ドル円見通し 米経済指標強くドル高のぶり返しで137円に迫る(22/12/6)

5日夜の米経済指標が総じて予想を上回る強い内容だったことでドル高のぶり返し感が強まったために136円を超えて6日早朝には136.86円をつけた

ドル円見通し 米経済指標強くドル高のぶり返しで137円に迫る(22/12/6)

ドル円見通し 米経済指標強くドル高のぶり返しで137円に迫る

〇昨日のドル円、強い米経済指標を受け利上げ長期化懸念が優勢に、6日早朝136.86まで上昇
〇11月米非製造業景況指数が予想を上回る、雇用統計の強さも再認識され、ドル高反応が継続
〇米長期債利回り、雇用統計直後の失速から総じて反発、一方NYダウは大幅下落に
〇本格的な反騰入りには139.89を上抜く上昇が必要か、戻り一巡から下落再開に転じる可能性も
〇136円以上での推移中は上昇余地あり、137円超えからは138円を目指す上昇を想定する
〇136円以下での推移が続く場合は弱気転換注意、135.50割れからは下落再開を想定する

【概況】

ドル円は12月2日夜の米11月雇用統計発表直後に135.97円へ反騰したものの勢いが続かずに失速して先週を終えていたが、5日午前に134.10円まで下げたところを買われて確りし、5日夜の米経済指標が総じて予想を上回る強い内容だったことでドル高のぶり返し感が強まったために136円を超えて6日早朝には136.86円をつけた。
12月1日未明のパウエル米FRB議長講演がハト派的な内容だったことで米FRBの利上げペース減速期待が強まってドル全面安となり、ドル円は12月2日夕刻安値で133.60円をつけて10月21日高値151.94円以降の最安値を更新した。12月2日夜の米雇用統計が予想を上回ったことによるドル高反応は一時的なものに留まりユーロドルは2日夜の急落を切り返して5日夜には一段高となっていたが、5日夜も米経済指標が強かったことで利上げペースがさほど減速せず利上げ期間も長期化するのではないかとの懸念が再び優勢となったためユーロやポンド、豪ドル等が急落してドル円が上昇した。

ドル円としては12月2日安値で下げ一服となり戻りを試す局面と思われるが、11月22日高値142.25円から11月30日深夜高値139.89円へと戻り高値を切り下げて一段安を繰り返してきたため、強気転換には11月30日深夜高値を上抜き返す上昇が必要であり、そこまで戻せないうちは戻り一巡から下落再開に転じる可能性を残すと思われる。

【12月5日夜の米経済指標は軒並み予想を上回る】

12月5日夜に米サプライ管理協会(ISM)が発表した11月の米非製造業景況指数は56.5となり、10月の54.4から上昇して市場予想の53.5を上回った。このうち事業活動指数は64.7で前月から9.0ポイント上昇、新規受注が56.0で0.5ポイント低下、雇用は51.5で2.4ポイント上昇、製品納入は53.8で2.4ポイント改善した。12月1日に発表された製造業景況指数は49.0で10月の50.2から低下して市場予想の49.8も下回っているため、製造業については鈍化傾向にあるもののサービス業はまだ堅調で需給逼迫感があることを示している印象だ。
米商務省による10月の米製造業受注は前月比1.0%増となり、9月の0.3%増及び市場予想の0.7%増を上回った。5か月連続のプラスで、このうち耐久財受注は前月比1.1%増、変動の激しい輸送関連を除けば0.8%増、国防関連を除くと0.9%増だった。

S&Pグローバルによる11月の米サービス業PMI確報値は46.2となり、速報値の46.1から上方修正された。また総合PMI確報値も46.4となり速報の46.3を上回った。
12月2日の米雇用統計では非農業部門就業者数が前月比26万3000人増で10月の28万4000人を下回ったものの市場予想の20万人増を大幅に上回った。インフレ指標である平均時給の伸び率は前月比で0.6%上昇で10月の0.5%(速報の0.4%から上方修正)及び市場予想の0.3%を上回り、前年同月比は5.1%上昇で9月の5.6%(速報の4.7%から大幅上方修正)を下回ったものの市場予想の4.6%を大幅に上回った。
12月2日の雇用統計に対する市場反応は一時的だったが、12月5日の経済指標も強かったことで雇用統計の強さも再認識されたためにドル高反応も12月2日夜のような一時的なものではなく6日早朝にかけて継続したという状況だ。

【米10年債利回りは反発、NYダウは反落】

12月5日の米長期債利回りは総じて反騰した。指標の10年債利回りは前日比0.09%上昇の3.58%で終了した。10年債利回りは12月2日の米雇用統計発表直後に3.64%まで上昇してから反落して前日比0.01%低下の3.49%で週を終えていたが、米経済指標が強かったことで持ち直しを試している。
30年債利回りは0.04%上昇の3.59%で終了した。12月2日は一時3.70%まで上昇してから前日比0.05%低下の3.55%へと失速したが12月5日は4営業日ぶりの反発となった。
2年債利回りは0.12%上昇の4.39%で終了した。12月2日には一時4.41%まで上昇してから前日比0.04%上昇の4.27%へ失速したが、2日の失速分をほぼ解消する動きを見せた。
一方で12月5日のNYダウは前日比482.78ドル安と大幅下落、一時は500ドル安を超える下落規模となった。米経済指標は強かったもののそれが米FRBの利上げペースをさほど減速させずに利上げ期間が長引くとの懸念となり、NY原油が前日比3.05ドル安と失速したことでエネルギー関連株が売られたことが圧迫要因となった。ナスダック総合指数も前日比221.56ポイント安と大幅下落して12月2日からの続落となった。

12月2日の米雇用統計、5日のISM非製造業景況指数の改善等は、FRBによる12月会合での利上げペースを減速させる判断を阻害しないと思われるが、年明け以降の利上げペースがさらに減速して利上げ期間も短縮されるとの楽観的な期待を削ぐものと市場は受け止めているようだ。
ドル円としては10月21日高値を起点とした三段下げ型の下落が一服しているものの、本格的な反騰入りへ進むにはまだ材料不足であり、11月15日安値から11月21日高値まで4.58円の戻りを入れてから一段安してきた経緯もあり、12月2日安値から5円を超える規模の上昇へ進めるかどうか試され、戻り幅の半値を削る展開となる場合は下落基調の継続と一段安への懸念が強まるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は11月28日夕安値から11月30日深夜高値へ戻したところから12月2日夕安値まで一段安してきたが、ひとまず売り一巡で買い戻されているところと思われる。11月30日深夜高値を基準として高値形成期は12月7日深夜にかけての動きと想定されるのでまだ上昇余地も残るが、137円手前で上値が重くなっているため136円割れから下げ再開へと進む可能性も警戒される。このため136円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは7日にかけての上昇余地ありとみるが、136円割れを弱気転換注意とし、135.50円割れからは下げ再開とみて9日夕にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月5日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜けているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26本基準線を割り込むところからは下げ再開を警戒し、遅行スパンが悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は12月6日未明への上昇で70ポイントを超えた。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、小反落後に高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は下げ再開を警戒し、50ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後を試す下落期入りと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、136.00円を下値支持線、137.00円を上値抵抗線とする。
(2)136円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、137円超えからは138円を目指す上昇を想定する。137.50円以上は反落警戒とするが136円以上での推移が続くか直前高値から1.50円を超える反落とならないうちは7日も上昇余地が残るとみる。
(3)136円以下での推移が続き始める場合は弱気転換注意とし、135.50円割れからは下落再開として135.00円前後、次いで134円前後を順次試す下落を想定する。135.50円を割り込んだ後も136円以下での推移なら7日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/6(火)
12:30 (豪) 豪中銀、政策金利 (現行 2.85%、予想 3.10%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 -4.0%、予想 0.1%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前年同月比 (9月 -10.8%、予想 -4.8%)
22:30 (米) 10月 貿易収支 (9月 -733億ドル、予想 -800億ドル)

12/7(水)
未 定 (中) 11月 貿易収支・米ドル建て (10月 851.5億ドル、予想 781.0億ドル)
未 定 (中) 11月 貿易収支・人民元建て (10月 5868.1億元)
09:30 (豪) 7-9月期 GDP 前期比 (4-6月 0.9%、予想 0.6%)
09:30 (豪) 7-9月期 GDP 前年同期比 (4-6月 3.6%、予想 6.2%)
14:00 (日) 10月 景気先行指数CI速報値 (9月 97.5、予想 98.3)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 0.6%、予想 -0.6%)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 2.6%、予想 -0.7%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前期比 (改定値 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前年同期比 (改定値 2.1%、予想 2.1%)
22:30 (米) 7-9月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 0.3%、予想 0.4%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
29:00 (米) 10月 消費者信用残高 前月比 (9月 249.8億ドル、予想 265.0億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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