トルコリラ円見通し 3日連続で高値を切り上げるが6.95円以上では上値重い(23//1/25)

トルコリラ円の1月24日は6.98円から6.90円の取引レンジ、25日早朝の終値は6.91円で前日終値の6.94円からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 3日連続で高値を切り上げるが6.95円以上では上値重い(23//1/25)

トルコリラ円見通し 3日連続で高値を切り上げるが6.95円以上では上値重い

〇トルコリラ円、ドル円の動きに伴い高値6.98到達後に6.91まで失速、1/18高値7.00には届かず
〇対ドル、24日安値18.82つけ終値ベースの最安値更新
〇高インフレ下での連続利下げ、経済減速、大統領選への懸念重石に、今年後半20リラ台への下落も想定
〇トルコ政府、低所得国民の債務罰則を免除との報道あり、6月大統領選へ向け国民対策か
〇スウェーデンでエルドアン氏批判デモが活発化、大統領は激怒、NATO加盟を非承認の可能性も
〇6.90以上での推移中は6.95超えから上昇再開とし、6.98から7.00への上昇を想定する
〇6.90割れからは下落再開とみて、6.87前後、6.85前後を順次試す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月24日は6.98円から6.90円の取引レンジ、25日早朝の終値は6.91円で前日終値の6.94円からは0.03円の円高リラ安だった。(参考チャートにおける1月24日午後の一時的な高値についてはイレギュラーとして捨象する)
1月18日の日銀金融政策現状維持発表をきっかけとしたドル円の乱高下が落ち着いて持ち直しに入り、20日夜から23日夜、24日夜へと戻り高値を切り上げてきたことにより、トルコリラ円も1月20日に6.95円へ上昇、23日に6.96円と高値を切り上げ、24日も夕刻に6.90円までいったん反落したところから夜に6.98円へと高値を切り上げたが、ドル円が131円到達後に失速したために6.91円まで失速した。
ドル円は1月18日の乱高下においてつけた高値131.57円に対して1月24日夜高値は131.11円にとどまってまだ乱高下時のレンジを超えられずにいるが、トルコリラ円も1月18日高値7.00円には一歩届かずにいる。
当面はドル円が1月18日高値を超えて日銀現状維持決定後の乱高下から抜け出す上昇へと発展できるのか、抜け出せずに1月18日夜安値試しへ向かうのかを見ながら、トルコリラ円もドル円の後を追いかけることになりそうだ。

【対ドルでは終値の最安値更新続く】

ドル/トルコリラの1月24日は概ね18.82リラから18.75リラの取引レンジで推移、25日早朝の終値は18.82リラで前日終値の18.81リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
1月24日は夜にかけてドル高基調で推移し、深夜以降は米長期債利回り低下によりドル高が緩む展開だったが、ドル/トルコリラは18.80リラから18.82リラまでのコアレンジで推移、24日午前と午後に一時的なリラ買いで18.75リラ近辺の提示があったもののいずれも早々に18.80リラ台へ持ち直している。
高インフレが続く中で4回連続利下げの後も現状維持を繰り返していること、欧米の金融引き締めと中国の感染拡大の影響による世界全体の景気鈍化によりトルコ経済も2022年前半までの高成長から低成長レベルへと減速していること、6月の大統領再選へ向けた先行き不透明感とエルドアン大統領再選では主要国とは異なる金融政策が継続するとの懸念がリラの重石となっており、今年後半には1ドル20リラ台への下落も想定されている。
ドル/トルコリラの取引時間中における史上最安値は1月20日の1ドル18.84リラ、終値ベースでは1月23日終値18.81リラを超えて24日終値18.82リラが最安値となっている。

【トルコ政府の国民不満懐柔政策】

1月24日の新華社報道によると、トルコのネバティ財務相は低所得国民の税金と保険料の債務に対する罰則を免除し、市民と企業に債務を再建する機会を提供すると述べた。2,000リラ未満までは2022年末に遡ってトルコ市民の税金負債を帳消しにする法案を進めているとした。この法案は1月23日にエルドアン大統領が閣僚会議で言及したという。
トルコ財務省は年明け早々に低所得層向けの大規模な住宅プロジェクトを立ち上げ、中所得層向けの安価な住宅ローンの提供や公共料金税率の引き下げ、公務員の給与の引き上げなどに着手してきた。昨年は三度の最低賃金引上げを決定した。住宅ローンについては最大500万トルコリラ、満期最長15年で、金利は月利0.69%、頭金についての最低金利は10%とされた。6月の大統領再選へ向けてインフレに苦しむ国民対策が試されているといえる。

【スウェーデンのエルドアン大統領批判デモに激怒】

スウェーデンで今年に入ってからトルコのエルドアン大統領を批判する抗議デモが活発化しているが、1月21日のトルコ大使館近くのデモでイスラム教聖典のコーランが燃やされ、エルドアン大統領の人形が逆さづりされたことにエルドアン大統領は激怒し、1月23日に「スウェーデンは北大西洋条約機構(NATO)加盟をめぐるトルコの支持は期待するな」と述べた。
ウクライナ戦争勃発による危機感でスウェーデンとフィンランドは昨年5月にNATOへの加盟申請を行ったが、加盟にはトルコを含む全加盟国の承認が必要であり、両国でのエルドアン大統領批判勢力に対する扱いでトルコは加盟承認へ前向きな姿勢を示しつつも条件を付けて慎重な態度をとってきた。今回のデモ騒動に対するスウェーデン政府の対応如何ではトルコによる非承認となる可能性や、トルコ批判を他の加盟国が強めてトルコの孤立感が高まる可能性もある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月18日午後高値をサイクルトップとした下落が18日深夜安値と19日午後安値をダブル底として持ち直しに入ったとして1月20日午前時点から20日夜から25日にかけての間への上昇を想定してきた。
1月23日夜高値から24日夕刻へいったん下げてから高値を更新し、その後に再び反落しているため、24日夕安値6.90円を割り込まないうちは上昇の継続とするが、24日夜高値を上抜く場合は24日夕安値を起点として新たな強気サイクル入りしている可能性も検討される。ただし24日夕安値を割り込む場合は弱気サイクル入りとして25日の日中から26日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では先行スパンからの転落を回避しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は上昇一巡による下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は1月20日夜から23日夜、24日夜へと高値を切り上げてきた中で指数のピークが切り下がりを続けているため戻り一巡による下落再開への懸念が強まっている印象だ。60ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.90円を下値支持線、6.95円を上値抵抗線とする。
(2)6.90円以上での推移中は6.95円超えから上昇再開とし、6.98円から7.00円への上昇を想定する。6.98円以上は反落警戒とするが、6.93円以上での推移なら26日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)6.90円割れからは下落再開とみて6.87円前後、6.85円前後を順次試す下落を想定する。6.90円以下での推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月25日
 16:00 1月 製造業信頼感 (12月 97.8)
 16;00 1月 設備稼働率 (12月 76.4%)
1月26日 
 20:00 トルコ中銀 金融政策委員会概要
 20:30 週次 外貨準備高 1/20時点 グロス (1/13時点 791.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1/20時点 ネット (1/13時点 248.9億ドル)
1月30日
 16:00 1月 経済信頼感指数 (12月 97.6)
1月31日
 16:00 12月 貿易収支 (11月 -88億ドル)
 16:00 10-12月期 観光収入 (7-9月 179.5億ドル)
 17:00 12月 海外観光客数 前年同月比 (11月 44.64%)

注:ポイント要約は編集部

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