荒っぽい変動継続か、落ち着きどころ探る(週報1月第4週)

先週のドル/円相場は結果としてドルが小じっかり。ザラ場ベースでは5月末以来となる一時127円台前半まで下落したものの、週の終盤にかけて買い戻されている。

荒っぽい変動継続か、落ち着きどころ探る(週報1月第4週)

荒っぽい変動継続か、落ち着きどころ探る

〇先週のドル円、一時127円台前半まで下落するも終盤にかけ買い戻される
〇18日の日銀決定会合の結果発表で、現状維持による失望から一気に円売りがかさむ展開
〇その後発表された米12月小売売上高や生産者物価指数が予想を下回り、行ってこいに
〇週末の黒田日銀総裁「拡張的な金融政策を継続する」発言で市場は再びドル高に傾斜
〇今週は12月製造業PMI速報や10-12月期のGDP速報値などの米経済指標が発表される予定
〇今週のドル/円予想レンジは、127.00-131.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は結果としてドルが小じっかり。ザラ場ベースでは5月末以来となる一時127円台前半まで下落したものの、週の終盤にかけて買い戻されている。

前週末、岸田首相とバイデン米大統領が会談を行ったことが一部で話題に。またWHOなどの是正勧告もあり、中国政府が「過去1ヵ月間でコロナ関連死がおよそ6万人」と公式発表したことも思惑を呼んでいた。
そうした状況下、ドル/円は127.85円レベルで寄り付いたのち、週間安値である127.22円まで下落。7ヵ月半ぶりの安値を示現したものの、その後は逆にドルの買い戻しが優勢となった。途中、発表された米経済指標や日銀会合の結果発表に一喜一憂。「3円上がって4円下落する」など、かなりの荒っぽい変動をたどるも、最終的には129円台半ばで推移し、週末NYは越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、市場の注目度が久しぶりに高かった18日の日銀決定会合結果の発表において「政策金利をマイナス0.1%で現状維持」、「長期金利の上限も0.5%程度のまま据え置き」と明らかにし、失望から一気に円売りがかさむ展開となった。しかし、そののち発表された12月の小売売上高や同生産者物価指数が予想を下回ったうえ、米地区連銀経済報告で「物価の伸びが今後一年のあいだに一段と鈍化する」とした見通しが示されたことが材料視されると「行って来い」。先で指摘した「3円上がって4円下落する」という、悪辣なジェットコースター相場をたどっていた。また、週末には黒田日銀総裁から「拡張的な金融政策を継続する」との発言が聞かれると、市場は再びドル高に傾斜している。

対して後者は、WHOからコロナ死者数などの発表に不満を表明された中国だが、国家衛生健康委員会トップ馬主任とWHOのテドロス事務局長が電話会談を実施。そのうえで、前述したように中国政府が「過去1ヵ月間でコロナ関連死がおよそ6万人」と公式発表するなど、要請に応じた一部の情報解禁が観測されている。ただ、それでも実数値ではなく過少申告しているとの見方が有力で、たとえばブルームバーグでは「実際には数十万人に上る可能性があると専門家は指摘する」と報じたうえで、「死亡者数90万人との試算」と報じていた。一方、それとは別に22日からの春節(旧正月)を前に、日韓に対しての水際対策報復措置は緩めず、強硬スタンスを貫く。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は2023年になって以降、2週続けて一週間で5円以上の変動をたどっている。先週はそれより若干「落ち着いた」ものの、それでも週間変動は4.3円ほどとまだまだ値動きは荒っぽい。むしろ、先週は片一方の動きではなく、往復で激しく動いたことを考えると、実は今年で一番動いた一週間だったとさえ言えそうだ。いずれにしても、今週はそんな値動きが少しでも落ち着きを取り戻すのか、それとも荒っぽい変動はまだまだ続くのか、状況をしっかりと見極めたい。

日米金融政策が依然として市場の注目材料。しかし、発表される米経済指標などによって市場は一喜一憂し、基調がこまめに変わる猫の目相場の様相を呈している。今週も指標発表前後の相場などは予断を許さない。一方、それとは別に波乱要因として警戒されているものが中国の春節(旧正月)。中国当局から「21億人が移動する」といった推計が発表されるなか、新型コロナの感染拡大を懸念する声も決して少なくないようだ。先週の金融市場では中国の経済活動拡大期待や、米中関係改善観測なども週末にかけてはドル高要因となっていたが、場合によっては冷や水を浴びせ掛けない。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週初に127.22円まで下落したものの、以降は下値を切り上げる展開。ドル安リスクが潰えたとまでは言えないものの、足もとはかなり後退している。それに対し、ドルの上値は18日に記録した2円を超える長い上ヒゲが依然として頭を押さえているが、先週末に一部をこなしており、若干上方向の展望が広がってきた。まずはNYクローズで130円台回復、そして18日高値の131.58円超えを達成すれば、ドルはさらなる高値トライをたどる可能性もある。

今週は、12月の製造業PMI速報や10-12月期のGDP速報値などの米経済指標の発表されるほか、米金融機関などの決算発表も相次ぐ。一方、それとは別に春節(旧正月)を迎え、中国をはじめ香港やシンガポールなどが週を通して休場となることが多いことの影響も気掛かりだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、127.00-131.50円。ドル高・円安については、まず先週末高値の130.62円をめぐる攻防に注目。それを超えると今週中の131円割れが予想されている移動平均の21日線、そして先週高値131.58円がターゲットに。
対してドル安・円高方向は、フィボナッチポイントも近い先週安値127.22円はかなり強いサポートか。それ以前でも127円台には弱いサポートが多く、なかなか底堅いイメージ。

荒っぽい変動継続か、落ち着きどころ探る

ドル円日足

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