トルコリラ円見通し 米雇用統計からドル円と共に急伸(22/2/6)

トルコリラ円の2月3日は6.97円から6.82円の取引レンジ、4日早朝の終値は6.97円で前日終値の6.84円から0.13円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 米雇用統計からドル円と共に急伸(22/2/6)

米雇用統計からドル円と共に急伸

〇トルコリラ円、3日夜のドル円急伸に同調し6.97へ大幅上昇
〇6日早朝は7.04へ急伸してから7.00を割り込み波乱含み
〇急騰からの一段高へ進むか、急騰一巡による揺れ返しの下落に転じるのか試されるところ
〇対ドルでは4日早朝の取引終了前に18.86の安値をつけ取引時間中の史上最安値更新
〇3日発表の1月トルコ消費者物価指数上昇率は前月比6.65%で先月から伸びが大幅に加速
〇7.04超えからは7.07前後への上昇を想定、7.07以上は反落警戒圏
〇6.95割れからは先週末の急騰に対する反動安入りとみて6.90台序盤への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の2月3日は6.97円から6.82円の取引レンジ、4日早朝の終値は6.97円で前日終値の6.84円から0.13円の円安リラ高だった。
ドル円は2月2日早朝の米FOMCを前後してのドル全面安により130円を挟んだ持ち合いから転落して2月2日夜に128.07円へ下落し、3日の日中は下げ一服で128円台で推移していたが、2月3日夜の米雇用統計とISMサービス業景況指数が予想以上の改善となったことをきっかけに直前安値128.32円から4日未明高値131.21円へ3円近い急伸となった。ドル円の騰落に合わせてトルコリラ円は2月2日夜に6.80円まで安値を切り下げていたが、3日夜のドル円急伸により6.97円へ大幅上昇した。

2月2日の米FOMCでは0.25%利上げが決定され、あと2回の利上げが検討されるとして利上げのピークが見えたことと利上げ状態の継続期間も短縮されるのではないかと市場は受け止めてドル円は急落したのだが、2月2日夜の英中銀とECBによる0.50%利上げが決定された後は当面するドル売り材料を消化したとしてユーロやポンドが急落してドル高がぶり返しに入った。そこへ米雇用統計における非農業部門就業者数が予想の倍以上に増加して平均時給伸び率が高止まりの様相となりISMサービス業景況指数が予想を大幅に上回る改善となったため、米FRBによる利上げ期間の短縮は望みが薄くなったとしてドル円が急伸、トルコリラ円もドル円の急伸に同調した。
ドル円は2月6日早朝に一時132円台中盤へ上昇、その後に132円を割り込んだが、トルコリラ円も7.04円へ急伸してから7.00円を割り込み波乱含みとなっている。急騰からの一段高へ進めるのか、急騰一巡による揺れ返しの下落に転じるのか試されるところだ。

【対ドルでは取引時間中の史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの2月3日は18.86リラから18.80リラの取引レンジ、4日早朝の終値は18.82リラで前日終値の18.79リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
2月2日早朝の米FOMCを前後したドル全面安と、2月2日夜のECBと英中銀の利上げ決定後のドル高のぶり返し、2月3日夜の米雇用統計等をきっかけとしたドル高の加速というように為替市場は大きな変動に見舞われたが、ドル/トルコリラは冷静な動きにとどまり18.80リラ近辺での動きを続けたが、4日早朝の取引終了前に18.86リラの安値を付けて1月30日安値18.85リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新した。
終値ベースでの史上最安値は1月24日終値18.82リラであり、2月3日終値は小数点下三桁では18.819リラのためわずかに及ばなかったが、取引時間中及び終値ベースでの史上最安値試しが続いている。
2月6日早朝にはベンダーによっては18.80リラ台後半の安値をつけ18.84リラ近辺で最安値更新を試している。

【トルコの1月CPIは前月比6.65%上昇と再び加速気味に】

【トルコの1月CPIは前月比6.65%上昇と再び加速気味に】

2月3日夕刻に発表された1月のトルコ消費者物価指数(CPI)上昇率は前月比6.65%となり12月の1.18%から伸びが大幅に加速して市場予想の3.80%を大幅に超えた。前年同月比は57.68%となり12月の64.27%から減速したが市場予想の53.5%を上回った。
コアCPI上昇率は前月比7.7%となり12月の1.9%から大幅に加速、前年同月比は53%で12月の51.9%を上回った。
生産者物価指数(PPI)上昇率は前年同月比は86.46%で12月の97.72%から鈍化したものの、前月比は4.15%となり12月のマイナス0.24%から再びプラスに転じた。

CPI上昇率の前年同月比は2022年10月の85.51%でピークとなり11月の84.39%から12月、1月へと減速してきている。しかしリラ暴落による影響で2021年12月が前月比13.58%上昇、2022年1月が前月比11.1%上昇と急上昇していたところとの比較となるために前年同月比で低下した側面もある。前年同月比の低下よりも前月比で6.65%上昇となったことは2022年4月の7.25%上昇以来の伸び率であり、コアCPIの前月比も2022年1月の13.2%以来の高水準となり、PPIの前月比が12月にマイナス圏へ低下したところからプラスに転じたことは今後のインフレ高止まりへの懸念を強めるものとなった。
CPIの前年同月比では生活用品が61.9%、食料品・飲料が71.1%と全体の上昇率を上回っており、国民のインフレへの不満も高まるところだ。
当初は6月とされていた大統領選挙が5月に前倒しされたが、エルドアン大統領再選へ向けてインフレ対策としての国民懐柔策が追加される可能性があるが、トルコ中銀によるインフレ抑制のための利上げはありえない状況とすれば、インフレの高止まりないしは上昇再開感が強まるようだと大統領への批判も高まりかねないと思われる。

【1月16日安値6.74円割れ回避からの持ち直しを試す】

【1月16日安値6.74円割れ回避からの持ち直しを試す】

トルコリラ円は2月2日夜に6.81円まで下げたが1月16日安値6.74円割れには至らず、2月3日夜の急伸で6.97円を付けて1月18日の急騰時に付けた高値7.00円に迫り、2月6日朝には7.04円を付けて超えてきている。
昨年10月21日高値8.17円以降は途中に0.24円から0.31円の規模で戻しながらその後に一段安を繰り返して来たが、1月16日安値から1月18日高値まで0.26円の反発を入れてから失速したものの底割れを回避して切り返したため、1月18日高値超えにより昨年10月21日以降の戻り高値切り下がり基調から脱却して1月16日安値を起点としたリバウンドをさらに継続してゆく可能性も出てきている印象だ。

日足チャートでは12月15日と1月6日の戻り高値はいずれも26日移動平均に抑えられたが、2月3日は26日移動平均を終値ベースで上抜いており、これまでの下落基調から抜け出しつつあることを示している。2月6日も終値ベースで26日移動平均を超えれば上昇継続感が強まるところだ。
トルコリラは対ドルで史上最安値近辺での推移を続けており、独自材料ではトルコリラ円の上昇は望めないが、ドル円の騰落に合わせた動きを続けているため、ドル円が2月6日早朝高値で132円を超えたところからさらに伸びて昨年10月以降の下落基調内における反発レベルを超えてくればトルコリラ円も7.10円台を目指す可能性も出てくるのではないかと考える。

ただし、円高継続感が再び強まるなら、ドル円の下落再開と共にトルコリラ円も1月16日安値割れへと進みかねない状況であり、2月3日の上昇幅に対して半値を削るところからは下げ再開を疑うこととする。米FRBの利上げ継続期間が短縮するとの楽観が米雇用統計で後退したものの、あと2回の利上げで打ち止めとなる一方、日銀には金融緩和政策からの脱却への圧力が強まっており、黒田総裁在任中の追加修正はないかもしれないが、2月中には副総裁人事、3月には新総裁人事を巡る国会審議もあるため、新体制の姿勢が金融緩和からの出口戦略重視なら昨年10月以降の円高基調も継続するのではないかと思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)先週末からの急騰と週明け早々の波乱を踏まえ、6.95円を下値支持線、7.04円を上値抵抗線とする。
(2)6.97円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとし、7.04円超えからは7.07円前後への上昇を想定する。7.07円以上は反落警戒圏とするが、7.00円を上回っての推移なら2月7日午前にかけても高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.97円割れを弱気転換注意とし、6.95円割れからは先週末の急騰に対する反動安入りとみて6.90円台序盤(6.92円から6.90円)への下落を想定する。6.90円台序盤は買いも入りやすいとみるが、6.97円を下回っての推移なら7日午前にかけても安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月7日
 23:30 1月 財務省現金残 (12月 -1082.7億リラ)
2月9日
 20:30 週次 外貨準備高 2/3時点 グロス (1/27時点 762.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2/3時点 ネット (1/27時点 258.1億ドル)
2月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 10.2%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.1%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -1.3%)
2月13日
 16:00 12月 経常収支 (11月 -36.66億ドル)
 16:00 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.5%)
 16:00 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 12.1%)

注:ポイント要約は編集部

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