ドル円見通し 米経済指標強くドル全面高、ドル円は134円到達(23/1/6)

ドル円は1月5日夜の米労働関連統計の堅調さを受けた米長期債利回り上昇によるドル全面高で1月5日深夜に134.05円の高値をつけた。

ドル円見通し 米経済指標強くドル全面高、ドル円は134円到達(23/1/6)

ドル円見通し 米経済指標強くドル全面高、ドル円は134円到達

〇ドル円、経済指標の良好な結果を受け米長期債利回り上昇、ドル全面高で1/5深夜高値134.05をつける
〇134円台到達後の133円割れも買われ、1/6午前は133円台前半で確り
〇米ADP民間就業者数は市場予想を大幅に上回る、本日は12月雇用統計発表、好結果が予想される
〇地区連銀総裁によるタカ派姿勢発言、相次ぐ
〇米長期債利回りは概ね上昇、米株価は米長期債利回り上昇とドル高を嫌い下落
〇132.80以上での推移中は上昇余地ありとし、134.05超えからは135円前後への上昇を想定する
〇132.80割れからはいったん下落期に入るとみて、132円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は1月5日夜の米労働関連統計の堅調さを受けた米長期債利回り上昇によるドル全面高で1月5日深夜に134.05円の高値をつけた。
12月20日に日銀が長期金利のゼロ%誘導のための長期債利回り許容変動幅の上限を従来の0.25%から0.50%へ引き上げたことを市場は事実上の利上げと受け止めて急激な円高となり、日銀政策変更発表直前の高値137.47円から12月21日未明安値で130.56円まで7円近い暴落となり、12月29日高値134.49円までは6営業日をかけてのジリ高で戻したものの2023年の円高継続感を背景に12月30日には132円割れへ失速し、1月3日には129.50円へ一段安していた。

130円割れに対する売られ過ぎ警戒感から買い戻され、1月4日高値131.44円、5日未明高値132.71円へと戻り高値を切り上げてきたが、5日夜は米ADP民間就業者増加数が市場予想を大幅に上回り、週間の新規失業保険申請件数も改善したこと、米貿易赤字の縮小等がいずれもドル高材料とされてユーロやポンドが急落となり、ドル円もさらに高値を切り上げる展開となった。134円台到達後のNY市場中盤の133円割れも買われ、1月6日午前は133円台前半で確りしている。

【米ADP民間就業者数は予想を大幅に上回る増加】

1月5日夜に米民間雇用サービス会社ADPが発表した2022年12月の全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比23.5万人増となり、市場予想の15.0万人増を大幅に上回った。11月分も速報の12.7万人増から18.2万人増へと大幅上方修正された。
米労働省による新規失業保険申請件数は12月31日までの週間で前週比1万9000件減の20万4000件となり、3週ぶりの改善で市場予想の22万5000件を下回った。失業保険受給者総数も12月24日までの週間で169万
4000人となり、前週から2万4000人減少して市場予想の170万8000人を下回った。

1月6日夜には米労働省による12月雇用統計の発表があるが、事前予想では非農業部門就業者数は前月比20万人増(11月は26.3万人増)、失業率は11月と変わらずの3.7%、平均時給は前月比0.4%増(11月は0.6%増)、前年同月比は5.0%増(11月は5.1%増)となっている。
ADPや失業保険申請件数を踏まえれば市場予想を超える就業者増加数となる可能性があり、平均時給の伸び率もさほど低下しなければADP統計発表後のようにドル高要因となる可能性がある。ただし米雇用統計にはサプライズも付きものでありデータ集計の遅延等でADPとかけ離れた数字となるケースもあるのでドル円としては上下いずれへも振れやすいと注意したい。
米商務省が発表した2022年11月の貿易赤字は前月比21%減の615億ドルとなり、3か月振りの縮小で2020年9月以来の低水準にとどまった。インフレよる消費低迷で輸入が6.4%減、輸出も2.0%減と縮小している。赤字幅の縮小はドル高要因だが、2022年累計では11月時点で8863億ドルで過去最大の通年赤字だった2021年の8450億ドルをすでにこえている。

【地区連銀総裁はタカ派姿勢】

アトランタ連銀のボスティック総裁は1月5日の講演で「インフレはあまりにも高すぎる」「まだやるべきことが多い」、「個人消費支出(PCE)物価指数で2%の目標に向けてインフレ率を押し下げるために引き続き断固として政策措置(利下げ)を使う」と強調した。
セントルイス連銀のブラード総裁も5日の講演で「FRBが2023年も利上げを続けることで政策金利は十分に景
気抑制的な水準になる」とし、これまでの超ハイペースでの利上げについても「フロントローティング(前倒し)の利上げの効果で「インフレ期待が比較的低くなった」とした。
1月4日にはミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「ターミナルレート(政策金利ピーク水準)については5.4%と予想」、「インフレがピークに達したと確信するまで少なくとも今後数回の会合で利上げを継続することが適切」と述べており、最近の地区連銀総裁達の発言は市場の早期利下げ期待を諫める姿勢が目立っている。

【米長期債利回りは反発】

米長期債利回りは概ね上昇した。ADP統計と新規失業保険申請件数の改善がFRBの利上げ継続と利上げ状態の長期化感を強めるものとして債券売り・利回り上昇となった。
指標の10年債利回りは前日比0.03%上昇の3.72%で終了したが一時は3.77%をつけた。10月21日に4.34%をつけて2020年以降の最高値としたところから利上げペース減速期待で12月7日の3.40%まで低下し、その後の揺れ返し上昇で12月30日には3.91%まで戻していた。その後は上昇一服で1月3日、4日と連続で低下していたものの下げ止まり、再び上昇気配を見せている。
30年債利回りは前日と同じ3.80%だったが、利上げに敏感な2年債利回りは0.10%の大幅上昇で4.46%とした。
一方でNYダウは前日比339.69ドル安、ナスダック総合指数は同153.52ポイント安と下落した。ADP統計等による米長期債利回り上昇とドル高を嫌ったようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は1月3日午前安値で129.50円へ一段安したところから2円近い反発を入れたために1月4日午前時点では1月3日午前安値を起点として戻りを試しているところとし、5日午前時点では6日にかけての上昇余地ありとした。
1月5日夜に134円に到達した後も133円割れを買い戻されているのでまだ上昇余地が残るが、132.80円割れからはいったん下げに入るとみる。米雇用統計を弱気で通過なら10日の日中にかけての下落を想定するが、弱気転換しても米雇用統計から急伸の場合は直前安値を起点とした新たな上昇期入りとみて12日夜にかけての上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1月4日深夜の急伸で遅行スパンが好転して先行スパンも突破したが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26本基準線割れを弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とし、先行スパンからの転落を回避できるかどうか試す流れとみる。

60分足の相対力指数は1月5日深夜への急伸で80ポイントに迫ってからやや下げているため、50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は下げ再開を警戒し、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、132.80円を下値支持線、134.05円を上値抵抗線とする。
(2)132.80円以上での推移中は上昇余地ありとし、134.05円超えからは135円前後への上昇を想定する。135円以上は反落警戒とするが、133円以上を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)132.80円割れからはいったん下落期に入るとみて132円前後への下落を想定する。132円前後は反騰注意とするが、米雇用統計を弱気で通過の場合は131円台前半へ下値目途を引き下げ、週明けも続落しやすいとみる。

【当面の主な予定】

1/6(金)
16:00 (独) 11月 製造業新規受注 前月比 (10月 0.8%、予想 -0.5%)
16:00 (独) 11月 製造業新規受注 前年同月比 (10月 -3.2%、予想 -5.8%)
16:00 (独) 11月 小売売上高 前月比 (10月 -2.8%、予想 1.0%)
16:00 (独) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 -6.6%、予想 -5.9%)
19:00 (欧) 12月 消費者信頼感・確定値 (速報 -22.2、予想 -22.2)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数(HICP)速報値 前年同月比 (11月 10.1%、予想 9.5%)
19:00 (欧) 12月 HICPコア指数速報値 前年同月比 (11月 5.0%、予想 5.1%)
19:00 (欧) 11月 小売売上高 前月比 (10月 -1.8%、予想 0.5%)
19:00 (欧) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 -2.7%、予想 -3.3%)
19:00 (欧) 12月 経済信頼感 (11月 93.7、予想 94.7)

22:30 (米) 12月 非農業部門就業者数 前月比 (11月 26.3万人、予想 20.0万人)
22:30 (米) 12月 失業率 (11月 3.7%、予想 3.7%)
22:30 (米) 12月 平均時給 前月比 (11月 0.6%、予想 0.4%)
22:30 (米) 12月 平均時給 前年同月比 (11月 5.1%、予想 5.0%)
24:00 (米) 11月 製造業新規受注 前月比 (10月 1.0%、予想 -0.8%)
24:00 (米) 12月 ISM非製造業景況指数 (11月 56.5、予想 55.0)
25:15 (欧) レーンECB理事、講演
25:15 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加
26:15 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
29:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加



注:ポイント要約は編集部

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