米FRB議長講演をきっかけとした円高で10月21日以降の安値を更新
〇30日深夜にかけてのドル円上昇にあわせ、トルコリラ円も7.51まで戻す
〇その後ドル全面安へ風向き変わり、トルコリラ円も12/1早朝に7.39まで急落
〇1日午前序盤に7.35割れへ続落、11/28安値7.38を割り込み10/21高値以降の安値を更新
〇対ドルでは持ち合いから一旦リラ高となるもリラの先安感変わらず戻り売りで18.63台へ押し返される
〇30日発表の7-9月期GDPは前期比0.1%減で4-6月期から悪化、2020年4-6月期以来のマイナスに転落
〇7.40を下回っての推移なら12/2の日中も安値試しを続けやすい
〇7.40超えからは7.43手前を試すとみるが、7.40台序盤は戻り売りにつかまりやすい
【概況】
トルコリラ円の11月30日は7.51円から7.39円の取引レンジ、1日早朝の終値は7.41円で前日終値の7.44円から0.03円の円高リラ安だった。
11月30日夜の米GDP改定値が上方修正されたことをきっかけに30日深夜にかけてドル円が140円に迫る上昇となりトルコリラ円も円安を背景に7.51円まで戻したが、パウエル米FRB議長講演が市場の警戒していたタカ派的なものではなく12月FOMCでの利上げペース減速の可能性を濃厚としたためにドル全面安へと風向きが変わってドル円が137円台へ急落となり、トルコリラ円も12月1日早朝には7.39円まで急落した。
12月1日午前序盤にドル円は136円台まで続落して11月28日安値137.48円を割り込み10月21日高値151.94円以降の最安値を更新したため、トルコリラ円も1日午前序盤に7.35円割れへ続落して11月28日安値7.38円を割り込んで10月21日高値8.17円以降の安値を更新している。
【FRB議長講演からのドル安でトルコリラも対ドルで戻す】
ドル/トルコリラの11月30日は18.66リラから18.58リラの取引レンジ、12月1日早朝の終値は18.59リラで前日終値の18.64リラからは0.05リラのドル安リラ高だった。
11月30日夕刻発表のトルコ7-9月期GDPは予想通りに前期から大幅減速したものの予想に近い数字だったために市場の反応は限定的だった。30日夜の米GDP改定値が上方修正されたことで深夜にかけては全般にドル高となり1日未明のパウエル米FRB議長講演がハト派的内容だったとしてドル全面安へと流れが変わったが、対ドルでのトルコリラは日中の1ドル18.64リラを中心とした持ち合い状況からいったん18.58リラへドル安リラ高となったものの、リラの先安感は変わらずとして戻り売りにつかまり18.63リラ台へ押し返された。 12月1日午前序盤は再び全般のドル安により18.59リラ近辺を試している。
【トルコの7-9月期GDPは大幅減速】
11月30日夕刻に発表されたトルコの7-9月期GDPは前期比0.1%減となり4-6月期の1.9%増から悪化、2020年4-6月期以来のマイナスに転落した。前年同期比は3.9%増で4-6月期の7.7%増から大幅に減速して市場予想の4.0%を若干下回った。
パンデミック後の景気回復により2021年4-6月期には前年同期比22.2%増と急回復し、その後も7%台後半から9%台までの高水準を維持してきた。しかし主要国の金融引き締めによる景気減速やウクライナ戦争とロシア制裁の長期化による欧州景気の鈍化、中国の感染拡大による規制強化が収まらないこと等を背景に世界全体の需要の伸びが鈍化したためにトルコの輸出も伸びきれずに年後半の成長率は鈍化するであろうと予想されていた。
今回の7-9月期GDP前年同期比に対する市場予想中心値は4.0%増で予想レンジは3.0%から4.8%だったため、予想中心値をわずかに下回ったものの想定の範囲内として為替市場の反応は限定的だった。しかし9-12月期も成長鈍化が懸念されており、世界全般の景気低迷感が強まるようだとリラ安を推進力としたトルコの輸出と製造業の停滞、インフレの高止まりによる消費低迷等から2四半期連続の悪化となるなら、来年の大統領選挙再選を狙うエルドアン大統領には逆風となることも懸念される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月29日夜の下落で11月28日夕安値割れを回避して戻していたため、11月28日夕安値を頭、24日夜と29日夜の両安値を両肩とする逆三尊型の底打ちとなる可能性があるとして11月29日午前高値7.47円超えからは強気サイクル入りとした。
11月30日深夜への上昇で7.51円へ急伸したもののその後の急落で29日夜安値及び28日夕安値を割り込んだため、29日夜安値を直近のサイクルボトムとしていったん強気サイクル入りしてから弱気サイクルに転じた状況と思われる。ボトム形成期は12月2日夜から6日夜にかけての間と想定し、7.43円を超える反騰で切り返せないうちは一段安警戒を優先する。
60分足の一目均衡表では11月30日深夜からの急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻りを試すとみるが、先行スパンからの転落中は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。強気転換は両スパンそろっての好転が必要と思われる。
60分足の相対力指数は11月30日深夜への上昇で70ポイント台に到達したところから12月1日午前に30ポイントまで急低下している。乱高下の可能性もあるものの50ポイントを下回るうちは20ポイント割れを試す可能性があるとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.30円を下値支持線、7.40円を上値抵抗線とする。
(2)7.40円を下回るうちは一段安警戒として7.30円台序盤(7.32円から7.30円)を試す下落を想定する。7.32円以下は反騰注意とするが、7.40円を下回っての推移なら12月2日の日中も安値試しを続けやすいとみる。、また円高が進む場合は7.20円台後半(7.29円から7.25円)への下落も警戒される。
(3)7.40円超えからは7.43円手前を試すとみるが、7.40円台序盤は戻り売りにつかまりやすいところとみてその後に7.38円を割り込むところからは下げ再開とみる。
【当面の主な予定】
12月1日
16:00 11月 イスタンブール製造業PMI (10月 46.4)
20:30 週次 外貨準備高 11/25時点 グロス (11/18時点 800.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/25時点 ネット (11/18時点 187.5億ドル)
12月5日
16:00 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 3.54%)
16:00 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 85.51%)
16:00 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 7.83%)
16:00 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 157.69%)
注:ポイント要約は編集部
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