ドル円、日米金融政策格差とリスクオンの組み合わせで約32年2ヵ月ぶり高値圏へ(10/18朝)

週明け17日(月)のドル円相場は高値圏で堅調な値動き。

ドル円、日米金融政策格差とリスクオンの組み合わせで約32年2ヵ月ぶり高値圏へ(10/18朝)

ドル円、日米金融政策格差とリスクオンの組み合わせで約32年2ヵ月ぶり高値圏へ

〇ドル円、黒田総裁の国会でのハト派発言、欧米株の堅調推移に米国時間に148.96まで上昇
〇ユーロドル、英国新財務相のすべての税制措置撤回発言に、0.9852まで上昇
〇ドル円、テクニカルの地合い極めて強く、ファンダメンタルズもドル高円安トレンド継続材料揃う
〇引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:148.25ー149.75

海外時間のレビュー

週明け17日(月)のドル円相場は高値圏で堅調な値動き。@政府・日銀による介入警戒感を背景に、オセアニア時間早朝にかけて、安値148.38まで下げ幅を広げるも、売り一巡後に下げ渋ると、A短期間でこれほど上昇したにも係わらず実弾介入が出なかったことに対する失望感(神田財務官による「為替の過度な変動にしっかり対応していく」との発言や、鈴木財務相による「投機的な動きあれば断固たる措置取る」との発言、岸田首相による「投機が絡んだ急激な為替変動は好ましくない」との発言に対する信ぴょう性の低下)や、A黒田日銀総裁による衆院予算委員会での「金融緩和を継続することが適切」とのハト派的な発言、B上記Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差に着目したキャリートレード)、

C欧米株の堅調推移(リスクオンのクロス円買い→ドル円連れ高)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、1990年8月以来、約32年2ヵ月ぶり高値となる高値148.96まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/18午前4時50分現在)では、148.94前後で推移しております。尚、米10月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果▲9.1、予想▲4.0、前回▲1.5)は市場予想を下回る不冴な結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。

週明け17日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。オセアニア時間早朝にかけて、安値0.9719まで下げ幅を広げるも、売り一巡後に下げ渋ると@英国財政を巡る懸念の後退(クワーテング前財務相の後任として起用されたハント新財務相が「9/23に発表されたほぼすべての税制措置を撤回する」と発言→英財政懸念後退→英ポンド急伸→ユーロ連れ高)や、A欧米株の堅調推移(リスクオンのドル売り圧力)、B米10月ニューヨーク連銀製造業景況指数の冴えない結果、C米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値0.9852まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/18午前4時50分現在)では、0.9842前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は9/22(政府・日銀による実弾介入時)に記録した安値140.35をボトムに反発に転じると、昨日は約32年2ヵ月ぶり高値となる148.96まで急伸しました。この間、主要レジスタンスポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」の全てが成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます(目先は心理的節目150.00を試すシナリオを想定)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(米9月雇用統計・米9月消費者物価指数が共に市場予想を上回ったことで次回11月FOMCでの75bp利上げと、年内最後の12月FOMCでの75bp利上げを織り込む動き)や、A日銀による金融緩和の継続方針(黒田日銀総裁は先週、米ワシントンで開催された国際金融協会の年次会合で「2%の物価目標を持続的・安定的に達成するまで金融緩和を継続する必要がある」と発言とした他、昨日の衆院予算委員会でも「金融緩和を継続することが適切」と発言)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差に着目したキャリートレード)、C本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力、D米政府・米当局によるドル高容認スタンス(バイデン米大統領は10/15に「ドル高を懸念していない。米国経済は力強い」と発言)など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が揃っています。

政府・日銀は足元の円安を「投機的な動き」と見ているようですが、市場参加者の多くは純粋にファンダメンタルズに沿った動きと捉えているように感じます。従って、仮に実弾介入でドル円が押し下げられる局面があったとしても、その際にはファンダメンタルズに着目した「怒涛の押し目買い」が入ると見られることから、介入よるドル円押し下げ効果は短命に終わると判断できます(ドル円ロングを良い水準で造成したい投資家が多いため、介入時は下落後にすぐに反発する恐れあり)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。

本日の予想レンジ:148.25ー149.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、日米金融政策格差とリスクオンの組み合わせで約32年2ヵ月ぶり高値圏へ

ドル円日足

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