トルコリラ円見通し ドル円の乱高下に合わせて戻すも再び失速気味(23/1/23)

トルコリラ円の1月20日は6.95円から6.81円の取引レンジ、21日早朝の終値は6.91円で前日終値の6.84円からは0.07円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の乱高下に合わせて戻すも再び失速気味(23/1/23)

ドル円の乱高下に合わせて戻すも再び失速気味

〇トルコリラ円、20日夜にかけドル円が上昇した局面で6.95まで戻す
〇21日早朝6.88まで下げてから6.90円台を回復し週終えるも、週明けは6.90を割り込み失速気味
〇トルコリラ円はドル円に合わせた動きを継続し昨年10/21高値以降の安値更新へ進みやすい環境
〇対ドルでは21日早朝18.74、終値ベースでの史上最安値は1/16終値18.80以降は更新されず
〇今週は23日に1月トルコ消費者信頼感指数、25日に1月製造業信頼感指数が発表される
〇6.92超えからは6.95手前を試す上昇を想定するが、6.95手前は反落警戒
〇6.85割れからは6.80台序盤への下落を想定、6.80以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の1月20日は6.95円から6.81円の取引レンジ、21日早朝の終値は6.91円で前日終値の6.84円からは0.07円の円安リラ高だった。
ドル円の乱高下に振り回される展開が続いているが、ドル円は1月18日午後高値131.57円から18日深夜安値127.55円まで急落した後を下げ渋り128円台中心の持ち合いで推移していたが、20日午後に129円台に到達、1月18日の日銀金融政策現状維持をサプライズとした乱高下が落ち着いたとみて買い戻し優勢に転じ、20日夜は米長期債利回り上昇に押し上げられて130.61円へ上昇、1月18日夜にかけての下落幅4.02円に対して20日夜高値まで3.06円の上昇幅となり凡そ7割を戻したが、21日早朝に129.50円を割り込んで高値からは1円強を削る失速で週を終えた。
トルコリラ円は1月18日午後へのドル円急伸時に7.00円へ上昇、18日深夜に6.79円へ急落、19日午後安値では6.80円にとどまって下げ渋り、20日夜にかけてドル円が上昇した局面で6.95円まで戻し、21日早朝に6.88円まで下げてから6.90円台を回復して週を終えたが、週明けは6.90円を割り込んで失速気味となっている。

【日銀現状維持サプライズ収まるも先行きの円高感は変わらず】

1月18日の日銀現状維持によるサプライズからの乱高下はひとまず落ち着き、黒田総裁がダボス会議で任期中の金融緩和政策維持を強調したことが1月20日夜のドル円上昇要因になったが、1月18日に当初急伸した時の高値を超えておらず、1月12日の金融緩和政策の副作用検討報道と黒田総裁退任後に日銀が異次元金融緩和政策の出口へ向かうことは既定路線として先行きの円高感はぬぐえない。
岸田文雄首相は1月22日のTV番組で黒田日銀総裁の後任人事について2月に国会へ提示するとした。また「人は代わる」と述べて黒田総裁の再任はないとの見方を示した。黒田総裁の任期満了は4月8日だが雨宮氏と若田部氏の両副総裁任期は3月19日までであり、市場は副総裁人事案から日銀新体制の出口戦略姿勢を判断してゆくことになると思われる。

米長期債利回りも1月19日に10年債が10月21日以降の最安値を更新したところから下げ過ぎの反動で戻したものの、1月31-2月1日の次回FOMCでは0.25%の通常ペースでの利上げに落ち着き、12月時点のFOMCによる金利ピーク水準見通しも今後下方修正されて利上げ継続期間も短縮されるのではないかとの見方が徐々に強まると思われるので、当面のドル円はややレンジの大きな騰落を繰り返しつつも、新たな円高のきっかけが発生すれば年初来安値更新へ向かい、トルコリラ円もドル円に合わせた動きを継続して昨年10月21日高値以降の安値更新へ進みやすい環境にあるのではないかと考える。

【対ドルではリラ安阻止の攻防も見られる】

ドル/トルコリラの1月20日は18.84リラから18.74リラの取引レンジ、21日早朝の終値は18.76リラで前日終値と変わらずだった。
小数点下三桁では1月16日に付けた安値18.835リラに対して18.844リラの安値を付けて取引時間中の史上最安値を更新したが、1月17日以降は取引終盤の早朝にリラ買いが入ってリラ安を抑える動きが連日続いており、1月20日も取引終盤の21日早朝に直前の18.80リラ台から18.74リラへドル安リラ高となり、終値ベースでの上昇が抑えられており、終値ベースでの史上最安値は1月16日終値18.80リラ以降は更新されずにいる。
週間では1月13日終値18.78リラから0.02リラのドル安リラ高だった。

【トルコの景況感を見定める】

今週は1月23日に1月のトルコ消費者信頼感指数、1月25日に1月の製造業信頼感指数の発表がある。
製造業の信頼感指数は2021年7月の114.8をピークに低下傾向にあり、11月の97.9、12月の97.8と2か月連続で100を割り込み低調な動きだが、消費者信頼感指数の12月は75.6で11月の76.6から若干低下したものの全般傾向としては6月に63.4まで低下したところからの改善基調での推移が続いている。
トルコのGDP伸び率は前年同期比でみると2022年7-9月期に3.6%増となり1-3月期の7.5%、4-6月期の7.7%と高水準を維持していたところから伸びが大幅に鈍化し、前期比では0.1%減でパンデミック発生直後の2020年4-6月期以来のマイナスとなり、2022年後半からの成長鈍化が顕著になっている。インフレの進行と欧米の金融引き締めによる景気鈍化、中国の感染拡大による規制での景気減速、ウクライナ戦争長期化の影響等が背景だが、高インフレの中で利下げを繰り返したことでリラ安が進んだこととリラ防衛のための諸政策が混乱をもたらしているともいえる。

1月19日にはトルコ政府による小売業界への価格抑制への圧力が続いているとの報道もあり、政府の圧力による値下げ効果もあって12月の消費者物価指数の前年同月比が11月の84.39%から12月の64.27%まで低下したともいえる。エルドアン大統領にとっては6月の大統領選挙での再選のために有権者の批判を抑えたいところであり、当面は昨年来繰り返してきた最低賃金の上昇、利下げによる実質マイナス金利状態の維持、小売業界への値下げ圧力で物価高騰を抑えて消費者の不満をつぶし、製造業を刺激して輸出拡大を目指したいところであり、今週の消費者信頼感指数、製造業信頼感指数が大統領の意図に沿った改善がみられるのか注目される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月18日午後高値をサイクルトップとした下落が18日深夜安値と19日午後安値をダブル底として持ち直しに入ったとして1月20日午前時点では20日夜から25日にかけての間への上昇余地ありとした。
1月20日夜に6.95円まで上昇してから6.90円割れへ失速しているため、既にサイクルトップを付けた可能性があると注意し、6.92円超えからは上昇再開とするが、6.85円割れからは弱気サイクル入りとして24日午後から26日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月20日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いたが、その後の反落で遅行スパンは悪化しやすい位置となり、先行スパンへ潜り込んできている。先行スパンを上抜き返した状況を維持し始める場合は上昇再開の可能性ありするが、先行スパンに潜り込んだ状況で推移するうちは下向きとし、遅行スパン悪化から下落期入りとみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月20日夜への上昇で70ポイントを超えたがその後の失速で50ポイントを割り込んでいるのですでに下落期に入っている印象だ。55ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.85円を下値支持線、6.92円を上値抵抗線とする。
(2)6.87円以上での推移中は6.92円超えからの上昇再開余地ありとし、6.92円超えからは6.95円手前を試す上昇を想定するが、6.95円手前は反落警戒とする。
(3)6.87円割れからは下向きとし、6.85円割れからは6.80円台序盤(6.82円から6.80円)への下落を想定する。6.80円以下は反騰注意とするが、6.85円を割り込んでの推移なら24日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月23日
 16:00 1月 消費者信頼感指数 (12月 75.6)
1月25日
 16:00 1月 製造業信頼感 (12月 97.8)
 16:00 1月 設備稼働率 (12月 76.4%)
1月26日 
 20:00 トルコ中銀 金融政策委員会概要
 20:30 週次 外貨準備高 1/20時点 グロス (1/13時点 791.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1/20時点 ネット (1/13時点 248.9億ドル)
1月30日
 16:00 1月 経済信頼感指数 (12月 97.6)
1月31日
 16:00 12月 貿易収支 (11月 -88億ドル)
 16:00 10-12月期 観光収入 (7-9月 179.5億ドル)
 17:00 12月 海外観光客数 前年同月比 (11月 44.64%)


注:ポイント要約は編集部

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