トルコリラ円見通し ドル円の反発に合わせて6営業日ぶり反騰
〇トルコリラ円、5日夜7.30を超え6営業日ぶりの陽線で反発、基本はドル円の騰落に合わせた展開
〇強い米経済指標でドル円急伸するも137円は超えられず、トルコリラも7.35手前では上値が重い
〇対ドル、史上最安値18.69に再度至る、ドル売り一服でリラ売り圧力が強まりつつある状況か
〇11月トルコ消費者物価指数、予想通り鈍化で反応限定的、実態は公式を超えるインフレ悪化との指摘も
〇7.35超えからは7.38への上昇を想定、7.37以上は反落注意とする
〇7.27割れからは下げ再開に入ったとみて、7.25、7.23を順次試す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の12月5日は7.34円から7.19円の取引レンジ、6日早朝の終値は7.33円で先週末終値7.21円から0.12円の円安リラ高となった。
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた展開を続けているが、ドル円は12月1日未明のパウエル米FRB議長講演内容がハト派的だったとしてドル全面安となる中で11月30日深夜高値139.89円から12月2日夕刻安値133.60円まで大幅下落が続いたものの、12月2日夜の米雇用統計が予想よりも強い内容だったことで一時135.97円まで戻し、その後の反落でも安値更新を回避して持ち直しに入り、5日夜の米ISM非製造業景況指数が予想を上回る等米経済指標が総じて強かったことで買い戻しを継続して6日早朝には137円に迫った。
トルコリラ円もドル円の下落に合わせて12月2日夕刻安値7.17円へ一段安となり、米雇用統計後に7.30円まで戻したところも売られて12月5日午前には7.20円を割り込んだものの、その後はドル円の持ち直しに合わせて切り返しに入り、5日夜のドル円急伸時に7.30円を超え、6日早朝には7.34円まで続伸した。
日足は11月28日から5営業日連続陰線での下落だったが、12月5日は6営業日ぶりの陽線で反発しており、ひとまず下げ一服により買い戻しによる高値を試す流れと思われる。ただしドル円が137円手前でやや足踏みしているので、トルコリラ円も7.35円手前では上値が重くなっている印象だ。
【ドル/トルコリラは史上最安値近辺での推移続く】
ドル/トルコリラの12月5日は18.69リラから18.60リラの取引レンジ、6日早朝の終値は18.62リラで先週末終値の18.63リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
10月以降は18.60リラ台の安値を試しつつ戻したところは買い戻されて18.50リラ前後を下値支持線とした膠着状態での持ち合い相場だが、12月3日早朝に一時的な下落で取引時間中の史上最安値となる18.69リラをつけ、12月6日早朝にも同値をつけている。11月以降はベンダーによっては18.70リラ台の安値提示や18.40リラ台の高値提示も見られるが、終値ベースでは徐々に水準を切り下げており、中心値は18.60リラ近辺から18.63リラ近辺へと低下してきている。
12月5日は夜の米経済指標が総じて強かったことでドル高がぶり返す展開となり、それまで高値を更新していたユーロドルが急落、ポンドや豪ドル等も失速した。米FRBによる利上げペース減速期待が12月2日にかけてのドル全面安の背景だったが、ドル売りも一服している印象であり、トルコリラにとってもドル高による売り圧力が再び強まりやすい状況になりつつあるのではないかと思われる。
【トルコの消費者物価上昇率は前月から伸びが鈍化】
12月5日夕刻発表の11月トルコ消費者物価指数の上昇率は前月比2.88%となり10月の3.54%から伸びが鈍化して市場予想の3.00%を若干下回った。前年同月比は84.39%となり10月の85.51%から伸びが鈍化して市場予想の84.65%を若干下回った。コア指数の上昇率も前月1.9%となり10月の3.2%から鈍化、前年同月比も68.9%で10月の70.4%から鈍化した。
11月の生産者物価指数の上昇率は前月比0.74%上昇で10月の7.83%から大幅に低下、前年同月比は136.02%で10月の157.69%から大幅に鈍化した。
世界規模のインフレがややピークアウト感を見せておりユーロ圏のインフレ率も伸びが鈍化していることでトルコの11月インフレ指標も鈍化するだろうと市場は予想していたため、予想通りの低下としてドル/トルコリラの反応等は限定的なものに留まった。
トルコ中銀が11月の利下げで政策金利を9.0%まで引き下げて当面の利下げを終了すると宣言していることもあり、トルコ消費者物価上昇率が昨年5月以来1年半ぶりの鈍化となったことで高インフレ進行と逆行する利下げというリラ売り環境についてはひとまず落ち着いた印象もある。しかし、トルコの独立系調査団体「ENAグループ」は11月の消費者物価上昇率は年率で170.7%に達したと発表しており、実態のインフレは当局の公式発表をはるかに超える悪化状況にあるようだ。
当局による公式統計において、11月の消費者物価上昇率の内訳では生活雑貨等は前年比92.83%、食料品・飲料は102.55%、運賃は107.03%と高い。生産者物価上昇率においても電気・ガス・スチームが442.97%、水道が114.41%、エネルギーが337.34%など高水準が続いている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月30日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして12月2日夜から6日夜にかけての間への下落を想定してきた。
12月2日夕刻に一段安してから深夜にかけて一時急伸し、その後の反落で戻り幅の大半を解消したため、5日午前時点では11月29日夜安値から3日目となる12月2日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて戻したものの戻り一巡からすでに新たな弱気サイクル入りしている可能性があるとし、12月2日夕安値割れ回避のうちは12月5日夜から7日深夜にかけての間への上昇余地ありとみて7.25円超えからは上昇再開とした。
12月5日は底割れを回避して7.25円超えから7.34円まで急伸しているので、12月2日夕安値を起点とした上昇期がまだ継続しているところと思われる。ただし、7.35円手前に抵抗感があるため、7.30円割れからは下げ再開を警戒し、7.27円割れからは新たな弱気サイクル入りとして12月7日夕から9日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では12月5日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いた。その後も両スパンそろっての好転を続けているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、9本転換線割れの状況が続く場合は弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とし、その際は先行スパンの下限を試す流れと考える。
60分足の相対力指数は12月5日夜の一段高で70ポイントを超えたがその後はやや失速している。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、小反落後に高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は弱気転換注意とし、50ポイント割れからは下げ再開として30ポイント前後を目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.27円を下値支持線、7.35円を上値抵抗線とする。
(2)7.30円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、7.35円超えからは7.38円への上昇を想定する。7.37円以上は反落注意とするが7.30円以上での推移が続くなら7日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.27円割れからは下げ再開に入ったとみて7.25円、7.23円を順次試す下落を想定する。7.23円以下は反騰注意とするが、7.27円を割り込んだ後も7.30円以下での推移なら7日も安値試しへ向かう可能性があるとみる。
【当面の主な予定】
12月7日
23:30 11月 財務省現金残高 前月比 (10月 -722億リラ)
12月8日
20:30 週次 外貨準備高 12/2時点 グロス (11/25時点 797.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12/2時点 ネット (11/25時点 195.1億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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