米金利注目、一転ドル高方向にリスクも(23/1/5)

5日の東京市場はドルが底堅い。一時131円台後半まで値を下げたが、結局「行って来い」。ほぼ全戻しに近い反発を記録している。

米金利注目、一転ドル高方向にリスクも(23/1/5)

米金利注目、一転ドル高方向にリスクも

〇本日のドル円、131.70レベルまで下落後132.62台へ戻す
〇FOMC議事録はタカ派な表現、ドルの買い戻し強まる
〇昨日高値132.71を上抜ければ本日134.20台に位置する移動平均21日線を目指す展開も
〇本日は12月ADP雇用統計や11月貿易収支などの米経済指標が発表予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは131.50-133.00

<< 東京市場の動き >>

5日の東京市場はドルが底堅い。一時131円台後半まで値を下げたが、結局「行って来い」。ほぼ全戻しに近い反発を記録している。

ドル/円は132.60-65円で寄り付いたのち、利益確定売りなどに押され131.70円レベルまで一時下落。しかし、目先底値を付けたのちはVの字型の回復をたどると132.60円台へ。まさに「行って来い」の全戻しを記録するなか、16時現在では132.50-55円で推移し、欧米市場を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、NY時間前は時間外で取引されている米長期金利の低下、そして発表されたISM製造業指数が予想を下回ったことでドルは冴えない。しかし、そののち公表になった先月の米FOMC議事録は「当局者はさらなる利上げが必要になると認識」などとし、多くが予想していた内容よりもタカ派的な表現に。早期の利下げ転換には慎重な考えを示したと捉えられ、逆にドルの買い戻しが一気に強まっている。またミネアポリス連銀総裁から、2023年に「少なくともあと1.0%の利上げが必要」との見解が示されたことも、ドル買いを後押ししていたという。

対して後者は、当初は中国への水際対策に否定的だった英国に続き、EUも「中国からEUへの航空機の搭乗者に陰性証明の提出を求めるよう強く奨励することで合意」したことが明らかになった。なお、中国は日米英などによる入国規制等の対策を批判したうえで、「対抗措置」をとる姿勢を示している。一方、そうしたなかWHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は記者会見で、中国の新型コロナ死亡認定に疑問を呈し、「実態が過少報告されている」などと強く非難をしていた。

<< 欧米市場の見通し >>

一昨日に7ヵ月ぶりとなる130円割れを示現するも、ドル/円の下値リスクは高まっていないとは指摘したが、まさかドル高に振れ132円台まで達するとは予想していなかった。クリスマスや年末年始を終えたとはいえ、まだマーケットは商いが薄く、値の飛びやすい状況にあるのかもしれない。少し遠いが12月末に示現した134円半ばに到達、超えていくようだとドルの上値余地が大きく広がっても不思議はなさそうだ。

昨日も東京時間に黒田総裁から「金融緩和継続」示唆発言が聞かれたものの、市場は政策変更に関する思惑が根強い。反面、米国はややハト派的な見方が優勢になりつつあったが、昨日公表された米FOMC議事録要旨が冷や水を浴びせた格好だ。つまり、日米金利差が縮小しないといった様相を呈するなら、為替市場において再びドル高が進行しても不思議はない。そうした視点と絡め、明日の米雇用統計には十二分な注意を払いたいが、その先行指標となる本日の12月のADP雇用統計なども数字如何では相場が荒れる可能性もある。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先日までの下値リスク再燃観測が一転、足もとは上値リスクも取り沙汰されている。本日東京も近いレベルで上げ止まった昨日高値132.71円をめぐる攻防にまずは注目だ。上抜けると、現在急下降中の移動平均21日線(本日は134.20円台)を目指す展開が見込まれている。
ただ、ここ最近は天邪鬼な動き。上かと思うと下、下かと思うと上という値動きも少なくない。あまり強く決め打ちせずに取引に臨みたいところだ。

本日は米経済指標として、12月のADP雇用統計や11月の貿易収支などが発表されるほか、アトランタ連銀総裁などによる発言機会も予定されている。前述したように、昨日は米指標や要人発言が市場の波乱要因のひとつになっており、本日も引き続き要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは131.50-133.00円。ドル高・円安方向は昨日高値の132.71円が最初の抵抗。抜ければ133円台回復、133円前半をまずは目指す。
対するドル安・円高方向は、時間足など短期のチャートを見ると東京安値の131.70円、割り込んでも131円半ばでは取り敢えず底堅そう。ただ、それも下回ると一気にドル安が進行しても不思議はなさそうだ。

米金利注目、一転ドル高方向にリスクも

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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