トルコリラ円見通し 円安による押し上げ続き終値ベースで8円台を維持(22/10/18)

トルコリラ円の10月17日は8.02円から7.98円の取引レンジ、18日早朝の終値は8.01円で先週末終値の8.00円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 円安による押し上げ続き終値ベースで8円台を維持(22/10/18)

トルコリラ円見通し 円安による押し上げ続き終値ベースで8円台を維持

〇トルコリラ円、ドル円の上昇基調に合わせ10/17は8.02へ上昇、終値ベースも2日続けて8円台を維持
〇10/5から二段目の上昇期、上値抵抗とすべき高値は6/27の8.37まで切り上がっている印象
〇対ドル、10/17は18.60から18.55の取引レンジ、史上最安値近辺での持ち合い続ける
〇市場の関心は、10/20のトルコ中銀MPCにおける利下げがどの程度になるかという点に向く
〇トルコの9月財政収支は赤字、昨年末から赤字と黒字の上下変動が激しい状況続く
〇8.00以上での推移中は上昇余地ありとし、8.04超えからは8.07を目指す上昇を想定する
〇7.98割れから、7.95前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の10月17日は8.02円から7.98円の取引レンジ、18日早朝の終値は8.01円で先週末終値の8.00円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル高リラ安基調は変わらず、対ドルでのトルコリラは史上最安値に近いところで揉み合いとなっているが、トルコリラ円はドル円の上昇基調に合わせて10月5日以降の高値を切り上げており、10月17日も8.02円へ高値を切り上げ、終値ベースでも2日続けて8円台を維持した。
9月7日につけた7.95円を既に超えて8月2日安値7.27円以降の高値を更新しており、8月2日から9月7日までを上昇の一段目とすれば、10月5日からは二段目の上昇期であり、日足チャート上の上値抵抗とすべき高値は6月27日の8.37円まで切り上がってきている印象だ。10月18日午前も続伸気配で8.04円まで高値を切り上げている。
ただし、日銀の市場介入への警戒感も続いており、149円台に到達したことで大規模介入もあり得るところとし、9月22日の市場介入時のようなドル円の急落に同調したトルコリラ円の急落がいつ発生しても不思議ない緊張感を持ちたいところだ。

【対ドルでは下落一服するも最安値圏での揉み合い続く】

ドル/トルコリラの10月17日は18.60リラから18.55リラの取引レンジ、18日早朝の終値は18.56リラで先週末終値と変わらずだった。
10月17日夜にかけては英政府による大規模減税政策の全面撤回による英長期債利回り低下に連れた米長期債利回り低下と欧米株高でリスク選好感が強まりポンドやユーロが上昇するなどドルストレートではドル安となったものの、深夜以降は米長期債利回りが再上昇したことでドル高感がややぶり返した。ただトルコリラへの影響は鈍く、10月に入ってからの18.50リラ前後から18.60リラ台までのレンジ相場で史上最安値近辺での持ち合いを続けており、17日もその範囲内での推移にとどまった。
市場の関心は10月20日のトルコ中銀MPC(金融政策委員会)における利下げがどの程度になるのかという点に向いており、それまでは18.50リラ台から18.60リラ台までのレンジ内で推移するところと思われる。

【トルコの財政収支、激しい変動が続く】

トルコの9月財政収支は786.3億リラの赤字となった。8月は35.9億リラの若干の黒字だったが今年に入ってからは1月、2月、5月が黒字だったものの3月、4月、6月、7月、9月と赤字となっている。

トルコリラ円見通し 円安による押し上げ続き終値ベースで8円台を維持

特に注目されるのは、昨年末から赤字と黒字の上下変動がそれまでの水準を大きく上回っており、異常な変動という印象が強まっていることだ。2021年12月には1457.4億リラの過去最大赤字となり、2022年5月には1439.8億リラで過去最大黒字となっているが、2017年以降は徐々に上下の振幅が拡大しており、果たして財政収支の安定が得られるのか不安を強める動きだ。
エルドアン政権は利下げによる融資の活性化で生産力を上げ、輸出の拡大と海外観光客収入の拡大により経常収支の改善を目指しているが、貿易収支と経常収支の悪化からは抜け出せず、財政収支についても極めて乱調な展開を余儀なくされるリスキーな状況にあるのではないかと懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月5日午前安値を起点とした上昇が継続しているが、10月13日夜に下落したところから一段高したために10月14日午前時点では10月13日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして次の高値形成期を10月18日早朝から20日朝にかけての間と想定した。
10月18日午前へ高値を切り上げているので引き続きサイクルトップ形成中とするが、円安に依存した上昇であり日銀介入への警戒感もあるところのため、8.00円割れを弱気転換注意とし、7.98円割れからは弱気サイクル入りと仮定して18日夜から20日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月13日夜からの反騰継続により遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからはその下限を試す流れとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月12日夜から15日未明へ一段高した際に指数のピークが切り下がったが、18日午前への一段高に際しても指数のピークが切り下がる弱気逆行のためにいったん下げやすいところと注意する。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも60ポイント台へ切り返すうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.00円を下値支持線、8.04円を上値抵抗線とする。
(2)8.00円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、8.04円超えからは8.07円を目指す上昇を想定する。8.07円以上は反落注意とするが、8.00円以上での推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.98円割れから7.95円前後への下落を想定する。7.95円前後では買われやすいとみるが、7.98円以下での推移が続く場合は19日も安値試しへ向かう可能性があるとみる。また日銀市場介入などでドル円が急落する場合は7.90円台前半(7.90円から7.93円)へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

10月20日
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 12.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 10/10時点 グロス (前週 732.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10/10時点 ネット (前週 124.4億ドル)
 23:30 9月 中央政府債務 (8月 365.1億リラ)
10月21日
 16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 72.4)
10月25日
 16:00 10月 製造業景況感指数 (9月 99.9)
 16:00 10月 設備稼働率 (9月 77.4%)



注:ポイント要約は編集部

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