欧州中央銀行(ECB)政策金利発表(22/10/26)

明日ECB金融政策会合の議事内容が記者発表されます。その後はラガルド総裁の定例記者会見が予定されています。

欧州中央銀行(ECB)政策金利発表(22/10/26)

欧州中央銀行(ECB)政策金利発表

(2022年10月27日木曜日:東京時間21時15分、ラガルド総裁記者会見は21時45分)

明日ECB金融政策会合の議事内容が記者発表されます。その後はラガルド総裁の定例記者会見が予定されています。
今回のECB会合でも前回に続き0.75%の大幅利上げが予想されています。予想レンジでは0.25〜1.0%の上げ幅がありますので、今回の会合でインフレ抑制か景気配慮かのどちらに主眼が置かれているのかの確認になりそうです。

(1) 欧州中央銀行政策金利予想(10月26日12時00分現在)

(1) 欧州中央銀行政策金利予想(10月26日12時00分現在)

今回の注目点は
@ 最近のECB関係者発言(下記(3)をご参照願います)によれば、今回利上げ自体は既定路線ですが、上げ幅では0.75%の利上げを主張している委員がいますが、具体的数値の発言は前回ほど多くはありません。また1%上げはやり過ぎと見ている委員もいます。
A 9月のHICPが10.0%(予想9.7%、8月9.1%)、同HICPコアが4.8%(予想4.7%、8月4.3%)と、域内のインフレが一段と高まっていますので、ECB内の受け止め方を見ます。
B 欧州圏で経済成長鈍化のリスクは米国以上となっていますが、下記(3)にもあるように、景気悪化懸念による利上げを阻害してはならないと述べている委員がおり、インフレ沈静化が先行する見込みになっています。
C 但し一部ではリセッション懸念に配慮し、今回の利上げ幅を0.50%以下に抑えるべきとの予想もあります。
D また、ECBの記者発表要旨内(4)でPEPP再投資を継続していますが、(3)内で各委員が、量的緩和縮小に向けた議論を開始するとの発言が多く、その開始時期に関する内容が出るとしています。実際の量的引き締め開始時期は2024年以降になると予想しています。

(2)ECBの政策金利予想

9月末公表のユーロ圏9月消費者物価指数HICPが全体で10.0%、コア4.8%と非常に高い数値となったことから、先々は一段の上げ幅拡大予想になっています。ご参考まで、9月時点のECBスタッフの予想ではHICPコアが2022年3.9%、2023年3.4%、2024年2.3%になっており、9月のHICPコア4.8%はまだ非常に高いインフレであることが解ります。これを踏まえ、先々の政策金利予想は9月時点よりも約1%の利上げ幅拡大見通しになっています。
もし今回0.75%の利上げになると、下記予想中央値では残り0.5%上げに留まるとの見方になりますので、現状では米国との金利差は拡大見込みになります。

(1) 欧州中央銀行政策金利予想(10月26日12時00分現在)
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ECB政策金利予想

(3)最近のECB関係者の発言

10月19日 独財務相 「ECBの政策に背くことを政府がすべきではない」「金融政策と財政政策はお互いに補完すべき」
10月17日 ECB副総裁「欧州圏がテクニカルリセッションに陥ることは除外できない」「欧州圏のインフレ緩和は2023年に入ってから」
10月15日 独連銀総裁 「ECBは2023年にバランスシートを縮小するだろう」「中立金利に関しては考えていない」「金利を制限的な水準まで迅速に引き上げる必要がある」
10月14日 ポルトガル中銀総裁 「来年、量的引き締めについて議論する必要がある」
10月14日 スロベニア中銀総裁 「10月・12月会合で各0.75%の利上げは適切」
10月14日 ECB副総裁 「ターミナルレートの水準を決定するのは非常に困難」「インフレ率を2%目標に戻すためには必要なことを何でも行う」   

10月13日 ベルギー中銀総裁 「金利が3%を越えても驚かない」
10月13日 オーストリア中銀総裁「1%利上げは必要な規模を超えている」
10月12日 オランダ中銀総裁 「中立な状態になるまで、あと数回の利上げが必要」
10月12日 ECB総裁「量的引き締めに関する議論を開始、継続する」「ECBは現在政策を正常化している」
10月12日 仏中銀総裁「リセッション懸念が金融正常化を阻害してはならない」

(4)ECB金融政策議事要旨の一部(9月8日公表分)

(注)下記はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

(1) 欧州中央銀行政策金利予想(10月26日12時00分現在)
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下図はユーロドルの週足チャートです。今週初のPMI指数時に添付した日足チャートでは最初の抵抗線が0.9960にあり、昨日はほぼそこに止まり、15時現在までも0.9950〜70辺りで推移しています。
週足チャートも同じ様な形をしており、昨年6月初旬週の高値からの抵抗線A(=1.0690)があります。今年2月7日週高値からの抵抗線B(=1.0000)でユーロ下落が急になっています。ここから平行に下したC(=0.9370)で、ユーロ安トレンドラインを形成しています。このトレンド内で9月26日週底値からのサポートD(=0.9700)があり、現在はECBを控えたポジション調整で、B・D内のユーロ上限を試す動きになっています。もしDを割れば、ユーロ安トレンド再開になり、逆にもしBを越えて週末が終わった場合には横抵抗線としてE(=1.0100)とF(=1.0380)が上値目安として広がります。
今週は明日のECB金融会合を皮切りに、その15分後には米国3Q・GDP速報値、28日には仏・独のCPI、仏・独の3Q・GDP速報値、欧州圏10月経済信頼感指数等の発表が相次いでいますので、結果次第でBとDの収斂がブレークする可能性が高いと思われます。

(1) 欧州中央銀行政策金利予想(10月26日12時00分現在)
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(2022年10月26日15:00、1ユーロ=0.9965ドル)

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