ドル円見通し FOMC直後の上昇では136円に届かず、上値の重さが観測(22/12/15)

ドル円は12月14日夜安値で134.56円を付けて12月13日夜の米CPI発表から急落して以降の安値を更新し、15日未明のFOMCまでは135円を挟んでの揉み合いで推移していた。

ドル円見通し FOMC直後の上昇では136円に届かず、上値の重さが観測(22/12/15)

FOMC直後の上昇では136円に届かず、上値の重さが観測

〇ドル円、FOMC声明発表直後にいったんドル高反応見せるも高値135.99にとどまる
〇上昇一巡後に134.80へ反落、15日早朝にかけては135円台前半での小動き
〇ユーロは9/28以降、ポンドも9/26以降の最高値更新、豪ドルは10/13以降の高値更新
〇FOMCは予想通りの0.5%利上げで前回0.75%から減速、2024年の利下げを示唆
〇12/14夜安値134.56割れからは12/2安値133.60試しへ向かうとみる
〇136円超えからは136円台中盤への上昇を想定するが、136.50以上は反落警戒

【概況】

ドル円は12月14日夜安値で134.56円を付けて12月13日夜の米CPI発表から急落して以降の安値を更新し、15日未明のFOMCまでは135円を挟んでの揉み合いで推移していた。FOMCは予想通りに0.50%利上げを決定し、2023年の利上げ継続と利上げピーク水準を上方修正したため、声明発表直後にいったんドル高反応を見せたもののドル円の高値は135.99円にとどまり、上昇一巡後には134.80円へ反落、15日早朝にかけては135円台前半での小動きとなった。
FOMCについてはややタカ派的だったとの見方もあったが、FRBによる利上げ想定もある程度織り込み済となり先行きの利下げ再開を意識させるものと市場は受け止め、15日夜に利上げが想定されているユーロは9月28日以降の最高値を更新、ポンドも9月26日以降の最高値を更新した。また原油の連騰もあり、豪ドルは10月13日以降の高値を更新した。それらと比較すればドル円の下落は限定的ともいえるが、戻りも鈍い状況であり、12月13日夜の米CPI発表からの下落基調の範囲にとどまったという印象だ。

【FOMC、予想通りの利上げ、2024年の利下げを示唆】

FRB=米連邦準備制度理事会は12月15日未明のFOMC=連邦公開市場委員会で政策金利を0.5%引き上げて4.25〜4.50%として2007年以来の高水準とした。7会合連続の利上げだが、前回まで続いた0.75%ずつの超ハイペース(通常は0.25%利上げ)から減速した。
FOMC声明文では、金融政策姿勢を十分に景気抑制的とするために利上げ継続が適切とし、インフレ抑制のために利上げを続ける姿勢を示した。またFOMCメンバーによる政策金利見通しの中央値は2023年末で5.00〜5.25%とされ、9月時点の4.50〜4.75%から0.50%の上方修正となったが、2023年に政策金利がピークを付けて2024年には利下げに転じる見込みが示された。

パウエルFRB議長は会見において「利上げをさらに進める必要がある」とし、今後の利上げ幅については「インフレ動向次第」として2月の次回会合における利上げ幅について具体的に言及しなかったが、「FOMC参加者19人中17人が政策金利のピーク水準を5%超としており、それが現時点で最善のアセスメント」と述べた。
FOMCの景気見通しでは、2023年のGDP成長率予想が9月時点の1.2%から0.5%へと大幅下方修正され、失業率は前回の4.4%から4.6%へ上方修正された。コアPCEデフレーターは前回の3.1%から3.5%へ上方修正され、2024年には2.5%へ、2025年には2.1%へ低下する見通しとした。
市場としては利上げ時期とピーク水準についてある程度の見通しが立ったものの景気減速への懸念は強まった。インフレの終息については今後の世界情勢次第で長期化もあり得るため、米経済指標の推移を見ながら利上げ終了時及び利下げ再開時への思惑が交錯してゆく展開と思われる。

【米10年債利回りは反落】

FOMCを通過して米10年債利回りは前日比0.03%低下の3.48%となった。一時は3.56%まで上昇したものの早々に低下に転じた。30年債利回りは前日比変わらずの3.54%で3.57%から3.49%のレンジでの騰落だった。利上げに敏感な2年債利回りも前日比変わらずの4.22%で、4.29%まで一時上昇してから4.16%まで低下するなど乱調だったが、13日の米CPI発表から低下した状況にとどまっている。
一方でNYダウは前日比142.29ドル安と下落した。一時は400ドルを超える下落となったところから持ち直しているが、FOMCによる景気減速見通しが嫌気されたようだ。ナスダック総合指数も前日比85.92ポイント安と3日ぶりに反落した。
ドル円としては米長期債利回りが13日夜の急低下後も下げ渋り程度にとどまったことで反騰へのきっかけをつかみそこなった印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は12月9日夜安値から戻していたものの138円に届かずに13日夜の米CPI発表後に134円台へ急落した。14日夜へ安値を切り下げ、FOMC直後に一時反騰したものの136円に届かず失速しているため、現状は12月13日昼過ぎ高値をピークとした下落期の継続による一段安への懸念が残っていると思われる。136円台を回復できないうちは一段安警戒とし、12月14日夜安値134.56円割れからは12月2日安値133.60円を試す可能性もあるとみる。
136円超えからはいったん戻しに入るとみて20日にかけての上昇を想定するが、136円を超えた後に13日以降の安値を更新するところからは新たな下落期入りとなる点に注意し、その際は21日夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月13日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、15日未明の反発で遅行スパンは好転しやすい位置にある。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは戻りをさらに試すとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月13日深夜安値から14日夜への安値更新に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せたので40ポイント以上での推移中は60ポイント台を目指す上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月14日夜安値134.56円を下値支持線、136.00円を上値抵抗線とする。
(2)136円以下での推移中は一段安警戒とし、134.56円割れからは12月2日安値133.60円試しへ向かうとみる。133.80円以下は反発注意とするが、135円以下での推移なら16日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)136円超えからは136円台中盤(136.30円から136.70円)への上昇を想定するが、136.50円以上は反落警戒とし、その後に135.50円を割り込むところからは下げ再開を疑う。

【当面の主な予定】

12/15(木)
EU首脳会議(ブリュッセル、12月16日まで)
11:00 (中) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 -0.5%、予想 -3.7%)
11:00 (中) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 5.0%、予想 3.6%)
13:30 (日) 10月 第三次産業活動指数 前月比 (9月 -0.4%、予想 0.8%)
16:00 (独) 11月 卸売物価指数(WPI) 前月比 (10月 -0.6%)
21:00 (英) 英中銀(BOE) 政策金利 (現行 3.00%、予想 3.50%)
22:15 (欧) 欧州中銀(ECB) 政策金利 (現行 2.00%、予想 2.50%)
22:30 (米) 12月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (11月 4.5、予想 -1.0)

22:30 (米) 11月 小売売上高 前月比 (10月 1.3%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 1.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (11月 -19.4、予想 -10.0)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 23.0万件、予想 23.0万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 167.1万人、予想 167.1万人)
22:45 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、記者会見
23:15 (米) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -0.1%、予想 0.1%)
23:15 (米) 11月 設備稼働率 (10月 79.9%、予想 79.8%)
24:00 (米) 10月 企業在庫 前月比 (9月 0.4%、予想 0.4%)

12/16(金)
休場、南ア(和解の日)
09:01 (英) 12月 GFK消費者信頼感 (11月 -44、予想 -43)
16:00 (英) 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.6%)
16:00 (英) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 -6.1%)
16:00 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 0.3%)
16:00 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (10月 -6.7%)
17:30 (独) 12月 製造業PMI速報値 (11月 46.2、予想 46.5)
17:30 (独) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 46.1、予想 46.4)

18:00 (欧) 12月 製造業購PMI速報値 (11月 47.1、予想 47.1)
18:00 (欧) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 48.5、予想 48.5)
18:30 (英) 12月 製造業PMI速報値 (11月 46.5、予想 46.5)
18:30 (英) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 48.8、予想 48.5)
19:00 (欧) 10月 貿易収支・季調済 (9月 -377億ユーロ)
19:00 (欧) 11月 消費者物価指数(HICP)改定値 前年同月比 (速報 10.0%、予想 10.0%)
19:00 (欧) 11月 HICPコア指数改定値 前年同月比 (速報 5.0%、予想 5.0%)
23:45 (米) 12月 製造業PMI速報値 (11月 47.7、予想 47.6)
23:45 (米) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 46.2、予想 46.5)

注:ポイント要約は編集部

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