FOMCを挟んでドル安続き128円台へ下落、1月16日安値以降の支持線を割る
〇ドル円、FOMC声明発表に先行したドル安で1日夜に129円台序盤へ下落
〇一時的に反騰するもFOMCを通過してのドル安継続感から2日午前序盤には128.50を割り込む
〇1/16安値127.21と1/18夜安値127.55を結んだ下値支持線も割り込む
〇2日夜は英中銀とECBの利上げ想定されるためドル全面安継続ならドル円も1/16安値割れ目指すか
〇FOMC0.25%利上げ決定、残り2回の利上げも0.25%なら利上げのピーク水準予見可能でドル全面安に
〇ISM1月製造業景況指数は47.4で予想下回り12月からも低下、金融引き締めによる景気減速を反映
〇129.30を超える場合は129.50台への上昇を想定するが、129.50以上は反落警戒
〇128.00割れからは1/18夜安値127.55及び1/16昼安値127.21を順次試してゆく下落を想定
【概況】
ドル円は2月2日未明のFOMC声明発表に先行したドル安を背景に2月1日夜には129円台序盤へ下落、FOMCの0.25%利上げ決定とパウエルFRB議長会見を挟んで一時的に129.86円まで反騰する場面もあったが議長会見後はドル安が勢い付いたために4時台後半には128.53円へ一段安となった。いったん129円到達まで戻したもののFOMCを通過してのドル安継続感から2月2日午前序盤には128.50円を割り込んでいる。
1月18日の日銀金融政策決定会合をきっかけとした乱高下が落ち着き、1月26日以降は130円を挟んで129円割れを回避しつつ130円台後半までにとどまる持ち合い推移で徐々にレンジを縮小してきたが、2月2日早朝への下落により持ち合い下放れとなり、1月16日安値127.21円と1月18日夜安値127.55円を結んだ下値支持線も割り込んだ。
2月2日夜には英中銀とECBの利上げも想定されているため、ドル全面安が継続するようだとドル円も1月16日安値割れを目指しに向かうのではないかと思われる。
【FOMCの0.25%利上げは予想通り、あと2回の利上げでピークに】
FRB=米連邦準備制度理事会は、FOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を0.25%引き上げた。昨年3月に0.25%利上げをして利上げサイクルに入り、昨年5月に0.50%利上げした後の4会合連続で0.75%利上げを行ってきたが、インフレが落ち着き景気減速感も出てきたことにより前回の昨年12月会合では0.50%利上げへとペースダウンしていた。
今回の決定は市場予想通りであり、パウエルFRB議長があと2回の利上げを検討していると述べたことも特段のサプライズ感はなかったが、利上げペースがさほど減速しないのではないかとの懸念が払しょくされて通常ペースの0.25%利上げに落ち着いたことで残り2回の利上げも0.25%にとどまるとすれば利上げのピーク水準も予見できるとしてドル全面安となった。
FRBによる利上げのピーク水準についてはこのままのペースで進めば5.00%から5.25%の水準と想定され、2023年末までは利上げ状態が維持される見通しではあるが、金利先物市場ではピーク水準が5%を下回り、年末には利下げされる可能性が織り込まれ始めている。
【米労働市場は底固く、景気減速感は続く】
米ADPによる1月の非農業部門民間就業者数は前月比10万6000人増となり、市場予想の17万8000人増を下回ったが、12月分は速報の23万5000人増から25万3000人増へと上方修正された。
米労働省による12月雇用動態調査(JOLTS)においては非農業部門求人数が前月比57万2000件増の1101万2000件となり、3か月振りの増加で市場予想の1025万件を上回った。ADPもJOLTSも労働市場の底固さを示す数字だったがFRBの利上げペース減速を阻害するものではないと市場は受け止めたようだ。
米サプライ管理協会(ISM)による1月の製造業景況指数は47.4となり、12月の48.4から低下して市場予想の48.0を下回った。2020年5月に付けた43.5以来の低水準であり、金融引き締めによる景気減速を反映していると思われるが、米国の景況感や製造業関連指標が減速していることは米FRBの利上げ終了も近づくとして為替市場にとってはドル安要因となる。
【米10年債利回りは大幅低下、ダウは乱高下】
2月1日の米長期債利回りは総じて低下した。指標の10年債利回りは前日比0.09%低下の3.42%で終了したがパウエルFRB議長会見後には一時3.39%まで低下した。30年債利回りは0.07%低下の3.57%、2年債利回りは0.09%低下の4.11%となった。
一方でNYダウは前日比6.92ドル高と小幅上昇だったが、FOMCに先駆けてダウ先物が大幅下落し、FOMC直後には一時500ドルを超える下げ幅となったものの、あと2回の利上げでピークを迎えるとの見方から下げ幅を解消してプラス圏へ持ち直した。ナスダック総合指数は231.77ポイント高で前日の190.74ポイント高からの続伸で昨年10月13日安値以降の高値を更新した。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は1月18日の乱高下が落ち着いた後は130円を中心としたレンジ縮小型の三角持ち合いで推移していたが、2月1日夜からの下落で三角持ち合いの下値支持線を割り込んだ。1月27日未明と1月31日早朝の両高値をダブルトップとして下落期に入っているため、6日午後にかけて安値試しを続けやすいと思われる。強気転換には129.50円を超える反騰が欲しいところであり、1月16日安値127.21円を試す流れとみる。
60分足の一目均衡表では2月1日夜からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。26本基準線が戻り抵抗となりやすいとみて、反騰入りには26本基準線を上抜き返し、遅行スパンが好転する必要があると思われる。
60分足の相対力指数は2月1日夜からの下落で20ポイント台へ低下したがその後も反騰しきれずに低水準での推移が続いている。強気転換は50ポイント到達からとし、40ポイント以下での推移中は10ポイント台を繰り返し試す流れとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、128.00円を下値支持線、129.30円を上値抵抗線とする。
(2)129.00円から129.30円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。129.30円を超える場合は129.50円台への上昇を想定するが、129.50円以上は反落警戒とする。
(3)128.00円割れからは1月18日夜安値127.55円及び1月16日昼安値127.21円を順次試してゆく下落を想定する。127.50円以下は反騰注意圏とするが、安値から1円以上の反騰が見られないうちは2月3日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
2/2(木)
13:00 (日) 東京国際金融機構フォーラム、中曽前日銀副総裁、木原官房副長官、清水日銀理事)
16:00 (独) 12月 貿易収支 (11月 108億ユーロ、予想 80億ユーロ)
21:00 (英) 英中銀(BOE) 政策金利 (現行 3.50%、予想 4.00%)
22:15 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 2.50%、予想 3.00%)
22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性・速報値 前期比 (7-9月 0.8%、予想 2.4%)
22:30 (米) 10-12月期 単位労働コスト・速報値 前期比年率 (7-9月 2.4%、予想 1.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 18.6万件、予想 19.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 167.5万人、予想 168.4万人)
22:45 (欧) ラガルドECB総裁、記者会見
24:00 (米) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 -1.8%、予想 2.3%)
27:30 (欧) ラガルドECB総裁、講演
2/3(金)
10:45 (中) 1月 財新サービス業PMI (12月 48.0、予想 51.6)
17:55 (独) 1月 サービス業PMI・改定値 (速報 50.4、予想 50.4)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI・改定値 (速報 50.7、予想 50.7)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI・改定値 (速報 48.0、予想 48.0)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (11月 -0.9%、予想 -0.5%)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (11月 27.1%、予想 22.4%)
22:30 (米) 1月 非農業部門就業者数 前月比 (12月 22.3万人、予想 19.0万人)
22:30 (米) 1月 失業率 (12月 3.5%、予想 3.6%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前月比 (12月 0.3%、予想 0.3%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前年同月比 (12月 4.6%、予想 4.3%)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI・改定値 (速報 46.6、予想 46.6)
24:00 (米) 1月 ISM非製造業景況指数 (12月 49.6、予想 50.5)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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