トルコリラ円見通し ドル円の下落に追従、10月21日からの三段下げ続く(22/12/5)

トルコリラ円の12月2日は7.30円から7.17円の取引レンジ、3日早朝の終値は7.21円で前日終値の7.26円から0.05円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ドル円の下落に追従、10月21日からの三段下げ続く(22/12/5)

トルコリラ円見通し ドル円の下落に追従、10月21日からの三段下げ続く

〇トルコリラ円、ドル円下落に伴い安値7.17に至る、米雇用統計後に高値7.30まで戻すもその後失速
〇対ドル、18.60リラ台での膠着推移続く、米利上げ鈍化によるドル安がリラ下支え要因となるか
〇トルコ11月CPI、全体やコア指数の伸び鈍化予想、実態のインフレ率は極めて高いとの指摘も
〇7.25を下回るうちは一段安警戒、7.17割れからは7.10円台前半への下落を想定する
〇7.25超えから7.30試し、7.30手前は戻り売りにつかまりやすく、7.23割り込みから下げ再開とみる

【概況】

トルコリラ円の12月2日は7.30円から7.17円の取引レンジ、3日早朝の終値は7.21円で前日終値の7.26円から0.05円の円高リラ安となった。週間では11月25日終値7.48円から0.27円の円高リラ安。
ドル/トルコリラが18.60リラ台の最安値を試しつつやや膠着状態での安値圏持ち合いで推移しているため、トルコリラ円はドル円の騰落と同調した動きを続けており、10月21日以降はドル円の大幅下落と共に安値を切り下げる展開となっている。
ドル円は12月1日未明のパウエル米FRB議長講演をきっかけとしたドル全面安により下げ足が速まり、12月2日夕刻には133.60円まで安値を更新、2日夜の米雇用統計で非農業部門就業者増加数や平均時給の伸びが予想を上回ったことから一時的な反騰で136円に迫ったものの勢いは続かずに3日早朝にかけての失速で戻り幅の過半を解消している。トルコリラ円もドル円に合わせて夕刻に7.17円へ一段安となり、米雇用統計後に7.30円まで戻したもののその後の失速で戻り幅の大半を解消している。

11月の米雇用統計は若干のサプライズ内容だったものの米FRBによる利上げペース減速姿勢は変わらないと思われ、今後のインフレ指標次第では年明け以降の利上げペースがさらに鈍化する可能性もある。ドル円は雇用統計を出直しのきっかけにできなかった印象であり、ドル円と共にトルコリラ円もさらに安値試しを続けやすい状況のまま週を終えたのではないかと思われる。

【ドル/トルコリラは史上最安値近辺での膠着状態続く】

ドル/トルコリラの12月2日は18.69リラから18.62リラの取引レンジ、3日早朝の終値は18.63リラで前日終値と変わらずだった。週間では11月25日終値の18.59リラから0.04リラのドル高リラ安。
概ね18.50リラ前後で戻り売りにつかまり18.60リラ台の安値を試す展開が続いており、手元のデータでは11月29日に18.67リラをつけて取引時間中の最安値を更新していたところ、3日未明に一時18.69リラをつけて史上最安値を更新している。終値ベースでは11月29日終値の18.64リラで最安値をつけている。
12月2日は米雇用統計発表からいったんドル全面高となったものの一時的な動きに終わってドル安がぶり返している。米FRBの利上げペースが鈍化することによるドル安はトルコリラには下支え要因になるが、一方では9月後半からのユーロドルの上昇によりユーロ/リラにおけるリラ安が圧迫要因になる。因みにユーロ/リラの12月2日終値は19.64リラで終値ベースでは史上最安値を更新、取引時間中の最安値は昨年12月の20.74リラを更新していないものの12月2日に19.66リラをつけて昨年12月23日高値11.50リラ以降の最安値を更新している。

【12月5日のトルコCPIは伸びが鈍化するか注目】

12月5日夕刻にトルコ11月物価上昇率の発表がある。CPIの前月比は10月の3.54%から3.00%へやや鈍化すると予想されているが、予想レンジは1.90%から3.40%と幅がある。前年同月比は10月の85.51%から84.65%へと若干鈍化すると予想されており、予想レンジは82.70%から85.30%で10月からは鈍化との見方で衆目が一致しているようだ。
コア指数の伸び率は予想が出ていないが、10月の前月比は3.2%、前年同月比は70.4%だった。またPPIの10月は前月比が7.83%、前年同月比が157.69%だった。
生産者物価の上昇が止まらず前月比の伸びも大きいままだったため、果たして市場予想のようにCPI全体やコア指数の伸びが鈍化できるのか疑問符も付くところだ。12月2日に発表された10月ユーロ圏PPI上昇率では前月比2.9%低下、前年同月比は9月の41.9%から30.8%へと鈍化したが11月のユーロ圏HICP(調和消費者物価指数)上昇率は全体の前月比10.0%で10月の10.6%から若干低下したもののコア指数は10月と変わらずの5.0%だった。

トルコ中銀が11月会合で政策金利を9.0%へ引き下げて当面の利下げサイクルの終了を宣言したことにより、12月5日のトルコCPIがサプライズ的な上昇にならなければドルに対するトルコリラの動きも限定的なものと思われ、予想以上に低下していればリラ買い材料となる可能性もある。ただし、民間調査機関はトルコ統計局の発表よりも実態のインフレ率はきわめて高い状況にあるとしている。

【週足ボリンジャーバンドの収束から拡張へ】

【週足ボリンジャーバンドの収束から拡張へ】

トルコリラ円は週足のボリンジャーバンドをみると昨年12月の暴落と反動高後の急落が落ち着き、緩やかな下落基調で推移しつつ徐々に変動率が低下してバンドが収束していたが、10月21日からの下落継続で8月2日安値を割り込んだところではボリンジャーバンドの下限線を割り込みバンドそのものが膨張し始めた印象だ。
昨年6月2日底から9月1日高値へのややジリ高での持ち合いから下放れたところや2019年5月から2020年1月にかけての持ち合い相場から下放れたところ等に近い動きであり、いずれも概ね2か月から3か月程度のややジリ高での推移から転落して下げ足が速まっており、今回も8月2日安値を割り込んだことによる先安感を踏まえれば昨年12月20日安値6.17円を目指す下落期に入っているのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月28日夕安値を頭、24日夜と29日夜の両安値を両肩とする逆三尊型の底打ちにより上昇していたが、11月30日深夜高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたとして12月2日夜から6日夜にかけての間への下落を想定と想定した。
12月2日夕刻に一段安してから深夜にかけて一時急伸し、その後の反落で戻り幅の大半を解消しているところだが、11月29日夜安値から3日目となる12月2日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて戻したものの戻り一巡からすでに新たな弱気サイクル入りしている可能性がある。このため12月2日夕安値割れ回避のうちは12月5日夜から7日深夜にかけての間への上昇余地ありとみて7.25円超えからは上昇再開とするが、12月2日夕安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとして7日夕から9日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月2日夜の反騰では遅行スパンが好転できず先行スパンからの転落も続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻りを試すとみるが、先行スパンからの転落中は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。力強い反騰へ進むにはまず先行スパンへ潜り込んでその上限を試すような上昇が必要と思われる。

60分足の相対力指数は12月2日夜の反騰時に50ポイントを超えたもののその後の失速で40ポイントを割り込んでいる。55ポイント超えからは上昇再開とするが、40ポイント以下での推移が続く場合は下向きとして20ポイント前後をもう一度試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.17円を下値支持線、7.25円を上値抵抗線とする。
(2)7.25円を下回るうちは一段安警戒とし、7.17円割れからは7.10円台前半(7.15円から7.10円)への下落を想定する。7.13円以下は反騰注意とするが、7.17円を割り込んだ後も7.20円以下での推移なら12月6日も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)7.25円超えからは7.30円試しとするが、7.30円手前は戻り売りにつかまりやすいところとみてその後に7.23円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

12月5日
 16:00 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 3.54%、予想 3.0%)
 16:00 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 85.51%、予想 84.65%)
 16:00 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 7.83%)
 16:00 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 157.69%)
12月7日
 23:30 11月 財務省現金残高 前月比 (10月 -722億リラ)
12月8日
 20:30 週次 外貨準備高 12/2時点 グロス (11/25時点 797.7億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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