ユーロ圏CPIで金利差に変化が出れば上昇も(週報2月第4週)

先週も為替市場の主役がドル円であることに言及しましたが、先週もドル円が2円60銭、ユーロドルは168pipsと相変わらず、ユーロドルの動きが鈍い状態が続いています。

ユーロ圏CPIで金利差に変化が出れば上昇も(週報2月第4週)

ユーロ圏CPIで金利差に変化が出れば上昇も

〇先週のユーロドル、168pipsと相変わらず動きが鈍い状態続く
〇ユーロドルはドル材料とユーロ材料で動きを縮小させる方向で作用
〇短期的には米独金利差とユーロドルの動きはほぼ同じような動き、金利差拡大によるドル買いに
〇今週は1日にドイツのCPI速報値、2日にユーロ圏のCPI速報値の発表
〇ユーロCPIが予想より高ければECBも金利先高観継続でドイツ金利上昇、ユーロドル上昇の可能性も
〇今週は1.0475レベルをサポートに1.0675レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週も為替市場の主役がドル円であることに言及しましたが、先週もドル円が2円60銭、ユーロドルは168pipsと相変わらず、ユーロドルの動きが鈍い状態が続いています。

実際の値動きを調べたところ、2022年はドル円が変動相場制移行後最大の変動率となったこともありますが、年間レンジはドル円が38円47銭(33.4%、年初比)に対してユーロドルは1934pips(17.0%、同)でしたし、円買い介入が出た9月以降半年間の週間レンジは、ドル円が平均4円31銭、ユーロドルが同218pipと、ユーロドルはドル円の約半分の値幅でしか動いていませんでした。

ドル円がドル材料と円材料の双方で動きを増幅しているのに対して、ユーロドルはドル材料とユーロ材料で動きを縮小させる方向で作用していることが大きいと言えるでしょう。

そうした中で、FOMCを中心に3月の金融政策決定会合に向けては米国の強い経済指標を反映し、政策金利のターミナルレート(ピーク金利)上昇思惑により10年債利回りも上昇し、ドル独り勝ちの状況と以前も見たような流れとなっていて、短期的には米独金利差とユーロドルの動きはほぼ同じような動きを辿っています。

ドル円では週足チャートで確認しましたが、ユーロドルの相関は比較的最近になってからなので日足チャートで確認します。先週のコラムで取り上げたチャートですが、ラインチャート(オレンジ、左軸)が米独金利差、ローソク足が方向を揃えるためにUSD/EURのチャートとなっています。

ユーロ圏CPIで金利差に変化が出れば上昇も

ドイツ10年債利回りも2月のボトム2.085%(終値)から直近では2.553%(同)まで上がっているのですが、米国債がそれ以上に上がってきている(同時期に3.395%から3.956%へ、同)ため金利差拡大によるドル買いとなっています。

そして今週は1日にドイツのCPI速報値、2日にユーロ圏のCPI速報値の発表がありますが、ユーロ圏CPIを見ると予想は8.2%と前回の8.5%よりは下がっているものの、下げ幅は鈍化しています。仮に予想よりも高く8.3〜8.4%といった数字が出てくるようであれば、ECBも金利先高観継続につながりドイツ金利上昇によるユーロドル上昇につながる可能性はありそうです。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロ圏CPIで金利差に変化が出れば上昇も 2枚目の画像

3本の平行ラインの真ん中のラインを明確に下抜けてきたことで、現在は改めてレジスタンスラインとなり、1番下の2022年安値からのサポートラインが強いサポートとして今後はワークしてくると見られます。ただまだ距離がありますので、今後2022年安値と2023年高値との38.2%押しと重なる時期(3月中旬頃)に同ラインを試す可能性があるというイメージになるかと思います。

短期的には38.2%押し1.0460、そして大台1.0500レベルがサポート、レジスタンスは先週高値圏の1.0700レベルとなりますので、今週は1.0475レベルをサポートに1.0675レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円日足チャートを見てみましょう。

ユーロ圏CPIで金利差に変化が出れば上昇も 3枚目の画像

金利水準とその動きから、米ドル>ユーロ>円という強弱の動きが最近は目立ち、ドル円だけでなくユーロ円でも円安の流れとなっています。

ここ1〜2か月で見ると細いピンクのラインで示した上昇ウェッジの中での動きとなっていますが、昨年高値からの動きを見ると三角もちあい状(ピンクの太線)の収束パターンとなっていて、上限にかなり近づいてきていることがわかります。ドル円の動きが速かったことによる調整が入るか、あるいはユーロ高の動きでレジスタンスラインを上抜けするか、今週のユーロ圏CPIが方向を決める可能性が高まってきました。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

2月27日(月)
19:00 ユーロ圏2月消費者信頼感 ☆
24:45 スペイン中銀総裁講演
26:00 レーンECB理事講演 ☆

2月28日(火)
16:45 フランス2月CPI速報値 ☆
16:45 フランス1月PPI
16:45 フランス10〜12月期GDP改定値

3月1日(水)
17:30 フランス中銀総裁講演 ☆
17:50 フランス2月製造業PMI
17:55 ドイツ2月製造業PMI
17:55 ドイツ2月失業率
18:00 ユーロ圏2月製造業PMI
18:30 英国2月製造業PMI
19:00 英中銀総裁講演 ☆
22:00 ドイツ2月CPI速報値 ☆
24:00 イタリア中銀総裁講演

3月2日(木)
19:00 ユーロ圏2月CPI速報値 ☆
21:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆

3月3日(金)
16:00 ドイツ1月貿易収支
16:45 フランス1月鉱工業生産
17:50 フランス2月サービス業PMI
17:55 ドイツ2月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏2月サービス業PMI
18:30 英国2月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏1月PPI ☆
**:** 米独首脳会談

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月20日(月)
週明けのユーロドルは米国が祝日で3連休ということもあり、目立った動きは見られませんでした。大きな経済指標の発表や要人発言も無く、終日のレンジもユーロ円が62銭、ユーロドルに至ってはわずか34pipsと動意薄の1日でした。

2月21日(火)
ユーロドルはドル買いを受けてのユーロ売りが続きましたが、欧州前場、NY前場と2回ほどテクニカルな動きによるユーロ円の買いが強まる場面もあり、その際にはユーロドルも買われる動きを見せていました。引けにかけては1.06台前半へと下げたものの1日のレンジは61pipsに留まりました。

2月22/23日(水/木)
ユーロドルは水曜からじりじりとユーロ安の動きが続き、木曜のNY市場では一時1.0577レベルまで下落、ユーロドルだけでなくユーロ円でも上値が重たいままでの引けとなりました。

2月24日(金)
ユーロドルは東京前場にドル円の振れに多少は引っ張られたもののNY市場まで上値が重たい展開が続きました。米金利上昇の影響が大きかったのですが、NY前場に1.0536レベルの安値をつけたあとは安値圏でもみあいのままでの週末クローズとなりました。

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