トルコリラ円見通し 11月28日夕刻への一段安から切り返すも戻り高値は切り下がり
〇トルコリラ円、11/28夕刻ドル円下落局面に7.38へ下落、その後11/29未明7.46まで反発
〇対ドル、11/28は18.64から18.55の取引レンジ
〇10月以降18.50前後〜18.60台の持合相場だが日々の平均値は下落、史上最安値更新への懸念継続
〇11/30発表のトルコGDPに注目、前年同期比に対する市場の事前予想は大幅低下
〇7.42を上回るうちは上昇余地ありとし、7.48超えからは7.50前後を目指す上昇を想定する
〇7.42割れからは下げ再開と仮定して、7.40前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の11月28日は7.50円から7.38円の取引レンジ、29日早朝の終値は7.45円で先週末終値7.48円からは0.03円の円高リラ安だった。
11月28日夕刻にドル円が137.48円へ下落して11月15日の米PPI発表直後につけた安値137.67円を割り込み10月21日高値151.94円以降の最安値を更新した局面でトルコリラ円は7.38円の安値をつけて11月24日安値7.41円及び11月15日安値7.40円を割り込んだが、その後にドル円が139円到達まで切り返したためトルコリラ円も29日未明には7.46円まで反発した。
11月28日夜にかけてはユーロドルが急伸するなどドル安となったものの、29日早朝にかけてはユーロドルが一転して急落してドル高のぶり返しとなった。米FRB高官によるタカ派発言や中国感染拡大によるリスク回避感が交錯する展開で、週末の米雇用統計へ向けて神経質な展開となっているところだが、豪ドル米ドルの下落やNYダウが一時500ドルを超える下落となるなど中国リスクを意識した動きが目立った。
【対ドルは最安値近辺での持ち合い続くが徐々に平均値は切り下がる】
ドル/トルコリラの11月28日は18.64リラから18.55リラの取引レンジ、29日早朝の終値は18.62リラで先週末終値の18.59リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
11月28日はトルコ独自材料に欠けて全般の流れを見ながらの展開だったが、夜にかけてはドル安気配だったものの29日早朝にかけてはドル高へと風向きが変わりユーロやポンド、豪ドル等が失速した。中国の感染拡大による先行き不透明感からリスク回避的な動きがみられるが、特に中国への輸出依存度も高い豪ドル米ドルの下落が目立っている。米FRBによる超ハイペースでの利上げが減速するとしても利上げは継続し、主要国の金融引き締めが続く中で景気への悪影響が懸念されているところに世界の工場であり胃袋でもある中国の感染拡大と規制緩和の遅れは対中国依存度の高い通貨への影響も大きくなる。
トルコにとっては中国のサプライチェーン混乱から欧州諸国等が生産拠点をトルコなどに移管する動きが昨年来見られており、トルコの輸出産業にとっては通貨安による低生産コストを再認識されて中国からの代替需要拡大も期待される側面もあるが、それよりも世界全体での需要低下による悪影響が勝ると思われる。
10月以降、18.50リラ前後では売られて18.60リラ台の安値試しを繰り返す持ち合い相場が続いているが、徐々に日々の平均値が下落しており、史上最安値更新へ向かう懸念は続いている。
【11月30日のトルコGDPに注目】
11月30日16時にトルコの7-9月期GDPの発表がある。4-6月期の前期比は2.1%増、前年同期比は7.6%増と堅調な数字だったが、前年同期比に対する市場の事前予想は4.0%増への大幅低下となっている。予想レンジは3.0%増から4.8%増であり、伸び率の半減という見方が濃厚となっている。また2022年通年では5.0%増と見込まれて2021年の11.4%から大幅に減速する予想されている。
前年同期比は1-3月に7.5%増、4-6月期に7.6%増と高成長を続けたのはパンデミックからの世界的な景気回復による需要増加に対してトルコの内需回復に加えて輸出が伸びたことが背景だったが、主要国が高インフレ対策で利上げと金融引き締めに走ったことにより景気回復の流れは鈍化している。
トルコの鉱工業生産前年同期比は7月が2.5%増、8月が1.1%増、9月が0.4%増と低調で1-3月期や4-6月期から大幅に減速している。製造業の景況感は今年4月から低迷が続いており、特に7月から9月にかけての悪化が目立った。小売売上高の前年比は7月が2.4%増、8月が9.3%増、9月が9.7%増と高インフレを反映して一見高いが、4月に15.2%増、5月に20.7%増と伸びた後は大きく減速している。輸出も4月をピークに頭打ちの様相だ。
高インフレでも利下げを強行し、それでも予想以上に経済成長を実現すればエルドアン政権の手柄となるが、世界景気全般の鈍化による影響だとしても年後半の成長鈍化が顕著になれば政策手腕を疑われることにもなりかねない。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月24日夜へ一段安してから反騰入りしたために25日午前時点では24日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして25日午前から29日午前にかけの間への上昇を想定した。
11月28日午前序盤へ戻り高値を切り上げたもののその後の下落で24日夜安値を割り込んだため、28日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。28日夜から反騰したものの28日午前高値に届いていないため、28日午前高値を超えないうちは11月29日夜から12月1日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月28日夜からの反騰では遅行スパンが好転できず、先行スパンの下限が戻りを抑えている。先行スパンを上抜き返す場合は上昇継続として遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返せないか一時的に超えても再び悪化する場合は下落再開の可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11月28日夜に30ポイントを割り込んだところから60ポイント手前へ戻しているので、45ポイント以上での推移中は60ポイント台への上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを試す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.42円を下値支持線、7.48円を上値抵抗線とする。
(2)7.42円を上回るうちは上昇余地ありとし、7.48円超えからは7.50円前後を目指す上昇を想定する。7.50円前後は反落警戒とするが、7.45円を上回っての推移なら30日も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)7.42円割れからは下げ再開と仮定して7.40円前後への下落を想定する。7.40円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が速まる場合は7.38円前後へ下値目途を引き下げ、7.42円以下での推移なら30日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月29日
16:00 10月 貿易収支 (9月 -96.0億ドル)
16:00 11月 経済信頼感指数 (10月 971)
11月30日
16:00 7-9月 GDP 前期比 (4-6月 2.1%)
16:00 7-9月 GDP 前年同期比 (4-6月 7.6%、予想 4.0%)
12月1日
16:00 11月 イスタンブール製造業PMI (10月 46.4)
20:30 週次 外貨準備高 11/25時点 グロス (11/18時点 800.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/25時点 ネット (11/18時点 187.5億ドル)
12月5日
16:00 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 3.54%)
16:00 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 85.51%)
16:00 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 7.83%)
16:00 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 157.69%)
注:ポイント要約は編集部
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