ドル円見通し 149円到達、介入警戒しつつ高値試し続く(22/10/18)

ドル円は10月18日早朝に149.09円をつけて32年ぶり149円台に到達した。

ドル円見通し 149円到達、介入警戒しつつ高値試し続く(22/10/18)

ドル円見通し 149円到達、介入警戒しつつ高値試し続く

〇ドル円、10/18早朝に149.09をつけ、32年ぶり149円台に到達
〇10/17日中は148円台後半で揉み合い、夜にかけドル高緩むも深夜からドル高がぶり返し気味になる
〇149円到達でも介入等新たな動きは見られないため、政府・日銀の防衛ラインは150円を試すところか
〇中国、本日予定していた7-9月期GDPの発表延期、悪い数字だった可能性も懸念される
〇米株価は上昇、米長期債利回りは高止まり、日米金融政策の差を踏まえた円安継続感変わらず
〇148.50以上での推移中は上昇余地ありとし、149.20超えからは149円台中盤を目指すとみる
〇148.20割れからはいったん下げに入るとみて、147円台後半への下落を想定する

【概況】

ドル円は10月18日早朝に149.09円をつけて32年ぶり149円台に到達した。先週末に148.86円まで高値を伸ばしたところで149円乗せへの躊躇から17日の日中は148円台後半での揉み合いとなり、夜にかけてはユーロやポンドの反騰でドル高が緩んだために上値が抑えられたが、深夜からドル高がややぶり返し気味になると149円台に到達した。

10月12日に146円台へ乗せて9月22日に日銀が24年ぶりとなる単独円買い介入を実施する前の高値145.89円を上抜き、10月13日の米CPI発表直後の乱高下で147.67円へ上昇し、一時的に1円を超える急落が発生したために市場介入のうわさが流れたものの影響は限定的なものに留まり、14日夜には148円台へと水準を切り上げてきた。
10月13日の市場介入に対するうわさについては財務相などのコメントはなく、1兆円規模の覆面介入だった可能性が取り沙汰されているが、9月22日の介入規模が3兆円近かったことを踏まえれば小規模なものであり、その程度の覆面介入等では現状の円安基調を止められないと思われる。149円到達でも新たな動きは見られないため、政府・日銀の防衛ラインは150円を試すところではないかと推察する。

【中国の景気減速懸念】

中国国家統計局は10月18日に予定していた7-9月期GDPの発表を延期した。今週に発表が予定されていた主要経済指標の発表も延期されたが、10月14日に中国税関から発表予定だった9月貿易統計も延期されたままとなっている。
中国は10月16日から5年に1度の中国共産党大会があり、この大会前の経済指標発表による影響を排除したいとの思惑が見られるが、現政権にとって好都合な強い経済指標なら積極的に公表して成果をアピールするところであり、かなり悪い数字だった可能性も懸念される。
中国では主要都市での感染再拡大と規制強化の動きもあるが、ゼロコロナ政策への固執による景気減速感はぬぐえず、4-6月期GDPが前年同期比0.4%増にとどまったことに続いて7-9月期も低迷した数字になるのではないかと思われる。因みに7-9月期GDPについて先週末時点での市場予想は前期比が3.4%増(4-6月期は2.6%減)、前年同期比が3.5%(同0.4%)となっており、4-6月期からは改善する見通しだったが、これら市場予想を下回っている可能性が高そうだ。

10月17日のNYダウは企業好決算や値頃感からの買いで前日比550.99ドル高、ナスダック総合指数も同354.41ポイント高と上昇したが、米国の大幅利上げ継続による景気減速懸念、欧州のエネルギー価格高騰による景気への悪影響、中国のゼロコロナ政策による景気低迷といった問題は継続しつつ悪化している印象であり、NYダウ等の反発が長続きせずに下落再開の動きを見せれば世界連鎖株安による市場心理の悪化から為替市場でもリスク回避的なドル高がぶり返しやすいと思われる。

【米長期債利回りは高止まり】

10月17日の米10年債利回りは先週末と変わらずの4.02%だったが、一時は英国債利回り急低下につれて3.91%まで低下したものの先行きの利上げ継続を踏まえて4%台へと切り返している。30年債利回りは0.03%上昇の4.03%、2年債利回りは0.05%低下の4.45%だったが、4.41%まで低下した後を持ち直しており10月13日に4.54%をつけた後も高止まりの様相だ。
市場では11月のFOMCにおける0.75%利上げ(一部には1.00%利上げの予想もある)に続いて12月のFOMCでも0.75%利上げが続くとの予想が優勢になりつつあり、利上げのピーク水準が5%近辺になるのではないかとの見方も強まっている。
10月17日夜にかけては米長期債利回り低下局面でのドル安反応が見られたもののドル円にとってはわずかな下落にとどまり、米長期債利回りが再び上昇し始めると149円到達へと上昇しており、日米金融政策の差を踏まえた歴史的な円安継続感は変わらず、市場介入でどの程度ブレーキを掛けられるのか試される状況と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は10月5日午前に143.50円まで下げたところを起点とした上昇を継続しており、146円、147円、148円、149円と日々水準を切り上げている。148.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは18日午後から20日夜にかけての間への上昇余地ありとみるが、市場介入への警戒感と150円への挑戦前の調整も入りやすいところとみて148.20円割れからは調整安局面とみて18日午後から20日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込む場合はその下限を試すとみる。

60分足の相対力指数は10月12日夜から15日未明への高値更新に際して指数のピークが切り下がっていたが、18日早朝の149円到達時も指数のピークが切り下がって18日午前には60ポイントを割り込んでいる。このため50ポイント以上を維持するうちは65ポイント超えから上昇再開とするが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、148.20円を下値支持線、149.20円を上値抵抗線とする。
(2)148.50円以上での推移か一時的に割り込んでも早々に回復するうちは上昇余地ありとし、149.20円超えからは149円台中盤(149.40円から149.70円)を目指すとみる。149.50円以上は介入警戒とするが、148.50円以上を維持しての推移なら19日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)148.20円割れからはいったん下げに入るとみて147円台後半(147.90円から147.60円)への下落を想定する。147.60円以下は反騰注意とするが、小規模の覆面介入なら高値から2円程度の下落、公然の介入なら高値から3円を超える規模の下落を想定する。ただし、介入による急落が落ち着いた後は反騰入りを試す流れと考える。

【当面の主な予定】

10/18(火)
18:00 (独) 10月 ZEW景況感 (9月 -61.9、予想 -65.7)
18:00 (欧) 10月 ZEW景況感 (9月 -60.7)
22:15 (米) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -0.2%、予想 -0.1%)
22:15 (米) 9月 設備稼働率 (8月 80.0%、予想 80.0%)
23:00 (米) 10月 NAHB住宅市場指数 (9月 46、予想 43)
25:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
27:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会

10/19(水)
06:30 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、パネル討論会
15:00 (英) 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 0.5%、予想 0.4%)
15:00 (英) 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 9.9%、予想 10.0%)
15:00 (英) 9月 CPIコア指数 前年同月比 (8月 6.3%、予想 6.4%)
15:00 (英) 9月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (8月 12.3%、予想 12.4%)
18:00 (欧) 8月 建設支出 前月比 (7月 0.3%)
18:00 (欧) 8月 建設支出 前年同月比 (7月 1.5%)
18:00 (欧) 9月 HICP(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 10.0%、予想 10.0%)
18:00 (欧) 9月 HICPコア指数・改定値 前年同月比 (速報 4.8%、予想 4.8%)

21:30 (米) 9月 住宅着工件数・年率換算 (8月 157.5万件、予想 147.0万件)
21:30 (米) 9月 住宅着工件数 前月比 (8月 12.2%、予想 -6.4%)
21:30 (米) 9月 建設許可件数・年率換算 (8月 151.7万件、予想 153.0万件)
21:30 (米) 9月 建設許可件数 前月比 (8月 -10.0%、予想 0.8%)
23:00 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
24:00 (英) マン英中銀委員、講演
26:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会
26:00 (米) 財務省20年債入札
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)


注:ポイント要約は編集部

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