米FRB地区連銀経済報告(ベージュブック)
昨日(11月30日)、FRBからベージュブックが公表されました。以下はその内容となっています。地区連銀は12地区で構成されており、報告内容期間は2022年11月23日以前までとなっています。経済活動は全般的に緩やかな伸びに留まっており、物価上昇は続いているが、将来のインフレは緩やかになるとみています。
全般的な経済活動
経済活動は前回報告以降、概ね横這いか、僅かに上昇した。前回のベージュブック期間の平均的成長よりはダウンした。5つの地区は活動が僅か乃至緩やかに伸びたと報告し、その他は変化なしか僅かに下がったとした。金利やインフレは引き続き経済活動に重石となり、多くの聞き取りではより不確実性が高まったと表現し、先行き見通しに関しては悲観論が増えた。自動車除く消費はまちまちで、全般的には僅かに増加した。インフレは低所得〜中所得の消費者に対し、より低価格の商品へ向かわせた。対照的に、旅行や観光業への聞き取りでは、レストランや高級接待施設が旺盛な需要を享受したことで、その活動が緩やかに伸びたと報告している。
自動車販売は平均的に僅かに減少した。しかし、販売は在庫の増加に呼応し、2・3の地区で著しく増加した。製造業活動は地区間でまちまちだった。しかし平均的には僅かに増加した。非金融サービスへの需要は全般的に横這いだが、平均では僅かに伸びた。更なる金利の上昇により住宅販売が落ち込んだ。住宅販売は全般的に緩やかなペースで減少したが、一部地域では急激に下落した。同様にアパート賃貸が減少し始めた。居住用住宅建設は緩やかなペースで更に減少し、一方、非居住用住宅建設はまちまちだが、平均的には緩やかに減少した。商業用賃貸は幾分弱くなった。オフィスの空室率は上昇した。銀行貸出は、需要の弱さが増し、信用基準の引き締めにより更に小幅減少した。農業条件は横這いかやや上昇した。エネルギー部門の活動は全般的に緩やかに増加した。
労働市場
雇用は大多数の地区で緩やかに伸びた。しかし、2地区では人員が横這いとなり、労働需要が全般的に弱まったと報告した。労働市場は依然としてタイトであると説明されているものの、雇用や定着率の困難さは更に緩和された。散発的な一時解雇が、テクノロジー、金融、あるいは不動産セクターで報告された。しかしながら、幾つかの聞き取りでは、たとえ労働のニーズが減少しても、雇用困難の観点から、労働者解雇には躊躇していると述べている。賃金は、平均的に緩やかなペースで増加した。しかし、2・3の地区では賃金上昇圧力が幾分緩和された。先行き見通しに関する意見として、雇用の伸びが安定するか幾分減速することを指摘しているが、少なくとも緩やかな賃金の伸びがあると指摘している。
物価
消費者価格は大多数の地区で、緩やか乃至強いペースで上昇した。価格上昇のペースは全般的に鈍化した。これはサプライチェーンの改善と需要低下が合わさったことが反映している。消費者が割引を求めることが増えるに連れ、小売価格は下方圧力に直面している。木材や鉄鋼含め、幾つかの商品で価格が下落した。しかし食品価格は、幾つかの地区で更に上昇したか、高止まりとなった。住宅賃料の伸びは幾つかの地区で緩やかになり始め、住宅価格は、需要が弱い中、急速な伸びを失ったか完全に下落した。インフレはこの先、安定的か更に緩やかになると予想されている。
(各地区のハイライトは略)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(上記出所:FRB HP)
相場はベージュブック公表30分前に始まったパウエルFRB議長の講演で、「利上げペースを落とす時期は早ければ12月の会合になる可能性がある」と述べたことから、139円40銭付近で推移してドル円が137円65銭まで下落し、138円07銭で引けています。ベージュブックの内容も金利低下に繋がった模様です。市場はFFレート上限に限界が出てきたとの見方ですが、やはり14日のFOMCでドットプロットの結果が重要になりそうです。
(2022年12月1日14:10、1ドル=136円66銭)
オーダー/ポジション状況
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