ドル円見通し 2月15日の米経済指標強く1月16日以降の高値更新(23/2/16)

ドル円は2月16日未明高値で134.35円を付けて1月16日安値127.21円以降の高値を更新した。

ドル円見通し 2月15日の米経済指標強く1月16日以降の高値更新(23/2/16)

2月15日の米経済指標強く1月16日以降の高値更新

〇ドル円、16日未明高値で134.35をつけ1/16安値127.21以降の高値を更新
〇15日夜の米小売売上高、NY連銀景況指数、製造業生産等が軒並み市場予想上回りドル高勢い付く
〇岸田首相、異次元金融緩和政策は「副作用について引き続き検証を行っていくことが重要」と発言
〇15日の米長期債利回りは総じて上昇、10年債利回りは前日比0.06%上昇の3.81%に
〇NYダウは前日比38.78ドル高と小幅な上昇、ナスダック総合指数は110.44ポイント高で3連騰
〇134.35超えからは135円を目指す上昇を想定、134.75以上は反落警戒
〇133円割れからは下落期入りとみて132円台中盤(132.70から132.30)へ向かう流れとみる

【概況】

ドル円は2月16日未明高値で134.35円を付けて1月16日安値127.21円以降の高値を更新した。2月14日夜の米1月CPI上昇率が前年同月比で鈍化傾向を続けたものの市場予想を上回る水準にとどまったことでFRBの利上げ継続期間短縮への期待が後退したとして発表直後の乱高下が落ち着いた後はドル高が優勢となり、ドル円は14日夜の乱高下時に付けた安値131.50円から15日未明高値133.31円へ上昇し、15日午前には上昇一服で132.53円まで下げたものの押し目買いされ、15日夜の米小売売上高、NY連銀景況指数、製造業生産等が軒並み市場予想を上回ったことでドル高はさらに勢い付き、ドル円も1月6日以来となる134円台に到達した。
134円台到達に対する高値警戒感もあり2月16日午前序盤は134円を割り込んでいる。

【米小売は堅調】

米商務省による1月の小売売上高は前月比3.0%増となり12月の1.1%減から改善、3か月振りのプラスで市場予想の1.8%を大幅に上回った。自動車・同部品を除くと2.3%増で予想の0.8%増を上回り、ガソリンを除くと3.2%増、自動車・同部品・ガソリンを除くと2.6%増だった。
NY連銀による2月のニューヨーク州製造業景況指数はマイナス5.8となり、1月のマイナス32.9から大幅に上昇して市場予想のマイナス18.0を上回った。

米FRBによる1月の鉱工業生産は前月比変わらずで市場予想の0.5%上昇を下回ったものの12月の1.0%低下からは改善し、製造業生産は前月比1.0%上昇で市場予想の0.8%上昇を上回った。1月の設備稼働率は78.3%で市場予想の79.0%を下回ったが12月の78.4%からはわずかな低下にとどまった。
2月のNAHB住宅市場指数は42となり1月の35から上昇、市場予想の37を上回った。
2月14日に米労働省が発表した1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は全体の前月比が0.5%で12月の0.1%(速報の-0.1%から上方修正)から大幅に伸び、前年同月比は6.4%で2022年7月から7か月連続の鈍化だったものの市場予想の6.2%を上回ったため、前月比の上昇も踏まえて高止まりの懸念を強め、FRBによる利上げ回数の増加や利上げ状態の長期化の可能性を強めて為替市場はドル高反応となったが、15日も米経済指標の強めな内容でドル高が継続した。

【日銀新体制での共同声明改定や金融政策修正への懸念】

2月15日に岸田首相は衆院予算委員会において、黒田総裁による日銀の異次元金融緩和政策について、「副作用について引き続き検証を行っていくことが重要」とし、2%物価上昇目標を明記した政府・日銀の共同声明についても「日銀新体制の発足後に判断する」考えを示した。
日銀総裁人事を巡っては雨宮副総裁の就任なら黒田総裁時代の金融緩和政策継続感を強めるものとして円安反応を招き、アベノミクスからの転換を強調する候補の場合は円高となるなど混乱が見られたが、下馬評に挙がっていなかった学者の植田氏の起用方針が決まったことと植田氏がメディアのインタビューで「現状の金融緩和政策は正しい」との見方を示したことで急激な路線変更はないとして円安が進みやすい状況となっている。
2月14日の人事案国会提出によりひとまず材料消化となっており、2月24日の国会審議で金融政策への具体的な姿勢等が示されるところを見定めたいが、岸田発言のように共同声明及び異次元金融緩和政策の修正への流れは徐々に進んでゆくのだろうと思われる。

【米長期債利回りは上昇、ダウは上値重い】

2月15日の米長期債利回りは総じて上昇した。10年債利回りは前日比0.06%上昇の3.81%となった。2月14日はCPI発表を巡って一時3.69%へ低下してから3.79%へ上昇するなど乱高下となりながら前日比0.05%上昇の3.75%とし、15日も続伸したことで利回り上昇基調の継続感を示した。
30年債利回りは2月14日に乱高下して前日比変わらずだったが、15日は0.06%上昇の3.84%となり1月19日の3.49%以降の高値を更新した。
利上げに敏感な2年債利回りは2月14日に前日比0.10%上昇の4.62%としたが、15日は0.02%上昇の4.64%とし、一時は4.68%を付けて2月2日の4.04%以降の高値を更新した。
NYダウは前日比38.78ドル高と小幅な上昇にとどまりFRBの利上げ継続期間長期化への懸念が上値を重くしているが、ナスダック総合指数は110.44ポイント高で3連騰となり、米長期債利回り上昇を警戒しつつも経済指標の強さを優先している印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は2月14日夜の米CPI発表後の乱高下から133円台到達へと一段高しているため、2月10日夕安値129.79円を起点とした上昇期が継続しているとして2月15日午前時点では2月17日にかけての間への上昇を想定したが、16日未明へ続伸してからやや下げているものの133円台後半を維持するうちは一段高余地ありとみる。ただし3連騰後の修正安にも注意がいるところとみて133.50円割れからは弱気転換注意とし、133円割れからはいったん下落期に入るとみて16日の日中から17日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月14日夜安値からの一段高により遅行スパンが好転し、先行スパンへ潜り込んでから上抜き返したが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26本基準線割れからは弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からは下落期入りとして安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月14日未明高値から15日未明高値へ一段高した際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られたが、16日未明への一段高で80ポイントに到達して逆行破りとなった。しかしその後は60ポイント近辺へ反落しているためいったん修正安に入りやすいところと注意する。65ポイント超えからは上昇再開とするが、相場が高値を更新した際に指数のピークが切り下がる場合は反落警戒とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント割れへ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、133.50円を下値支持線、134.35円を上値抵抗線とする。
(2)133.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、134.35円超えからは135円を目指す上昇を想定する。134.75円以上は反落警戒とするが、134円以上での推移なら17日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)133.50円割れから続落の場合は弱気転換注意として133円試しとし、133円割れからは下落期入りとみて132円台中盤(132.70円から132.30円)へ向かう流れとみる。132.50円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、133円を割り込んでの推移なら17日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/16(木)
18:40 (欧) パネッタECB理事、講演
22:00 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演
22:30 (米) 1月 住宅着工件数・年率換算 (12月 138.2万件、予想 136.0万件)
22:30 (米) 1月 住宅着工件数 前月比 (12月 -1.4%、予想 -1.6%)
22:30 (米) 1月 住宅着工許可件数・年率換算 (12月 133.0万件、予想 135.0万件)
22:30 (米) 1月 住宅着工許可件数 前月比 (12月 -1.6%、予想 1.0%)
22:30 (米) 2月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (1月 -8.9、予想 -7.5)
22:30 (米) 1月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (12月 -0.5%、予想 0.4%)
22:30 (米) 1月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (12月 6.2%、予想 5.4%)

22:30 (米) 1月 PPIコア指数 前月比 (12月 0.1%、予想 0.3%)
22:30 (米) 1月 PPIコア指数 前年同月比 (12月 5.5%、予想 4.9%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 19.6万件、予想 20.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.8万人、予想 168.8万人)
22:45 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
24:00 (欧) レーンECB理事、講演
26:00 (英) ピル英中銀理事、講演
27:00 (米) 財務省インフレ指数連動30年債入札
27:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演

2/17(金)
06:00 (米) クックFRB理事、イベント挨拶
07:30 (豪) ロウ豪中銀総裁、議会委員会証言
08:15 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
16:00 (英) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -1.0%、予想 -0.2%)
16:00 (英) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 -5.8%、予想 -5.6%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前月比 (12月 -1.1%、予想 -0.2%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (12月 -6.1%、予想 -5.4%)

16:00 (独) 1月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (12月 -0.4%)
18:00 (欧) 12月 経常収支・季調済 (11月 136億ユーロ)
22:30 (米) 1月 輸入物価指数 前月比 (12月 0.4%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 1月 輸出物価指数 前月比 (12月 -2.6%、予想 -0.1%)
22:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
22:45 (米) ボウマンFRB理事、講演
24:00 (米) 1月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (12月 -0.8%、予想 -0.3%)


注:ポイント要約は編集部

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