トルコリラ円見通し 円高を追いかけて1月26日以降の持ち合いから転落(23/2/2)

トルコリラ円の2月1日は6.93円から6.83円の取引レンジ、2日早朝の終値は6.85円で前日終値の6.91円からは0.06円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円高を追いかけて1月26日以降の持ち合いから転落(23/2/2)

円高を追いかけて1月26日以降の持ち合いから転落

〇昨日のトルコリラ円、円高を追いかけ議長会見後に6.83へ下落、一旦戻すも2日午前には6.81へ安値更新
〇1/26安値を割り込み持ち合いから転落、1/16安値6.74を目指し始めた印象
〇ユーロ急伸で対ユーロは20.763をつけ最安値更新、観光収入ではプラスだが輸入物価高のマイナス面も
〇1日発表の1月イスタンブール製造業PMIは50.1で12月の48.1から改善、50を超えたのは昨年2月以来
〇6.84から6.86にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる
〇6.80割れからは6.75前後への下落を想定、6.75前後は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の2月1日は6.93円から6.83円の取引レンジ、2日早朝の終値は6.85円で前日終値の6.91円からは0.06円の円高リラ安だった。
ドル円は2月2日未明の米FOMCに先行して2月1日夕刻から下落に転じ、パウエルFRB議長会見後に128円台へ一段安となり、2月2日午前には128台序盤へ続落している。トルコリラ円は円高を追いかけて議長会見後に6.83円へ下落、いったん6.90円台へ戻したものの2日午前には6.81円へと安値を更新している。
ドル円は1月26日から130円を中心とした持ち合いで推移していたところから転落し、1月16日昼安値と1月18日夜安値を結んだ下値支持線も割り込んでおり、ドル全面安の流れが強まる中で1月18日夜及び1月16日昼安値を試しに向かう流れと思われるが、トルコリラ円も1月26日安値を割り込んで持ち合いから転落しており、1月16日安値6.74円を目指し始めた印象だ。

【対ドルでは最安値近辺での推移】

ドル/トルコリラの2月1日は18.85リラから18.76リラの取引レンジ、2日早朝の終値は18.80リラで前日終値の18.81リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
2月2日未明の米FOMCを挟んで為替市場ではドル全面安となったが、対ドルでのトルコリラは史上最安値近辺での推移を継続しており、2月1日も小動きにとどまった。手元のデータでは1月30日午前の18.85(18.853)リラが取引時間中の史上最安値だが、2月1日安値は18.847リラでわずかに届いていない。終値ベースでは1月24日終値18.82リラが最安値となっている。

【対ユーロでは史上最安値を更新】

2月1日のドル/トルコリラの動きは限定的だったが、FOMCを挟んでユーロドルが上昇したことによりユーロ/トルコリラでは史上最安値が更新されている。
ユーロドルはFOMC後の急伸から2月2日午前序盤には1ユーロ=1.1033ドルを付けて昨年9月28日安値0.9534ドル以降の最高値を更新した。ユーロの急伸によりユーロ/トルコリラは1ユーロ=20.763リラを付けて2021年12月に付けたこれまでの史上最安値20.742リラを超えて最安値を更新した。
ユーロ高リラ安は海外からの観光収入への依存度が高いトルコにとってはユーロ圏からの観光客の購買意欲を駆り立てるものとなるため観光収入面ではプラスとなるが、ドル高リラ安に加えてユーロ高リラ安がトルコの輸入物価を押し上げるために高インフレ状態が続きやすくなるマイナス面もある。

2月2日はECBの利上げが見込まれているが、利上げサイクルで先行してきた米FRBが0.25%利上げへとペースダウンする一方でユーロ圏での高インフレが収まらずにいるためにECBの利上げ幅は0.50%と予想されており、ユーロ高ドル安がさらに進みやすい環境であり、ユーロ/トルコリラでのユーロ買いリラ売り圧力も勢い付くと思われる。

【イスタンブール製造業PMIは2か月連続で改善】

【イスタンブール製造業PMIは2か月連続で改善】

2月1日に発表された1月のイスタンブール製造業PMIは50.1となり12月の48.1から改善した。11月に45.7まで低下したところから2か月連続の改善であり、50を超えたのは昨年2月以来となる。
イスタンブール製造業PMIはトルコのGDP伸び率とも相関性があるが、トルコの2022年7-9月GDPは前期比マイナス0.1%となりパンデミック発生による影響を受けた2020年4-6月期のマイナス10.4%以来のマイナス圏へ悪化している。2022年10-12月期も低迷が続くと見込まれているものの、イスタンブールPMIの改善が2月にかけて続くようなら2023年1-3月期のGDPも持ち直し感が出てくる可能性があると思われるが、今のところは世界景気全般が低調なままであり、トルコの成長率が顕著に伸びを示すには時期尚早なところか。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月26日午後安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、1月31日夜の下落時に6.90円をわずかに割り込み、その後の反発も鈍く再び6.90円割れへの余裕が乏しくなっていたために2月1日午前時点では1月31日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また、ボトム形成期は1月31日夜から2月2日午後にかけての間と想定したが、1月30日午後安値を基準とすればボトム形成期が2月2日午後から6日午後にかけての間へ延びる可能性もあるとした。
2月2日午前へ大幅続落しているので引き続きボトム形成中とし、2月6日午後にかけてボトム形成期が延びる可能性も継続とみる。強気サイクル入りは安値から0.05円以上の反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では1月31日深夜への下落で遅行スパンが悪化し、2月1日夕刻からの下落で先行スパンからも大幅に転落した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。当面は26本基準線を上値抵抗線とし、26本基準線超えからは強気転換注意とするが、強気転換は遅行スパン好転からとする。

60分足の相対力指数は20ポイント割れまで大幅に低下している。30ポイント以下での推移が続きやすい局面とし、30ポイント超えからは40ポイント前後への上昇を想定するが、40ポイント以上は戻り売りにつかまりやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.80円を下値支持線、6.86円を上値抵抗線とする。
(2)6.84円から6.86円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)6.86円以下での推移中は下向きとし、6.80円割れからは6.75円前後への下落を想定する。6.75円前後は反騰注意とするが、6.83円以下での推移か、直前安値から0.05円を超える反騰が見られないうちは2月3日午前も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月2日
 20:30 週次 外貨準備高 1/27時点 グロス (1/20時点 791.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1/27時点 ネット (1/20時点 267.1億ドル)
2月3日
 16:00 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 1.18%、予想 3.80%)
 16:00 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 64.27%、予想 53.5%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 1.9%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前年同月比 (12月 51.9%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 -0.24%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前年同月比 (12月 97.72%)


注:ポイント要約は編集部

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