ドル円、良好な米経済指標を材料に一時134円台へ急伸。本日は米雇用統計に注目
〇ドル円、ADP雇用統計、新規失業保険申請件数等の強い結果等を受け134.04まで上昇
〇買い一巡後はFRB関係者のハト派発言や米長期金利の上昇幅縮小に133円台前半に反落
〇ユーロドル、欧州圏のインフレピークアウト観測や米長期金利上昇に一時1.0515まで下落
〇ドル円、転換線を上抜けたものの、複数のレジスタンスポイント控え、リスクは依然ダウンサイドか
〇本日、米雇用統計、今回は失業率、労働参加率、平均時給の伸び等に特に注目
〇本日の予想レンジ:132.25ー134.25
海外時間のレビュー
5日(木)のドル円相場は下落後に急上昇。(1)前日海外時間に急伸した反動(利食い売り)や、(2)本邦輸出企業の実需のドル売り、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値131.71まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)本邦長期金利低下に伴う円売り圧力や、(5)ゴピナートIMFチーフエコノミストによる「米国のインフレはまだ峠を越えていない」とのタカ派的な発言、(6)米12月ADP雇用統計(結果23.5万人、予想14.9万人)の力強い結果、(7)米新規失業保険申請件数(結果20.4万件、予想22.5万件)の良好な結果、(8)米11月貿易収支(結果▲615億ドル赤字、予想▲630億ドル赤字)の赤字幅縮小、(9)米長期金利の反転上昇、(10)短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値134.04まで急伸しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(11)セントルイス連銀ブラード総裁による「2023年はディスインフレの年となる可能性がある」とのハト派的な発言や、(12)上記11を背景とした米長期金利の上昇幅縮小が重石となり、本稿執筆時点(日本時間1/6午前5時00分現在)では、133.20前後で推移しております。
5日(木)のユーロドル相場は軟調推移。アジア時間朝方に、日通し高値1.0631まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ゴピナートIMFチーフエコノミストによる「米国のインフレは峠を越えていない」とのタカ派的な発言や、(2)ユーロ圏11月生産者物価指数(結果▲0.9%、予想▲0.4%)の市場予想を下回る結果、(3)ECBによる金融引き締め休止観測(ドイツ12月CPI、フランス12月CPIに続いて、ユーロ圏11月PPIでも欧州圏のインフレピークアウトを示唆)、(4)欧州株の冴えない動き、(5)米経済指標の良好な結果(米12月ADP雇用統計、米新規失業保険申請件数、米11月貿易収支など)、(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0515まで下落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/6午前5時00分現在)では、1.0532前後で推移しております。尚、昨日はフランス中銀ビルロワドガロー総裁より「経済は予想以上に回復している」「今夏までのターミナルレート到達を目指すべき」との発言が見られましたが、ユーロドルの反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は1/3に記録した約7ヵ月ぶり安値129.51をボトムに反発に転じると、昨日は一時134.04まで急伸しました(一目均衡表転換線の上抜けに成功)。但し、上方に複数のレジスタンスポイント(一目均衡表基準線、ボリンジャーミッドバンド、21日移動平均線、200日移動平均線など)が並んでいることや、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、リスクは依然ダウンサイドと判断できます(昨年12/28に記録した直近高値134.50に近づくにつれて戻り売りが強まる公算大)。
こうした中、本日は日本時間22:30に発表される米12月雇用統計に注目が集まります。マーケットの焦点が「資源インフレ」から「賃金インフレ」にシフトしつつあるため、今晩の注目ポイントは、NFP(非農業門雇用者数)では無く、(1)失業率や労働参加率が上昇するか否か、(2)平均時給が鈍化するか否かに移っています。失業率や労働参加率の上昇(労働需給のひっ迫緩和)と、平均時給の伸び率鈍化が組み合わせされば、「賃金インフレ鈍化期待→FRBによる積極引き締め後退観測→米長期金利急低下→米ドル売り」の経路でドル円に強い下押し圧力が加わる恐れがあるため、本日海外時間帯は、ドル円相場の下落リスクに警戒が必要でしょう。尚、本日は米雇用統計以外にも、米12月ISM非製造業景況指数や、米11月製造業受注、米11月耐久財受注、アトランタ連銀ボスティック総裁発言、リッチモンド連銀バーキン総裁発言などの重要イベントが予定されております。
本日の予想レンジ:132.25ー134.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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