トルコリラ週報:『対円相場は急落。トルコ中銀の利下げと円買い介入観測が重石』(10/22朝)

週末にかけて、6/30以来、約4ヵ月ぶり高値となる8.16円まで急伸しましたが、本稿執筆時点では7.95円前後まで押し下げられる荒々しい値動きが続いております。

トルコリラ週報:『対円相場は急落。トルコ中銀の利下げと円買い介入観測が重石』(10/22朝)

『対円相場は急落。トルコ中銀の利下げと円買い介入観測が重石』

〇今週のトルコ円、トルコ中銀のリラ化戦略、円独歩安に週末にかけ8.16まで急伸
〇週末終盤は、前日トルコ中銀の予想以上の利下げ実施やドル円急落に一時7.86まで急反落
〇テクニカルにはローソク足が200日移動平均線や一目均衡表転換線を再び下抜け、地合い悪化
〇ファンダメンタルズもリラの実質金利急低下、トルコ・欧米間の関係悪化懸念が重石に
〇トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.75ー8.15

今週のレビュー(10/17−10/21)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.00円で寄り付いた後、@トルコ中銀による「リラ化戦略(liraization strategy)」の拡大発表(トルコ中銀はリラ相場の安定化を目的に、民間部門に対して外貨からリラ建て預金への転換を促す措置を発表。外貨預金に義務付ける証券保全比率を3%から5%に引き上げると共に、来年以降は、リラ建て預金比率が全預金の50%未満の銀行に対して、追加で7%の証券保有を義務付ける措置を発表)や、A対主要通貨での円独歩安の流れ(ドル円相場が心理的節目150.00を突破し約32年ぶり高値となる151.95まで急上昇→トルコリラ円連れ高)、Bトルコ株の堅調推移、Cテクニカル的な地合いの強さ(200日移動平均線突破に伴う仕掛け的なトルコリラ円買い)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値8.16円まで急伸しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、Dトルコ中銀が前日の会合で市場予想(100bp)を上回る150bpの大幅利下げに踏み切ったことや、E政府・日銀による円買い介入観測(ドル円が151.95から146.23へ急落)が重石となり、週末海外時間に、週間安値7.86円まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/22午前3時40分現在)では、7.94円前後で推移しております。

来週の見通し(10/24−10/28)

トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、8/2に記録した直近安値7.24円をボトムに反発に転じると、週末にかけて、6/30以来、約4ヵ月ぶり高値となる8.16円まで急伸しましたが、本稿執筆時点では7.95円前後まで押し下げられる荒々しい値動きが続いております。ローソク足が200日移動平均線や一目均衡表転換線を再び下抜けしたこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いの悪化が警戒されます。ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による追加利下げを織り込む動き(トルコ中銀は国内物価が歴史的高水準を記録しているにも係わらず3会合連続で利下げを実施し→エルドアン大統領は9/28に「政策金利が年末までに1桁台に低下することを望む」と発言しており、次回会合での100ー150bpの追加利下げが確実視される展開)や、A上記@を背景としたトルコリラの実質金利急低下(インフレ昂進と政策金利引き下げの組み合わせ)、

Bトルコ・欧米間の関係悪化懸念(エルドアン大統領とプーチン大統領の急接近に対して欧米諸国が警戒)、C米FRBによるタカ派姿勢の継続(トルコから米国への資本流出圧力)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。トルコ中銀は民間部門に対する「外貨」から「リラ建て預金」への転換を促す資本規制を通じて「リラ相場の安定化」を図っていますが、ファンダメンタルズに沿わない強引な資本規制は長期化が難しく、一巡後のリラ売り再開(副作用を伴う反動)が警戒されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(ドル円が高値圏から急落に転じたこともトルコリラ円相場の重石)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.75ー8.15

注:ポイント要約は編集部

『対円相場は急落。トルコ中銀の利下げと円買い介入観測が重石』

トルコ円日足

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