ドルは目先買いにくい、続落に要注意
〇本日のドル円、ドル安が加速し137円割れまで下落、東京終盤にかけては136円割れをうかがう
〇ドルの続落に要注意、134円前半の移動平均の200日を意識した展開も
〇本日は10月PCEデフレーターや11月ISM製造業景況指数が発表される予定
〇ボウマンFRB理事やバーFRB副議長らの講演にも注目、パウエル発言に追随するものとなるか
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは135.00-136.80
<< 東京市場の動き >>
1日の東京市場はドルが弱含み。137円半ばの短期サポートを下回るなど、トータルで2円近くもドル安が進行していた。
ドル/円は138円レベルで寄り付いたのち、しばらくはドル強保ち合い。その過程のなかで日中高値の138.10-15円を示現している。しかし前日NYの流れもあり、値を崩すと途中でストップロスを巻き込みドル安が加速、一気に137円割れまで下落する局面も観測されていた。一旦下げ止まったのち、やや持ち直すもすでにドルの上値は重い。16時現在では136.35-40円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米ファンダメンタルズと金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、発表された7-9月期の米GDP統計改定値が予想を上回ったことを市場は好感。ドル買いで反応するも、そののち伝えられたパウエルFRB議長による講演内容で、「早ければ12月にも利上げペースを減速させる可能性」を示唆したことが嫌気され、流れが急反転している。週明け28日にはセントルイス連銀総裁が「インフレを抑えるには金利を引き上げる必要がある」、NY連銀総裁も「2023年も政策を維持」−−などと強気コメントを発しただけに、多くの市場筋にとっては冷や水を浴びせられた格好だ。なお、為替市場においてはドル売り要因となったパウエル発言だが、株式市場では逆に買い要因となっており、たとえばNYダウは終値ベースで700ドルを超える大幅高を記録している。
対して後者は、欧州委員会が、制裁措置に基づき凍結されたロシアの資金を運用して得た収益をウクライナ支援に充てる計画を発表したことが話題に。現在でも停電が続いている地域もあるなどウクライナのインフラ損傷は著しいが、欧州委の計画が順調に進めば、先々少しは明るい展望が開けることになりそうだ。その一方、ロシアサイドからは外務省報道官による「ロシア産石油の価格上限設定は反市場的措置」、「北欧2国のNATO加盟により緊張が著しく高まる可能性」との発言が聞かれるなど、まだまだ強気スタンスだった。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は昨日NY時間に137.50円の目先サポートを下回ったことに続き、本日東京ではさらに続落し、8月26日以来のドル安値136円台を示現している。昨日筆者は、「ドル下落第二波が始まったとの見方は早計だった気もしている」と少し日和ったコメントを発していたが、やはり第二波はすでにスタートしていたようだ。いずれにしても、ドルの続落には要注意。状況次第では134円前半の移動平均の200日を意識した展開も。
次回12月13-14日の米FOMCにおける0.75%利上げ観測はすでに後退していたが、前述したように昨日のパウエル発言は予想以上のハト派だった。これまで織り込まれ過ぎていた分の調整がさらに続く可能性も。発表される米経済指標の悪化や、要人発言で昨日に続く弱気コメントが発せられるようだと、さらなるドル安が進行しても不思議はなさそうだ。
テクニカルに見た場合、昨日NY時間に大きく値を崩したドル/円は本日東京で続落。終盤にかけては136円割れをうかがう様相を呈している。ちなみに、136円を割り込んだ場合には、安値130.40円を起点にした上げ幅のフィボナッチ76.4%戻しにあたる135円半ばが下値メドか。それも割り込むと、少し遠いが134.20円レベルの移動平均の200日が意識される。
本日は米経済指標として、10月のPCEデフレーターや11月のISM製造業景況指数が発表される予定となっているほか、ボウマンFRB理事やバーFRB副議長らの講演もされている。前者もさることながら、後者は昨日のパウエル発言に追随するものとなるのか否かが注視されている。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは135.00-136.80円。ドル高・円安方向は東京で割り込んだのちほぼ回復できていない137円レベルがなかなか強い抵抗。また、その手前136円半ばも抵抗となりつつある。
対するドル安・円高方向は、136円レベルをめぐる攻防がまずは注目され、下回ると前述したフィボナッチポイントの135円半ばが意識されそうだ。それも下回ると明確なサポートはしばらくないのだが、それでも135円前後では一旦下げ止まるか。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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