ドル円見通し 131円に到達するも1月18日高値には届かず(23/1/25)

米長期債利回りが低下に転じたことでドル買いが一巡となり25日未明に再び130円を割り込み、25日午前序盤にかけては130円を挟んだ揉み合いで推移している。

ドル円見通し 131円に到達するも1月18日高値には届かず(23/1/25)

ドル円見通し 131円に到達するも1月18日高値には届かず

〇昨日のドル円、深夜131.11到達後にドル買い一巡、25日午前は130円挟んで揉みあい推移
〇米PMI好調の一方、リッチモンド連銀製造業数は予想下回り米長期債利回りも低下に転じる
〇日銀は共通担保オペ拡大、円安反応だが131.57超えへは進めず、131円前後で上値重い展開
〇今月末の米FOMC、利上げ幅は0.25%に留まるか、経済指標踏まえ利上げ継続期間を注視
〇米10年債利回り連騰一服で低下、FRBの利上げペース減速感が背景
〇129.72以上での推移中は上昇余地あり、131.11超えからは131.30から131.57を試すとみる
〇129.72割れからはいったん下げに入るとみて129円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は先週末からの米長期債利回り反騰により1月23日夜に130.88円へ上昇したものの131円には届かずにいったん仕切り直しの下落で24日夕刻には129.72円まで下げたが、130円割れを押し目買いされた。夜の米S&Pグローバルによる1月PMIが予想を上回ったところでのドル高反応で24日深夜には131.11円をつけて、1月18日夜に日銀金融政策現状維持発表からの乱高下でつけた安値127.55円以降の高値を更新した。しかし米長期債利回りが低下に転じたことでドル買いが一巡となり25日未明に再び130円を割り込み、25日午前序盤にかけては130円を挟んだ揉み合いで推移している。
S&Pグローバルによる1月の米製造業PMIは46.8となり12月の46.2及び市場予想の46.0を上回り、同サービス業PMIも46.6で12月の44.7及び市場予想の45.0を上回った。これらは景気後退懸念をやや緩めたがその後に発表されたリッチモンド連銀の1月製造業指数はマイナス11で12月のプラス1及び市場予想のマイナス5を下回ったためにドル買いも抑えられ、一時上昇していた米長期債利回りも低下に転じた。

【日銀の共通担保オペ拡大続く】

日銀は1月24日も共通担保資金供給オペを通告、期日を2月8日までとして固定金利0.0%でオファー額を無制限とした。1月23日には1兆円のオファーに対して3兆円を超える応札があり、平均落札金利は0.145%で旺盛な需要が確認された。日銀が異次元金融緩和政策から脱却してゆく前に低金利での資金確保が可能となるために需要も大きいようだが、大規模な流動性供給により黒田総裁在任中の金融緩和政策継続感を強める狙いもあると思われる。

ドル円も流動性供給拡大として円安反応を見せているが、1月18日の日銀金融政策発表直後の急騰でつけた高値131.57円超えへは進めず、1月20日夜から23日夜、24日夜とわずかに高値を切り上げてきているものの131円前後では上値の重い印象となっており、共通担保資金供給オペ拡充については材料的に織り込んだ印象もある。
日銀人事については2月中には新副総裁指名、3月には新総裁指名と国会承認があり、既に黒田総裁再任はないと岸田首相が述べていることから新体制による金融政策の基本姿勢も見えてくる時期へと進む。その一方で1月31日から2月1日に開催される米FOMCでは0.25%ないし0.50%の利上げが予想されているものの、最近の地区連銀総裁や理事等の発言をみると0.25%利上げにとどまる可能性が高まっている。FRBは年前半に3回程度の利上げで利下げサイクルがピークとし、あとは米経済指標次第で利上げ状態の継続期間も決まり、これまで示されてきた2023年末までの利上げ状態維持という見通しが2023年末までには利下げが再開される可能性へと変わってゆくのかどうかが焦点化してくる。

【米10年債利回りは連騰一服で低下】

米長期金利の指標である10年債利回りの1月24日は3.45%で終了、米PMI発表から一時は3.55%まで上昇したが早々に低下に転じた。1月18日に前日比0.17%低下して19日には一時3.32%をつけて昨年10月21日の4.34%以降の最安値としたところから反発し、20日の0.09%上昇から23日も0.04%上昇で連騰していたが、米FRBの利上げペース減速感は変わらずとして大幅低下後の戻り一巡で再び低下した印象だ。
30年債利回りも0.08%低下の3.60%、2年債利回りも連騰一巡で0.02%低下の4.21%となった。
一方でNYダウは前日比104.40ドル高となり1月20日から3連騰の上昇、ナスダック総合指数は30.14ポイント安とわずかに下げた2連騰後の高止まりという印象だった。いずれも金融引き締めによる景気後退が深刻化せずにソフトランディングが可能との楽観が下支えしている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は1月18日の乱高下が落ち着いてからの持ち直しを継続してきたが、131円到達から1円を超える反落となっているため、戻り一巡でいったん仕切り直しに入りつつあると思われる。130.50円超えからは上昇継続とみて131円台序盤を再び試す可能性があるとみるが、新たな押し上げ材料が出てこないうちは131円以上では戻り売りにつかまりやすいとみる。1月24日夕刻安値129.72円割れからは下落期入りとみて26日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月24日夜高値からの反落で遅行スパンが悪化した。先行スパンからの転落は免れているので遅行スパンが好転へ切り返す場合は上昇再開とするが、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まると警戒する。

60分足の相対力指数は1月23日夜高値時には20日夜高値時よりも指数のピークが切り下がり、24日深夜高値時も指数のピークがほぼフラットな水準にとどまっているため連続的な弱気逆行状態とみて下落再開に入りやすい状況と考える。60ポイント超えからは上昇継続とするが、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月24日夕安値129.72円を下値支持線、24日深夜高値131.11円を上値抵抗線とする。
(2)129.72円以上での推移中は上昇余地ありとし、131.11円超えからは131.30円から1月18日午後高値131.57円にかけての水準を試すとみるが、131.50円以上は反落警戒とする。
(3)129.72円割れからはいったん下げに入るとみて129円前後への下落を想定する。129円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は128円台中盤への下落を想定する。

【当面の主な予定】

1/25(水)
休場、中国、香港、台湾、ベトナム
14:00 (日) 11月 景気先行指数CI・改定値 (速報 97.6)
14:00 (日) 11月 景気一致指数CI・改定値 (速報 99.1)
18:00 (独) 1月 IFO企業景況指数 (12月 88.6、予想 90.2)
24:00 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 4.25%、予想 4.50%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省5年債、変動利付2年債入札

1/26(木)
休場、中国、オーストラリア、台湾、ベトナム、インド
08:50 (日) 12月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (11月 1.7%、予想 1.6%)
08:50 日銀金融政策決定会合における主な意見(1月17-18日分)
22:30 (米) 10-12月期 GDP・速報値 前期比年率 (7-9月 3.2%、予想 2.6%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費・速報値 前期比年率 (7-9月 2.3%、予想 2.7%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE・速報値 前期比年率 (7-9月 4.7%、予想 3.9%)
22:30 (米) 12月 卸売在庫 前月比 (11月 1.0%、予想 0.5%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注 前月比 (11月 -2.1%、予想 2.9%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (11月 0.2%、予想 -0.2%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 19.0万件、予想 21.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 164.7万人、予想 165.8万人)
24:00 (米) 12月 新築住宅販売件数・年率換算 (11月 64.0万件、予想 62.0万件)
24:00 (米) 12月 新築住宅販売件数 前月比 (11月 5.8%、予想 -3.1%)

注:ポイント要約は編集部

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