トルコリラ週報:『年初来安値を更新し約1年ぶり安値圏へ急落。続落リスクに要警戒』(12/3朝)

トルコリラの対円相場は、今週末にかけて、約1年ぶり安値となる7.17円(年初来安値を更新。昨年12/20以来の安値圏)まで急落しました。

トルコリラ週報:『年初来安値を更新し約1年ぶり安値圏へ急落。続落リスクに要警戒』(12/3朝)

『年初来安値を更新し約1年ぶり安値圏へ急落。続落リスクに要警戒』

〇今週のトルコ円、市場のリスク選好回復、トルコの貿易赤字縮小等に週央にかけ7.51まで上昇
〇その後はトルコ指標の不冴え、対主要通貨での円買いに、一時年初来安値7.17まで急落
〇トルコ円、主要サポートポイントを軒並み下抜け、複数の売りシグナルも点灯、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ経済の先行き不透明感はじめ続落を連想させる材料増える
〇トルコリラ売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.00ー7.40

今週のレビュー(11/28−12/2)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.48円で寄り付いた後、(1)中国政府による厳格新型コロナ規制の緩和期待や、(2)上記1を背景とした市場心理の急速な回復、(3)トルコ10月貿易収支(結果78.7億ドル赤字、予想80.0億ドル赤字、前回96.0億ドル赤字)の赤字幅縮小が支援材料となり、週央にかけて、週間高値7.51円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、(4)トルコ7ー9月期GDP(結果+3.9%、予想+4.0%、※前年比)の市場予想を下回る結果や、(5)トルコ11月製造業PMI(結果45.7、前回46.4)の冴えない結果(9ヵ月連続の50割れ)、(6)対主要通貨での円買い圧力(日米名目金利差縮小観測→円キャリートレード逆流懸念→ドル円急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、年初来安値7.17円(昨年12/20以来、約1年ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/3午前3時00分現在)では、7.22円前後で推移しております。

来週の見通し(12/5−12/9)

トルコリラの対円相場は、10/21に記録した約4ヵ月ぶり高値8.17円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約1年ぶり安値となる7.17円(年初来安値を更新。昨年12/20以来の安値圏)まで急落しました。この間、主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上限や雲下限)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」も成立しており、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感や、(2)トルコリラの実質金利急低下(エルドアン大統領はインフレを利下げで退治するという独自理論を展開→トルコ中銀はエルドアン大統領の圧力に屈し、中銀の独立性を失う形で、国内CPIが約24年ぶり高水準を更新し続けているにも係わらず4会合連続で大幅利下げを実施→トルコリラの実質金利急低下→構造的なリラ売り圧力)、(3)トルコ・欧米間の関係悪化懸念(エルドアン大統領とプーチン大統領の急接近に対する警戒感)、(4)トルコ中銀による通貨安抑制手段の乏しさ(トルコ政府・中銀は為替介入や資本規制でリラ売り圧力の封じ込めを図ってきたが、市場参加者はトルコ中銀によるリラ売り防止能力は殆ど残っていないと見なしているため年初来安値圏へ逆戻り)、(5)円キャリートレード逆流懸念など、トルコリラ円相場の続落を連想させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は週初12/5に予定されているトルコ11月消費者物価指数と同生産者物価指数に注目が集まります。市場予想を上回る場合には、トルコリラの実質金利低下を通じて、トルコリラにもう一段強い下押し圧力が加わる恐れがあるため、来週も今週同様、トルコリラのダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.00ー7.40

注:ポイント要約は編集部

『年初来安値を更新し約1年ぶり安値圏へ急落。続落リスクに要警戒』

トルコ円日足

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