円が137円に迫る一段高となったところでは7.25円までにとどまり高値更新へは進めなかった。しかし3月1日未明に7.19円まで反落したところは買われて1日午前には7.22円へ戻しており、概ねドル円の騰落に合わせた動きを続けている。
【対ドルでは最安値近辺での推移】
ドル/トルコリラの2月28日は概ね18.93リラから18.80リラの取引レンジ、3月1日早朝の終値は18.88リラで前日終値と変わらずだった。
2月28日夕刻に発表されたトルコの10-12月期GDPは前年同期比3.5%増で市場予想の3.0%を上回ったが7-9月期の4.0%から鈍化したため市場反応は限定的なものに留まった。2月28日夜にかけては欧州のインフレ率の上ブレによる欧州諸国の長期債利回りが上昇したことでユーロやポンドが上昇し、深夜からは揺れ返しの反落となったもののトルコリラはさほど左右されなかった。
トルコ市場時間の始まる16時前後は毎日のようにリラ買いが入って一時的なドル安リラ高のレートが提示されるが、毎回早々に売り戻されており、2月28日も同様だった。
2月6日に発生したトルコ南部大地震の影響や2月23日のトルコ中銀による利下げと先行き不透明感はリラ売りを徐々に進行させており、手元のデータにおける取引時間中の史上最安値は2月27日に18.96リラへ切り下がり、終値ベースでは2月27日終値18.88リラが最安値となっており、2月28日も取引時間中及び終値ベースで最安値近辺での推移となった。
【トルコ10-12月GDPは前年比3.5%へ減速】
トルコ統計庁が2月28日に発表した2022年通年のGDPは5.6%増となり2021年の11.4%から伸びが半減した。
10-12月期GDPは前年同期比で3.5%増となり市場予想の3.0%増を上回ったものの7-9月期の4.0%(当初の3.9%から上方修正)から鈍化している。前期比は0.9%増で7-9月期のマイナス0.1%からは改善したが低水準での推移が続いている。
前年同期比はパンデミック後の回復により2021年4-6月に22.2%増の急回復を見せた後、2021年7-9月を7.9%、10-12月を9.6%、2022年1-3月を7.6%、2022年4-6月を7.8%と高成長を維持してきた。しかしウクライナ戦争の長期化と欧米の金融引き締めによる景気減速、中国が1月にウィズコロナ政策へ転換するまで感染再拡大と規制を繰り返してきたことによる世界全般の景気鈍化からトルコのGDPも2022年上半期からは伸びが半減する低迷となっている。
2月6日に発生したトルコ南部大地震の影響により、2023年通年の成長率は2.8%増程度に鈍化するとみられているが低い予想では1.2%まで落ち込む可能性も指摘されている。
震災級の被害からの復興については最大1000億ドルが必要とされてGDPを1〜2%押し下げるとされており、早期に復興が始まり年後半に復興特需が発生すれば成長率の回復も見込めるが、復興政策に手間取るようだと現時点の予想を下回る成長率に悪化する可能性もあると思われる。
【世銀の震災被害総額想定は4.7兆円】
世界銀行は2月27日にトルコ南部大地震における被害総額は342億ドル(凡そ4.7兆円)に上ると試算した。これは2021年のトルコGDPの4%に相当する規模で、復興費用は被害総額の2倍との見通しとした。また世銀による2023年のトルコGDP見通しは地震前に3.5%から4.0%と想定されていたが、地震の影響で「少なくとも0.5%引き下げる必要がある」とした。
世銀によれば、被害総額342億ドルのうち、住宅が180億ドル、学校や公共建物などで97億ドル、道路・水道などのインフラで64億ドルとされ、住宅を失った人は凡そ125万人と推計した。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月1日未明に7.20円を一時割り込んでから切り返しているところだが、2月25日朝高値7.26円と2月28日夜高値7.25円をダブルトップとしていったん弱気サイクル入りし、既にそこから持ち直し始めたところと思われる。
2月28日高値を超えないうちは2月24日午前安値を基準として3月1日午前から3日午前にかけての間への下落余地ありとするが、7.23円超えからは強気サイクル入りの可能性を優先して2月28日高値7.25円試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとして3月3日夜から7日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では3月1日未明への下落時に遅行スパンが悪化して先行スパンへ潜り込んだが、その後の反発で先行スパンから上抜けているため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、3月1日未明安値を割り込まないうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とする。ただし3月1日未明安値7.19円割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は3月1日未明への下落時に30ポイント台序盤へ低下したがその後の反発で50ポイント台を回復しているため、60ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇を想定する。ただし45.ポイント割れからはもう一度安値試しへ向かうとみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.19円を下値支持線、7.26円を上値抵抗線とする。
(2)7.19円以上での推移中は一段高余地ありとし、7.26円超えからは7.30円を目指す上昇を想定する。7.30円前後では売りも出やすいとみるが、7.21円以上を維持しての推移なら3月2日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.19円割れからは7.15円前後への下落を想定する。7.19円を割り込んでから7.22円を超える場合及び、7.15円前後へ下げてから7.19円を超える場合は上昇再開と考えるが、7.19円以下での推移が続く場合は3月2日も安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
3月1日
16:00 2月 イスタンブール製造業PMI (1月 50.1)
3月2日
20:30 週次 外貨準備高 2月24日時点 グロス(2/17時点 733.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 2月24日時点 ネット(2/17時点 214.0億ドル)
3月3日
16:00 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 6.65%、予想 3.35%)
16:00 2月 消費者物価指数 前年同月比 (1月 57.68%、予想 55.5%)
16:00 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 4.15%)
16:00 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 86.46%)
注:ポイント要約は編集部
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